猫の忘備録

薄れ行く記憶を呼び止めるために書きます。

覗いてくれてる人がいるなら、あまりいい話ではないので見ないことお勧めし、でももし同じ病気の猫がいたなら優しく接してもらうことを目的としても書きます。

僕の猫は21年間という「短い」生涯を閉じました。

幸せだったのか?その答えは現時点でマイナスの意見しか思いつけませんが、少なくとも僕は幸せでした。 

猫の様子に違和感を感じたのは4ヶ月前くらいだったと思います。歯ぎしりが多くなって、口の片方からよだれを流すようになりました。それでも食欲もあるし、活動的だったのでそれほど深刻に感じませんでした。

2年くらい前からひどく痩せてきましたが、高齢といのもあったので、仕方ないと病院にも言われていました。

しかし頻繁によだれを垂らすようになって、気になるなるので半年ぶりぐらいで病院にかかりました。

結果、扁平上皮腫瘍の疑いあり、でした。

口の片方に腫瘍ができていて、ただの歯肉炎かもしれないが…高い確率で癌だろうと。

その場で治療方針を相談されましたが、高齢で手術は難しい、手術は一部をアゴ部分を切除なりするので大きな手術になるだろうから、と言われました

どうされますか?と聞かれ、結果的に何もしないという選択肢を選びました。どうしようも無かった

以前、他でこの病気について聞いたことがあり、この病気は猫にはよくある事で、進行も早く予後は3ヶ月くらい…というのをぼんやりと思い出しました

とりあえず抗生物質だけもらって、歯肉炎だと言う事を願いました。

一ヶ月後に来てくださいと言われましたが、その間はヨダレがでるものの、ごく普通の猫に思えました。しかし体重は減り続けてます。

一ヶ月後、受診しましたが「腫瘍が大きくなってる、癌だと思います」と言われて視界がぐにゃりと歪んだ気がしました。否定しほしかったですが、現実は、です。

痛みはあるんですか?と聞いてみたのですが、相当痛い筈です。それでもご飯食べてるのは生きる意志が強いんでしょうね。と言われました。

そして抗生物質と痛み止めが入った錠剤をもらい帰らざるをえませんでした。

まずは痩せ続ける現状をなんとかしようと、高カロリーの餌を走り回って求めて、猫に与えました。

猫は嫌いな銘柄は食べませんでしたが、好きな銘柄もなんとかあり、頑張って食べてました。
ホタテの切り身は本当は良くないのでしょうが、食べてくれるなら…与えたりしました。

猫は痛いはずですが、野生の血なのか努めて平気な、普段どおりのゆったりとした仕草で、病気なんか関係ないよ、て顔をしています。
しかしふとした時に顔全体が歪むほどきゅっと顔に力を入れてることがあり、痛いんだなぁと見ていて悲しくなりたした。
それでも朝晩2食はしっかり食べましたし、ごはんちょうだいという仕草も見せました。
癌は間違いだと信じたい気持ちも大きくなって、普段どおり猫と接しました。
ある日、カリカリを食べてると、皿から飛び退いて前足で必死に顔をかき始め、それ以来カリカリは食べなくなりました。
固形物が腫瘍に当たるようで、硬いものはもう無理になったようです。
けど、食欲はあります。それでも体はやせ細って既に3キロあった体重は2.5キロまで落ちていました。
食欲を活かしたい、その一念で柔らかい餌を探して与えました。
スープがほとんどの食事、柔らかく潰した高齢猫用の餌。
猫は餌を食べましたが、徐々に柔らかいものでも口に入れると激痛なのか、前足で必死に痛みを取り除こうとほっぺたを掻きむしります。
激痛なのでしょう、ほっぺたは爪で傷だらけになり血がにじむようになりました。
だから食べてる猫の後ろに回って、タオルを折りたたんで前足を動かさないように押さえつけて食べさせました。はじめは4口に一回激痛で前足を動かそうとしましたが、だんだん二回に一回、そして毎回前足で顔を掻きむしろうとしました。
だめだよ、顔がボロボロになるから、と泣きながら前足を抑え続けました。
実際爪でかきむしった傷が顔にできてしまいました。
病院は一ヶ月に一回から2週間になり、脱水症状緩和の点滴と痛み止めの注射をしました。
痛み止めが効いてる数日間はとても元気で体を擦り付けてきて甘えたり、平和なちょっと前の猫に戻ります。
しかし薬が切れた数日後、痛みでうずくまるようになって、見ていて辛く、悲しくて泣いて抱きしめました。
水すら飲むのが困難になり、脱水症状は目に見えてわかりました。
病院で痛み止めを一週間に一度打ってもらうようになりましたが、病院はそれには反対なようでした
それでも痛み止めがなければ食事もできないし、痩せ細る一方です
痛み止め、おすすめできません、と翌週言われましたが「座して待つわけには…」と言い、無理に打ってもらいました。
そして痛み止めが効いてる間は、本当元気で、それまでもう歩けなかったのですが、よたよたと歩いて、膝に乗るということがありました
しかしこの頃から目に見えて口は腫れ上がり、よだれはひっきりなしに出ていて、それが体についたりして、あのきれいだった白猫が、食べ物の混じったよだれと腫瘍からの液体で体がどんどん汚れていきました。
そんな状態が2週間ほど続き、猫は起きあがれなくなってしまいました。
以前買った注射器とチューブ、液体栄養剤
これを使うようになったら最後、と買ってたやつが、今まさに必要になりました。それでも必死に命をつなごうとしました。
猫自身も食事は辛いはずですが、よく頑張ってくれました。
病院にいって、痛み止めは無理。脱水症状が限界と告げられ、もうできることはない、と、言わたようで最後を感じました。
病院には感謝しています。
しかしもう車で病院に運んでケージで待つというのにも猫の体力的に限界を感じました。
そして栄養剤と水だけを点滴してもらい、何も考えられずに家に帰りました
帰り際、明日また来てくださいね、と言われたので、まだ今日明日の段階じゃないんだ、と信じて。
情けないけど泣いてたので、気を遣ってくれたのかもです。

その夜に痙攣が始まりました。激しいものではなく、まるで寝ながら歩いてるかのように足を動かせてます。
一時間ぐらいして、かふ、かふっと口を開けて口で呼吸をはじめました
最後の時間です。
泣きながらその呼吸を見てやるしかできませんでした。
体温が下がるのを抑えようと電気カーペットを敷いて体をマッサージしてやりました。
猫の目はこちらの方をぼんやり見ていて、その目は別れを告げてるようにも見えました
そして、一気に血の気が引いてゆくように、息が、少し大きな息がひとつ。そして静かになりました
泣きましたが、ご苦労さまって何回も言いました。
お疲れ様。

書いていて辛いですが、猫の頑張りを残しておきたかったので書きました。
猫がうちにいて幸せだったのか?
そんなの答え出るわけ無いです、猫と話せても教えてくれない気がします
いつものように向こうをプイってして、そのまま寝ちゃうかな
猫と過ごした21年間に意味がないわけはないです。
なんかそれだけでいいかな。

さて、白い高齢猫は口の癌がすごく多いらしいです。よく見てあげてください
皆様の猫さんの幸せをおいのりします。

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