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デートは何も言わず歩くばかりだった

彼女と会ったとき「私たちのデートは何も言わず、ただ歩くばかりでしたよね」と苦笑い。その通りで詰まらない男だった。話すのが苦手で映画館やジャズ喫茶に入り横顔ばかり見ていた。

ただ歩くだけとは兼六園でのデート。わざわざ金沢まで会いに行っても、手を握るわけでもなく日中の園内を歩いた。その後、疎遠になったが(1995年に)久しぶりに東京で会うことに。

再会した場所は築地本願寺の境内か、東京駅「銀の鈴」のどちらかだ。私たちは互いに結婚し共に受験生がいた。彼女は子ども3人と一緒で、小さい子どもの大学受験に全員ついてきた。

受験生が男か女かあやふやも、立大と早大を受験したのは確かだ。受験数日前、下見に付き合っている。彼女らはビジネスホテルに2泊し、受験生を残し帰った。慌ただしい再会だった。

暫くたち彼女から受験の報告があった。「立教に落ちて早稲田に受かりました。ありがとうございました」。声が弾んでいた。親に似たのか子どもは頭が良かった。いま何をしているのか。

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