その女性は笑顔で帰った/遠野雑記帳
大願成就記念(05年3月3日)実家の目の前に小さな祠がある。3本の杉が三角形に立ち、その中に「大願成就記念」の石碑が建っている。
父が残したものだ。自然石を利用した石碑は以前からあり、いつの間にか年月日も彫り込まれていた。「大願成就記念」の「大願」とは何か。
以前、子どもに聞かれた時、答えることができなかった。子どもに説明できるようにではなく、自分でも何の意味だったか知っておくべきだ。親戚の人に聞けばもやもやは晴れるはずだが、その機会はまだない。
父が仲人をした夫婦が何年か後に別れた。離婚は珍しくすぐ噂になった。その女性が一人で来て、父への離婚報告を終えると笑顔で帰った。些細なことを妙に覚えている。
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