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大人になっても酒は飲まないと決めた

父は酒を飲まなかった。そのため兄は外で飲んだ。母は私に「今日はあそこの家で飲んでいる。そろそろ迎えに行ってこい」と言った。年の離れた兄弟が無言で夜道を歩いて帰った。

私は大人になっても酒は飲まないと決めた。「あんな酒飲みが家を継ぐのかよ」。夕食時、中学生の兄に同意を求めた。ところがその兄も酒に溺れるようになり二人とも早死にした。

会社員時代、よく酒をもらった。家ではほとんど飲まない。妻は「お酒をまた〇さんにあげます」と笑顔。世話をしていた一人暮らしの老人は亡くなる直前、妻に手紙を残していた。

「自分の死については実感がない。80歳という年には不足はない。年寄りが先に逝くのは世の順序。死も初体験。眠るのと同じと思う。本当に感謝しかない。これまでありがとう」。

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