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アート悪夢

白い四角い部屋で、過去のスケッチを捲っていた。

目に留まったのは、自分の右手のスケッチだった。

よく見ると、

その右手には、ボンテージ風の装飾を施してある。

こんなの描いたな。

なかなか良いじゃない。

もっとよく見ると、

白い肩やデコルテまで描いてある。

なかなか良いじゃない。

もっとよく見ると、

それはスケッチじゃなくて立体だ。

腕と首と脚は元から無いかのように球体関節が柔らかな肌で覆われ滑らかで、鎖骨の下には四つのピアス穴に細いチェーンが連ねられ、胸を黒いボンテージ装飾が包み、「右手だけが」心臓の上に置かれている。

なかなか良いじゃない。

こんなの作ったっけ。

私はその上半身を抱くように、両手で持ち上げる。

腕と頭が無いから、程よい重量感。

そう、本物を使って造ったんだ。

若かったから、肌がしっとりとしていて、装飾が際立っている。

なかなか良いよね。

良く造ったな、本物で。大変だったけど、若かったからね。

それにしても、本物を使って造ったけど、

私の体は、



まだあったっけ?








(Photo by b-1)


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