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パワハラ防止法施行後の現場でのパワハラ対応

大企業にパワハラ防止法による措置義務の履行が義務付けられ1ヵ月が経ちました。大きな動きがあった企業、コロナ対応でそれどころではなかった企業、企業の数だけなにがしかの動きがあったのではないかと考えます。

今回は、労働者からパワハラの相談があり、調査をした結果の面談について考察しました。

初動対応

パワハラ防止法では、労働者から相談があった場合には、まず、相談を受けて対応することを義務付けています。また、相談したこと、調査に協力したことに対する不利益な取り扱いの禁止を示しています。

以下はあくまで然るべき調査をした前提で話を進めていきます。

まず、相談は早期に応じること、相談時は否定的な言動は控えること、行為者への処分方法には触れないこと、調査方法の相談や人事部門へ報告を挙げるか否かの確認、結論や報告を急がないことなどは重要な論点です。

調査手法

まずは、陰湿的な手口が使われやすいモラハラと異なり、パワハラは目撃証言が多い傾向にあります。よって、第三者からの意見聴取は必須です。その際に意見を聴取する人物と①行為者と推察する人物、②被害者との関係性も考慮しておくべきでしょう。

これは、既に関係が良好でない場合などはいずれかに肩入れした発言などが起こり得るからです。その場合、中立的な調査結果とは言えないのではないか?との議論にもなり得ます。

調査結果報告

調査結果が出た場合は、速やかに結果を報告すべきです。ここで見落しがちな論点として、以下の対応があります。

然るべき調査をしたことが前提ですが、被害者とされる人物が納得のいかないと主張したからと言って結論をコロコロ変えるのは適切ではありません。しかし、新たな目撃証言や証拠が出てきた場合は再調査はすべきです。

事実上再調査までに時間が空くとなった場合に、その間、パワハラより大事な仕事はあるのですか?、もしパワハラであった場合に責任を取れるのですか?との主張も予想できます。しかし、会社としても調査は限界がありますし、当然、事態の内容によっては優先順位は変えて対応することとなります。

判例

実務でも判例を参考にすることは大切です。しかし、全く同じ背景の判例を探すことは相当困難です。よって、類推して目の前の事案に活用するという視点が大切です。そこで、多くの場合問題となるのは、「対応しなかった」場合です。会社として然るべき調査の結果、パワハラと認定できなかった場合にそれを報告したことのみをもって違法とはなりません。

しかし、あくまで然るべき調査をしたことが前提となりますので、単なる実績作りと疑われるような調査の仕方には十分注意すべきでしょう。


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