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わたしがやらかしかけたヒヤリハットを振り返る

ヒヤリハットとは

一歩間違えれば大事故につながりかねない事象やアクシデントのこと。
今回、わたしが過去の仕事でやらかしかけたヒヤリハットを振り返ってみよう。

あれは2003年のことじゃった

当時わたしは3年目の駆け出しインフラエンジニアで、とりあえず自分のタスクがひととおりこなせるようになって、調子づいてきた頃だったと思う。

当時のIT現場はいまほどセキュリティにやかましくはなく、私物のIT機器もバンバン仕事場に持ち込んで使っていた。
特に現場作業が多いインフラエンジニアにとって、作業ドキュメントやデータの持ち込みのできるノートPCは強力な武器であったが、当時の会社の業務PCはバカでっかいデスクトップPCばかりで、ノートPCは備品としてボロスペックのものが数台あるだけだった。

なので、先輩エンジニアたちは自分で調達したノートPCでばりばり現場作業を回しており、それを横目にわたしは「いつかは最新ノート!」を合い言葉に必死でお金を貯めていた。

ノートPCゲットだぜ

そんなわたしもその年の夏のボーナスで、念願のアイスソードノートPCを手に入れることができた。
それも当時最新かつ最小のモバイル機で、現場への持ち込みにはうってつけだ。

まるで米兵からガーランド自動小銃をぶんどった帝国陸軍兵士のような心境で、わたしは現場作業へ出る日を心待ちにしたのだった。

いざ現場へ・・・ん

いよいよ私の武器が真価を発揮する日が来た。
その日は新幹線で遠方の顧客に伺い、Windowsサーバの設定作業を予定していた。

新幹線の中でわたしはモバイルを立ち上げて、モバイルの中に放り込んでいた作業手順書やツールをチェックしようとした。
すると、モバイルにログインしてから幾ばくも経たないうちにへんなエラーメッセージが上がった。

「システムがシャットダウンします。RPCサービスが異常終了のため」

こんな類いだったと思う。そしてあれよという間にモバイルが勝手にシャットダウンしてしまった。

不審に思って電源を入れ直すも、またおなじ動作ですぐに落ちる。これを何度か繰り返して、結局モバイルは使い物にならないことが分かった。

「まじかよ・・・・・・」

その日の作業では、モバイルを使ってサーバにツールを流し込んだり動作テストをする予定であった。そのためにサーバとモバイルを直結するためのクロスケーブル※も用意していたのだ。
※PC同士をネットワークケーブルでつなぐためには、一般的なストレートケーブルではなくクロスケーブルが必要。

余談だが、この時代はまだUSBメモリのような便利でキケンな代物は普及しておらず、データの持ち込みといえばCD-Rに焼くか作業用のノートPCとサーバをLANケーブルで直結してコピーするか、だいたいどちらかであった。
Wi-Fi? このモバイルにもサーバにも、そんな大層なもの(当時)はついていない。

つなごかやめよか

そうこうしているうちに客先に到着した。
モバイルが使えないとなると、その日予定している作業をすべてやりきることは不可能で、後日あらためて来訪せねばならない。
そしてそれはとてもだるい。

万にひとつの可能性にかけてモバイルPCとサーバをつなげてみようか。モバイルが落ちるまでにツールコピーくらいはできるかも知れない。

しかし、そのときわたしのゴーストがささやいた脳裏に警告がよぎった。

(さっきのモバイルの動きはシステムエラーにしても、なにか突拍子もない。つなぐのはやめておくべきだ)

その思いは次第に強くなり、結局その日モバイルPCはお蔵入りにして、できることだけやってとっとと引き揚げたのだった。

で、けっきょくなんだったのかというと

こいつでした。

Blasterはネットワークにつながっている未対策のWindowsマシンに片っ端から感染していくコンピュータウイルスである。
わたしのモバイルPCは、購入早々にやられてたわけだ。。。

つまり、もしモバイルPCをサーバに接続しようものなら、サーバはおろかそこからネットワークにつながっている顧客のWindowsマシンにも感染が広がっていった可能性があるわけで。

あっぶねえ・・・

おれのゴースト直感、グッジョブ。

というわけで、重大インシデントを引き起こしかねないギリギリのところで回避に成功したのだった。

その後のエンジニアライフでもいろいろヒヤリとしてハッとなる場面はあったけど、これがいちばん危なかったケース。

その後のモバイルPC

ちゃんと再インストールと対策パッチの適用までしましたさ。
その後、会社のルールで私用PCの業務利用が禁止されるまで、作業のよき相棒として活躍してくれましたとさ。

教訓

・PCには常に最新のパッチを適用しよう
・私物PCを許可なく顧客環境につないじゃダメ
エンジニアのゴースト直感は信じるべし


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