”きっと良いことある”は自分でつくる
「薬師如来像の観音扉を作り直して欲しい」
飲食のレンタルスペースとなっている「梅干茶屋」は、言わずと知れた町の名物スポット。
その梅干し茶屋の横には、地元の人たちがかなり前に薬師如来像を祀るため、石で祠(ほこら)をつくりずっと大事にしてこられた場所があります。
そこの祠には木枠で作られた観音扉が収まっていましたが、経年で歪んでしまったのか扉が閉まらなくなっていました。
そこで、この扉を直して欲しいと建物のオーナー夫妻に話をもらいました。
「これを直したらあなたにきっとご利益があるよ」と言われて流れでお引き受けしてしまったのですが、、、
いやはやどうしたものか。。。
仏像の観音扉をつくるなんてやったことがないし、ただ今付いている建具をちゃんと”閉まるように直して終わり!”というのも如何なものかと思い。
頭をだいぶ悩ませ、別の案件も重なり一旦その話を横に置いて寝かせてみたり。
仏様のイメージに合うような扉って・・・
とりあえずは長年蓄積で苔が生えてしまったり汚れもひどかったので、一度全てバラバラにし綺麗に研磨してみるところからはじめてみることに。
ルーターを使い窓枠内側を面取りするあたりから少しずつ前に進むかと思いきや、まっすぐではない岩の祠にどのように合わせることが良いのかまた頭を悩ませたり。。。
表から見たフレームの印象をデコラティブで奥行きのあるものすることで印象が良くなるのではと考え始めました。
ちょうどルーターを新調して使ってみたいと言うのありましたww
これで少しずつ前に進むかなと思いきや、、、
まっすぐではない岩の祠にどのように窓枠を合わせはめ込むことがGOODな選択なのか?ここもだいぶ思案しました。
少し時間をおいてフレーム枠に奥行きを出すやり方を思い付き、実践してみたあたりからアイディアが降りてきた感じあり製作進めていく見通しが立ち始めました!
それと合わせて周りは石の祠と馴染む様にもともと木造の外壁材で使っていた古材を使いました。
さらに仏様がいるところは祠に囲まれてはいますが外なので、木材を焼き表面を炭化させ雨や土からの防腐も考えました。
結果的に仏様にふさわしい外観をイメージして装飾の配慮をし、元の建具部材もうまく活用しながら製作を試みました。
前は扉だけで付いていなかったご要望のガラスも、前々からもらっていた別の窓枠から取り外し取り付ける事ができました。
しかもこの窓枠ガラスも仏様のあるところから歩いて2、3分のところの人たちから頂いたていうのもなんだか巡っているなと感慨深くなりました。
薬師如来像に観音扉を取り付ける流れはもともとは、選定していらなくなったセンダンの幹や枝をもらうという物事が始まっています。
一見、全然関係ないような事で最初なぜ僕が作っているのかよくわかりませんでした。
しかし「きっと良いことあるから」と家主に言われて(ご利益を信じるとかではないけれどww)何かにご縁を感じて「まあ前に進めてみるか」ってやってみた事が、結果的に自分にとって不思議と違う感覚が返ってきているように感じていてとても心地が良いものとなりました。
きっと良いことあるっていうのは、ある意味自分でつくるものなのかもしれないなと。
取り付る時にオーナーご夫妻も立ち会いのもと、とても喜んでくれて無事に納品ができました。
薬師如来様も喜んでくれていることを願って。
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