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SUNDRED インタープレナー育成プログラム(β版)受講記 (1)


さて、明日からいよいよ「新産業共創」の“すべて“が集う10日間が始まります。SUNDRED史上最大規模で開催される“イノベーションの祭典“をお見逃しなく!現在参加者のべ600名突破!


さて、さかのぼること2021年5月から7月。6回にわたり、SUNDREDでは、パートナー企業とインタープレナーコミュニティのメンバーから希望者を募り、新産業やオープンイノベーションを推進する人材「インタープレナー」を育成する、「インタープレナー育成プログラム」の第0回(β版)として実施が行われました。

私は、このプログラム以前から「インタープレナーコミュニティ」には所属していました。2021年2月に行われたSUNDREDのイベントでも、「インタープレナー公式レポーター」を務めさせてもらいましたし、イベントなどにも参加していましたが、今回は「自己の実践のみならず、仲間を探し大企業の組織変革に結び付けたい」という動機です。勤務先であるNTT西日本がSUNDREDのパートナーであり、当時新規事業の中核を担っていたビジネスデザイン部という組織に所属していたことから、社内公募に応募。パートナー企業からの派遣という立場での参加となりました。

6回のプログラムでは毎回講義内容をもとに、課題が出され、毎度この課題の問いの難しさに、ずいぶん自己との対話を迫られる日々(苦笑)明け方悩んでレポート書いたことも。

この連載では、講義内容とその後に提出した課題を振り返りながら、自分なりにインタープレナーとは何ぞやと、自身と、さらには、インタープレナー同士で対話した記録を元に書き起こしています。

※プログラムの講義内容そのものではなく、プログラム参加者の理解・解釈であるという点にご注意ください。

SUNDREDが実現したい未来

まず、第1回目の講義の冒頭で、SUNDREDは『インタープレナー』達が目的・エコシステムの仮説を共創し、『クエストチーム』としてプロジェクトを推進し、想像した未来を実現していくことのできる仕組みを確立・提供しているという説明がありました。

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講義内容および 経済産業省 第20回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会資料より筆者作成

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/kenkyu_innovation/pdf/020_04_00.pdf 

「インタープレナー」「クエストチーム」
ちょっと聞きなれない言葉という気もします。アントレプレナーとイントレプレナーは知ってるけど、「インター」って何だろう?
クエストチームって某RPGみたい、そう感じた参加者も多かったようです。

「インタープレナー」とは何か

SUNDREDでは、インタープレナーを以下の通り定義しています。

インタープレナーとは、社会起点の目的を優先(目的志向)し、組織や所属の壁を越えて行動(越境思考)し、新しい価値創造の仕組みを創り出していく、新しいタイプの自律した「社会人」のことです。自ら考え、対話し、行動し、学び、繋がりを構築していくことで、価値を創造し続け、所属する・関わる組織にも成長・利益等をもたらし、貢献していきます。

なんとなくわかるような、ちょっと難しくてわからないところもありそうです。。

次に、インタープレナーの理想の姿のイメージとして、以下の6項目が説明されています。

1)様々な社会の単位において、多様なメンバーとの対話を通じて社会起点の目的・課題を特定し、
2)それを実現・解決するための仕組みを構想し、
3)共感で繋がって一緒に動いていくチームを組成し、
4)所属する組織など自分が動かせるアセットを自在に動かして、
5)社会起点の目的の実現・課題の解決をやり切って価値を実現し、それに応じた適切なインセンティブ、報酬を獲得し、
6)獲得した学びや繋がり、新たな興味・関心をベースに、次の目的・課題に取り組み、自由に社会と価値交換して生きていく

うーん。これも分かるんだけどなんだか難しい。
もし、全部実現できたらヒーロー(HERO)になれることでしょう。

以下、育成プログラムの受講プロセスを経た、私の理解として記述します。

個人⇔会社⇔社会の三段論法?

さて、一般的に言われる「社会人」って何でしょうか?
中等教育もしくは高等教育を終えて、就職したら「社会人」でしょうか。

手前みそ&経験ベースですが、私個人ずいぶん悩んでました。

それというのも、会社(組織)で仕事をしていると

会社(組織)の目的の一つは、社会に価値を提供することだ。
わたしは、会社(組織)に所属している。
したがって、あなたは、(会社を通じて)社会に価値を提供している。

という三段論法が、いつも成立するのか?という、うっすらとした疑問をもつことが誰しもあるでしょう。

社内調整、ルーチン化したオペレーションや業務の施行、取引先のコントロール

なぜ、なにを(これを)、なんのためにやっているのだろうか?

もちろん、これらは会社が会社として存続するために必要なことであり、怠れば、個人の生活に響いてきます。

また、個々の会社(=以下、個社)は厳しい市場競争を勝ち抜いていかなければなりません。そのために最も合理的と思われる選択は、



①短期的目線で、個社組織に閉じて、目的を設定し、経営資源を集め、組織マネージメントをする。

②個社組織内の意識を統一するために、個人の「社会」のとらえ方について共通認識を持ち、「社会から独立した」メンタルモデルを持たせるようにする。サービスの均質化や機密保持の観点から、個人の外部との会話や行動様式に制約をかける。

③個人は、個社の事業構造や業界の慣習、時々の事業の要請に合致するオペレーションに特化させる。個人への教育コストや事業への投資が拠出されることもあるが、事業や業界の要請が、個人の潜在能力に優先する。

結果、個人がもともと持っている、あるいは身につけた能力やスキルを活かしきれなかったり、個人の価値観との葛藤が生じたり、するかもしれない。

それでもよかったこともあった。なぜなら、昨日と同じ明日があり、少しずつ積み上げていけば、それなりに豊かになったから。とても安心できます。

確かに、生活は便利になりました。
インターネットが普及し、手元にスマートフォンがあり、SNSがあり、音声通話は無料があたりまえ。
高速道路網が拡大し、新幹線はスピードアップし、飛行機は手軽に乗れるようになりました。
日用品はコンビニや100円ショップで手軽に買えます。もちろんネットで注文してもいい。

個人⇔会社⇔社会の三段論法でやってきた結果でしょう。

産業創造が機能不全に陥った日本

漠然と平らな成長を望んだ結果は、

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出典:https://media.moneyforward.com/articles/3349 

一口に株価だけ取り出しても、この差。これが平成の結果、失われた30年

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出典:SBI証券 米国株の魅力
https://s.sbisec.co.jp/smweb/pr/gaccnt.do?page=foreign_gui

リーマンショック後、GAFAは急激な成長を続けています。
これだけ差がついた。なぜか?

経済産業省 産業構造審議会 産業技術環境分科会 研究開発・イノベーション小委員会 第20回資料より

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成長領域にリソースの集約が行われない、というより全く、ヒト・モノ・カネは集まらず、情報資源は全く共有されない日本の産業創造環境。
実際、私が、シリコンバレー、シアトル、香港と深圳を訪れ(詳しくはまた別の機会に)、1週間ほど見聞きした感じでも、日本のスタートアップエコシステムは二桁くらい小さな世界の中で回っている印象を受けました。(
もちろん改善されつつありますが。)

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一方で、「オープンイノベーション」が持続的、連続的、連鎖的に起こる仕組みも薄いのではないでしょうか。

・3年くらいやって終わる社内ビジネスコンテスト
・入賞して賞金をもらうことが目的のハッカソン
・四半期決算でゼロクリアになる新規事業開発予算
・人事異動で「何それおいしいの?」
・コンソーシアムの事務局は延々無償ボランティア
・アイディアの権利をすべて放棄してねというプログラム参加規約
・「特許のライセンス費は売上高の○○%で決まっております。」
・「プラットフォームってAのことだよね?」「いやBでしょ。」

※注:どれも、あくまで、ネットで見聞きしたレベルの話。

全世界がサイバーとフィジカルが一体化した、Society5.0に突き進む中、こんな「オープンイノベーション」ごっこでは悲しいものです。

「失われた30年」を脱するために

日本経済が「失われた30年」を脱していくには、人間による人間のための新産業が必要でしょう。その担い手がインタープレナーです。

インタープレナーは、目的志向で行動する「社会人」です。あらゆるセクターと生活者と共創する。すなわち「一人も取り残さない」「人間中心の社会」の創造を目指し、社会と社会の課題に対して、対話による共感軸を形成し、様々な技術要素を盛り込みながら、相互浸透的に組織を越境し、利他的に進化し、ソーシャルイノベーションを起こす。

実現する未来に向けて新産業を創造するインタープレナーは、希望と自己効力感と、折れない、楽観的なマインドセットをもった人材であるとされます。

とっても、ハードルが高い。
が、一つ一つチャレンジして乗り越えられるものでしょう。

最後に、第1回の宿題に対する私なりの回答を、自己宣言(2021年5月当時のほぼ原文)として掲載し、結びとさせてください。
※「クエストチーム」という大きな要素が抜けていました。。。
   一緒に新産業を創造する志ある方、是非お声がけてください。

Q.「あなたがインタープレナーになることで、所属する組織等にどのような効果をもたらすことができますか?」

A.  私は、「公共サービスを担う大企業の新規事業開発部門に所属する中小企業診断士」である。また、学生時代より「文系」「理系」を問わず学び、産官学連携を希求してきた。

ゆえに、自身の活動領域は、インタープレナーの活動領域である「大企業」「中小企業」「国・自治体・政府機関」「プロフェッショナル」すべてにわたり、「インタープレナー」たる資質があると考えている。さらには、クエストチームのハブ、「知識やリソースの新結合推進者」として、インタープレナー相互の能力開発を促進し、実現すべき未来に向け目的を共創したい。

私がインタープレナーとなることで、自身が所属する組織において、もたらす具体的な効果は、「昨日と同じ明日」ではない未来を描き、実現することである。

「失われた30年」の原因は、いわば「昨日と同じ明日」、業界や企業の枠組みの中で平らな成長を希求したこと、そのマインドセットが社会の至るところに浸透しきってしまったことである。あらゆる生活者が、Society5.0への遷移が不連続、非線形的な変化であることを漠然とは認識しているものの、自分事として理解しづらいという現状がある。

私は、インタープレナーとしての素質を開花させることで、既存の文脈を受け止めながら、オープンマインドでの対話を通じて、実現すべき未来社会に向けて、自身の所属する組織の目的のパラダイムシフトを果たしたい。具体的には、所属企業や組織、クライアントにおける組織文化・事業運営の硬直性の打破、技術や知識のアップデートである。

インタープレナーとして活動するプロセスにおいては、システム(ITエンジニア出身)や組織(アマチュアオーケストラ代表)のグランドデザイン設計、プロジェクトマネージメント、データビジュアライゼーション(大規模計算シミュレーション専攻出身で、BIやGISツールを得意とする)、コミュニケーションを楽しむマインドセット(ボードゲーム)といった、多彩なバックグラウンドスキルを余すところなく活用し、幅広い共感を得てコミュニティを形成したい。


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