あなたの真似 #序章
登場人物
☆北野拓実…大学生。
○守屋薫子…拓実の同級生であり、マドンナ。
○眞島和希…拓実の同級生、友人。
※詳しい設定は別の投稿にて。
ドビュッシーの、アラベスク第一番。
彼女の姿を一目見た瞬間、私の脳内で心地よく奏でられる一曲である。
彼女の肩まで伸びた艶やかな黒髪。
憂い気な茶色い瞳に、長くて真っ黒なまつ毛。
爽やかなグリーンのワンピースは、華奢な彼女によく似合っている。
「守屋さん、可愛いよなぁ。」
私が彼女を見つめていたからだろうか、隣に座っていた友人の眞島が呟いた。
「すごく、上品だよね。」
そう相槌を打ってから、私は両手に持っていたサンドウィッチを一口大頬張る。
眞島は彼女の顔立ちだけで魅力があるか否かを判断しているかもしれないけど、自分は違うんだ、単なる容姿だけで彼女を判断したりなどしない、容姿以外の魅力もわかるはずだとどこか変なプライドを抱いていた。
眞島は手にしていた飲み物のストローを咥えながら、何かを噛み締めるように私の相槌に頷いていた。
わかったような素振りして...本当に守屋さんの上品な魅力に気づいているのか?それともただ口にしている抹茶ラテが美味しくて感動しているのか?
眞島はズズズ…と豪快な音を立てながら抹茶ラテを飲み干し、口を開いた。
「彼氏とかいるのかな?」
絶対にそれ言うと思った。
「何?狙ってるの?眞島。」
「いや〜狙ってるっていうか...う〜ん、何ていうの?アイドルみたいな感じ。夢を見させてほしいんだよ。推しの熱愛報道が出たら、悲しいだろ?そりゃ応援したいけどさ。」
「確かにね。本人の自由だし、外野がとやかく言う筋合いはないけど…その、推し?が幸せになってくれればいいんじゃないの?」
「そうそう、幸せになってくれるなら良いんだよ。でも、俺はその幸せを一緒に味わいたかったなあ、って一生羨むだろうな。」
「眞島にだって、これから先、心から愛せる人と出会えるかもしれないじゃん。」
「だといいけど。どうせだったら守屋さんくらい可愛い子がいいな。」
適当に愛想笑いしておいた。容姿しか見ていない眞島に、例え実現しなくとも、守屋さんと一緒になる可能性があるという希望を持たせるのが悔しかった。
続く(続編はいつになるか未定…)
p.s.見つけてくださって、ここまで読んでくださってありがとうございます☺️🙌💕
受験が終わったら、より創作に力を入れていきたいと思ってます。
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