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フランケンシュタイン再演にやっぱり感動した話。

こんばんは、きゅんLAB.のけいこです。
本日は待望の再演となりましたミュージカル・フランケンシュタインを観てきた話をしたいと思ってます。

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はい、好きをこじらせて初日に行ってきましたよ。

いやーこれね、本当に待望も待望の作品でして。忘れもしない、初演は2016年。ひょんなことがきっかけで私のハートに恋の稲妻を落とした加藤和樹様(これについては後日詳しく語らせてください)の舞台だ!と軽い気持ちでチケットを取ったのが運命のはじまり。舞台・真田十勇士の次に加藤和樹作品で観たのがこれだったんですが、おかげさまで加藤和樹沼に頭のてっぺんからつまさきまでドボンしたのがこの作品なのでございます。もうその中毒性ってば、毎日毎日性懲りも無く舞台予告のyoutubeを観まくってしまい、一回しか観に行ってないのに主要曲全部サビが歌える、イントロ聞くだけでパブロフの犬状態で涙出てくるというメンヘラ製造機な作品!(ほめてます)あまりに素晴らしすぎて、名古屋公演まで観に行ったこのきゅんLAB.研究員あおいちゃんは、マチネ(昼公演)のチケを取ってて、あまりによくて、ソワレ(夜公演)の当日券をその場でゲットして観たっていう、そんなパワーを秘めた舞台なのでございます。

そもそもみなさん、フランケンシュタインってあの、人造人間のイメージだと思うのですが、実は大間違い。フランケンシュタインって、人造人間作った博士の方なんですね。
19世紀のヨーロッパで、生命創造、つまり死んだ人間を蘇生させる研究をしていたビクター・フランケンシュタイン。同じく死体の利用を研究していたアンリ・デュプレ。彼が戦場で命を狙われていたところをビクターが助けたことがきっかけで、アンリを助手として、ビクターはますます研究に没頭することに。研究のためには新鮮な脳が必要だというところまでたどり着いたビクターは、葬儀屋に話をつけて、死んだばかりの人間から脳を取り出すことを思いつくも、殺人事件に巻き込まれてしまいます。ビクターをかばい、無罪の罪でなんとアンリが死刑に。ビクターはギロチンで処刑されたアンリの首を使って、自分の研究を進めるのですが...というあらすじ。

はい、ちょっとしたサイコです。サイコというかホラー?なんでしょう、人がばったばった死んでいく作品です。そしてさすがのメイドイン韓国の舞台。暗い。とにかく暗い。圧倒的な暗さ。はびこる不安と不協和音。そして、最後の最後まで誰も幸せになれません涙。
大切な親友の首を使って蘇らせた人造人間は、アンリの記憶なんてこれっぽっちも残ってなくて。むしろ、全く別の、人間に危害を加える怪物になっちゃったんだからさぁ大変。殺戮兵器と化した怪物を、いったい誰が止められるのか...。というストーリー。こちとら、初演観てるんであらすじ知ってるんですよ。でもでも、それでもさめざめと流れる涙が止まらないのです。ううう。

ストーリーはさることながら、演出も見どころ。一幕と二幕で配役ががらっと変わっちゃうんです。一幕でビクターとアンリで友情を演じた組み合わせが、二幕ではジャック(怪物をこけにしまくる見世物小屋の店主)と怪物(蘇ったアンリ)を演じて、さっきまでの美しい友情はどこへやら、憎悪の関係に。感情のアップダウン、すごすぎるし観客サイドもちょっと気持ちが追いつかない...。

それを演じるキャストがまた素晴らしいのなんのって!Wキャストでいろんな組み合わせを感じられるのがミュージカルの素晴らしさなのですが、それゆえ一回が安くはないので重課金の遊び...。でもそのケミストリーが楽しいので我々は劇場に足を運んでしまうわけです(合掌)。

まずビクターを演じるのは中川晃教/柿沢勇人。ミュオタの間ではアッキー&カッキーでおなじみのふたりなんですが、個人的にお二方のお歌がとっても好きでして。
アッキーさんのお歌は、あのゴールデンボンバー歌広場氏も「人が殺せる」と賞賛していた(ほめている)のですが、本当に何か周波数が出ている歌声。すごいの。なんかね、歌うまいとかのレベルじゃなくて、心が震える歌声の持ち主。見事にビクターの難しい歌を歌い上げてるんですが、ご本人の感じもあって、当時はタブーともされていた奇妙な研究にのめり込む奇才ビクターって感じ。
一方のカッキーのお歌って、魂こもってるんです。なんていうんだろ、ちょっとねカッキーが演じるビクターって少年っぽくて。自分の好奇心でこの研究していたのかな、って感じ。でね、アンリが死刑になるときも、研究をするときも、俺はフランケンシュタインって歌うときも、魂が感じられる歌なのです。感情を歌声に乗せたら天下一品なの。強いのよ、お歌のパワーが。そんな少年っぽいビクターが、二幕ではくそくそくっそゲス(だから、ほめています)なジャックを演じていて、いやーカッキーすごい。私、苦悩するカッキーの役大好きなんですけど、ゲスな感じもすごく良い。あと、酔っ払ってるシーン、地で言ってる感じがしてそれもとても良いです。

そして、アンリを演じるのは加藤和樹/小西遼生。どちらもまぁお美しいお顔立ちのおふたりです。眼福。ところがすみません、なにせ加藤和樹びいきなもので、こにたんアンリを見ておりません...。圧倒的加藤和樹サイドだけのアンリ・怪物評なのですが、まぁこれもすんごい役でして。
まずそのお衣装。一幕はじめに出てくる姿が、腰みの。え、うん。腰みのオンリーなんです。

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つまりこういう出で立ち笑。生き返るからね笑。

その後、軍服、ロングコート、ギロチンで首スコーン行かれて、一幕最後にまた腰みの。二幕に入ってから、裸にロングコート、くさりに繋がれ、その後焼きごてを押され、殴られ蹴られ、首に生傷、顔は基本的に真っ黒。

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これはこにたんver。ね?くさりぐるぐる笑。

そんな役を毎日毎日やってるんですよおおお。もうそれだけでリスペクトなんす。ロングヘアーの和樹様大好きなのですが、全編通してロングヘアー。もう私得でしかありません。
ビジュアルはさておき、またこれ加藤和樹もすごい俳優でして。このアンリ・怪物が歌うナンバーはどれも切なくて、涙なしには聞けないのです。まず一幕の見どころは死刑が決定して断頭台まで登っていくときに歌う「君の夢の中で」。あのね、今から首切られにいく人が歌う歌とは思えない、さわやかで希望に満ちたナンバーなんです。アンリはね、ビクターに出会って、初めて自分が生きる意味がわかったんです。だからね、死ぬことさえも怖くなくて、君の研究のためなら、君の夢が叶うなら死ねる、っていうのを、ハー笑顔で歌ってるんですけどそれがもう(語彙力)。初演から3年、歌が何百倍もパワーアップしてる和樹様本当にすんごいです。歌のみならず演技も。特に二幕は殺陣ありーの、だいたいが身動き取れなくて殴られ蹴られしてるんですけど、まぁ痛めつけられている和樹様の美しいこと(病気かな?見方が笑)。とにかくパワーいる役。っていうか見てるこっちも目にするもの、感情の起伏がすごくてパワー使うので、見た後しばらく言葉を失います。こっちの魂も持っていかれるっていうすんごい舞台なわけです。

でね、これが私は加藤和樹を軸に(競馬か)見にいってるんですけど、中川ビクターとだと和樹様はビクターを尊敬して兄のように慕っているアンリに、そして柿ビクターとだと和樹様はビクターのこと、弟みたいな心境であったかく見守るアンリなんですよ!!これがケミストリー!これがあるから観劇は辞められんとです!!(ぜえはあ)はい、すでに2回観に行ってあと1回行きます。ほっといて。

しかし毎日毎日私たちのために演じてくださっているキャストのみなさま、本当に感謝です。特にプリンシパルのWキャストじゃない方やアンサンブルのみなさまなんてマチソワ(昼夜公演)毎日やってるなんて正気の沙汰ではない体力です涙。

初日のカーテンコールでアッキーさんが言っていました。「この舞台は私たちだけではなく、演出や音響や照明の人みなさんがいるから完成できる舞台です」って。まさにその通り、誰一人欠けてもこんなすごい舞台できないし、だからこそアートとして最高峰だと思うんですよね、ミュージカルって。

初日のカーテンコールで和樹様が言っていました。「こんな絶望なミュージカル、正月からやっていいんでしょうか」って。いやほんまに。絶望に次ぐ絶望で、観たあとこんなにズーンってなる舞台なかなかないんですけど、でも、それでも微かに感じられる希望とか愛とか、それを感じに足を運んじゃうんですよね。

人間にはいろんな欲望があります。欲望にかられ、人を虐げたり騙したり、裏切られ突き落とされ、苦しんで涙して、涙も枯れて孤独になって。それでもこの瞬間を生きる何か意味があって、それをずっと探しながら生きている。命が生き絶えるその瞬間まで、この世の果てまで探し続ける。
そんなことをぐるぐると考えてしまう、本当に奥深い物語。

東京公演は1月30日まで@日生劇場にて。名古屋にて2月14〜16日@愛知芸術劇場、大阪にて2月20日〜24日@梅田芸術劇場です。ぜひ劇場にてこの絶望をご体感くださいませ!

公式HPはこちら

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東京公演の日生劇場の雰囲気、個人的に大好きです。もはや劇場がアート。