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【毎日読書感想⑯】名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方

10年以上前に購入した本です。

コピーライターである著者の鈴木康之さんが、さまざまな広告のコピーを詳しく解説し、そこから人に伝わる文章の書き方のコツを紹介されています。

普段の生活で何気なく目にしている、耳にしている実際の広告がどのように素晴らしいのか、どのように考えられて作られているのか、作り手の視点から具体的な技術を学ぶことができる一冊だと思います。

さて、私が印象に残ったのは次の部分です。

「探せ、さらば 見つからん」
さて、話が見つかったら、これからはいよいよ書く楽しみの番です。
ここでもあなたは、創造しようなどと力み返ることはありません。いい言葉、いい表現、いい文章を見つけ出すだけです。あるのです。すでに世の中にあるものを探し出すだけです。
最近ヴェッキオ宮の絵隠しの話を聞いたことがありませんか。その五百人広間に五世紀ほど前から大壁画があるのですが、その絵の中に小さく「CERCA TROVA」と書いてある文字が見つかりました。この絵の下にレオナルド・ダ・ヴィンチの「アンギアリの戦い」が隠されていることが最近になって分かりました。お上の命により嫌々ながら別の壁画を描かされたのはヴァザーリという壁画隠しの職人です。この人はダ・ヴィンチの大の信奉者だったので、後世へのメッセージを残したのです。なんという壮大な計略でしょうか。「CERCA TROVA」とは「探せ さらば 見つからん」。五百年後のこのメッセージが見つかり、われわれに届き、コンピュータ世紀の技術でついに絵の具の下に隠れていたダ・ヴィンチの名画を発見したのです。(P.27)

かなり長い引用になってしまいましたが、このエピソードを読んだ時に私はグッと心をつかまれました。いい言葉は一から作り出すものではなく、見つけ出すもの、そしてそれは見つけようと探した者だけがたどり着くことができる。

本の『はじめに』に書かれているこのエピソードを読んで、よし私も「探し出すぞ」と心に誓い、最後まで楽しくこの本を読み進めることができました。さすが文章のプロなので、読ませる、その気にさせるのが上手だなと感心したのを覚えています。

あれから10年ほど、なんやかんやたち、めっきり文章を書く機会も減りました。これではまずいと思い、まずはこのnoteで毎日ちょっとだけでもいいから文章を書くようにしようと今に至ります。

今回、ひさしぶりこの本を読み返して思ったのは、やはりプロの文章はわかりやすい、短い、テンポがいい、面白いと、人に読ませる技術がたくさん詰まっているなということです。

少しずつですが、ちょっとでも近づけるように頑張っていこうと思います。


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