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医療・介護従事者のキャリアポートフォリオという考え方

白衣の転職とは、「1応募=1内定」をコンセプトにキュリオシティ株式会社が運営するWEB求人広告です。不採用となることは施設・求職者双方にとってコストになるため、応募の時点で求職者がスクリーニングをかけるためのツールを提供するという考え方に基づきます。

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■医療・介護施設のジョブ型雇用制度の検討

ここ数年で話題に上がるようになった「ジョブ型雇用」。コロナ禍による働き方見直しの機運が高まったことを契機として、採用する側も、”一先ず採用して何か仕事をやってもらう”というメンバーシップ型の採用方法にリスクがあることに気づき始めています。

その中でも、慢性的に人手不足と言われる医療・福祉業界は特に、ワークライフバランスの向上、人材マネジメント強化のため、このジョブ型雇用導入の必要性があると言われています。


ジョブ型雇用とは…

任せたいジョブありきで、専門性のある人を採用し、その仕事を専門で担当してもらう雇用体制。原則、その他業務のジョブローテーションは行わないため専門スキルの習得が早くなる。また、個別職種ごとに給与条件を設定するため自分の業務が終われば帰宅ができる、ワークライフバランスの取りやすい雇用体型。


ジョブ型雇用体制導入のためには、それが実行できる組織体制を整える必要があります。各組織に求められる成果・役割を明確にし、具体的な業務ベースで職務分担がなされ、ジョブディスクリプション(職務記述書)が作成されます。

職員はジョブディスクリプションに記載された成果・役割に対して責任を果たしていくことになります。そのため、従来日本で取り入れられてきたメンバーシップ型よりも責任や業務範囲が明確になり、効率的な働き方ができるとされています。


■医療機関でのジョブ型雇用制度導入の壁

しかしながら、医療機関では、一口に看護師と言っても、専門診療科ごとに業務が異なり、また急性期病棟と療養型病棟では求められるスキルも働き方も異なります。さらに、急性期医療+慢性期医療など複数のステージの患者さんを受け入れるいわゆるケアミックス病院では、複数の病棟にまたがって業務を遂行することが求められます。

医療機関でジョブ型雇用を導入するためには、従来のメンバーシップ型雇用形態、クリニカルラダー制度という教育体制とは異なる人事・教育体制を構築しなければならず、急務ではないという認識であれば、導入は進みません。


2018年に出された厚生労働省「今後の若年者雇用に関する研究会」の参考資料では、26回もの「ジョブ型」という言葉が使用されており、今後政府の方針として、ジョブ型雇用化に一定の期待を寄せていることが見えますので、今後、ジョブ型雇用導入のための施策が打たれるかもしれません。


■ジョブ型雇用時代に必要なキャリアポートフォリオという考え方

仮に、全医療機関でジョブ型雇用導入が必須という方針に切り替わった場合、職員はどのように対処すれば良いのでしょうか。

ジョブ型雇用で重視されるのは「専門スキル」

専門性を問われた際に問題となるのは、従来のメンバーシップ型教育体制の中で業務を遂行してきた「シニア・ミドルシニア世代」、専門性を身につける経験が不足している「若手世代」です。だからこそ、これらの世代に該当する方たちは、自分が何者か?を示すための材料を構築して備える必要があります。


キャリアポートフォリオという考え方

例えば、デザイナー職であれば、自分のスキルを見せるために過去案件のポートフォリオを作成します。動画制作会社では、過去に作成をした事例ポートフォリオをHP上に掲載している企業もあります。今まで制作してきた成果物を見れば、自分が依頼したいアウトプットが出せるのか、判断がつきやすくなります。

キャリアに関しても同じことが言えます。企業や医療機関が採用をする際に、任せたい仕事を任せられる経験があるか否かの判断指標は、過去の実績・経験です。採用担当者は、履歴書や職務経歴書から、対応できる仕事内容を想定しながら面接に臨みます。

そのため、スムーズに自分のスキルを理解してもらうためには、「キャリアポートフォリオ」を構築しておくと便利です。


■キャリアポートフォリオを強化するためのスキルシェアワーク

キャリアポートフォリオの作り方

キャリアポートフォリオを作成する上で欠かせないのは、下記のPDCAサイクルを回し、それを記録しておくことです。ジョブ型雇用の時代では、いわゆる職務経歴書に記入する項目を日常的にアップデートすることが重要です。

目的:何がきっかけで、何のために取り組んだのか
実行:どのようなことを実行し、どのような実績・結果を得たのか
評価:どのレベル感でアウトプットを出せたのか、自己評価、他社評価の整理
改善:スキル向上のために必要なことの洗い出し、改善計画

Excelに項目ごとにまとめておく、noteにアウトプットしておくなど、アプローチは複数ありますが、キャリアポートフォリオを整理しておく必要があります。


欠かせないのは実践経験

自身が何を成してきたのか、それを記録するのがキャリアポートフォリオです。そのため、人柄や性格よりも何を実践してきたのか、その経験とアウトプットが重要となります。ジョブ型雇用の時代では、専門スキルがある人材、いわゆる「T型人材」であることが求められます。

そのため、自分の進みたいキャリアに進むためには、現在の自己の専門性向上と並行して、新たな専門性を身に付けていく必要があります。近年、「スキルシェア」「Wワーク」「副業・復業」などのキーワードがメディアやSNSでも多数登場するなど、新たな経験を拡げやすい環境にあると言えます。

従来より、病院や介護施設では、「夜勤専従パート」「Wワーク」など、本業と兼業で副業希望者を受け入れる風潮がありました。白衣の転職でも、今後Wワーク求人」「スキルシェア求人」「夜勤専従パートは拡大・強化していく予定です。


ジョブ型雇用体制が導入されると、就く仕事によって給与条件が変動します。そのため、専門スキルに対する需要の高低は明確に別れていきます。だからこそ、自分が何者なのか、それを明示できるキャリアポートフォリオの整理と、キャリアポートフォリオの更新が重要になってきます。

現在の職場で得られるキャリア・専門スキルを高めつつ、自己の進みたい道筋に合わせたキャリア経験を伸ばしていく。ジョブ型雇用の時代には、この両軸の視点が必要になりますので、一度、このnoteがキャリアを見つめ直すきっかけとなれば嬉しく思います。

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