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僕の息子になってください

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母子家庭で育った秋臣は、苦労した母に親孝行をすることを人生の目的にして生きてきた。しかしある日突然母の余命を知らされる。 母の最後の願いはたった一つ。 「智夏に会いたい」  秋臣…
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#BL小説

 秋臣が縁側で涼んでいると、寿美子と叶人が手をつないで入ってきた。 それまでシンと静かだ…

桐衣朝子
1か月前
2

本当の叶人

第九章  「先輩、本当に申し訳ありません!」  犬養がこんなにもしおれている姿を見たのは…

桐衣朝子
2か月前
4

叶人の告白

第八章  「どうしてもお墓参りがしたいの」  猛暑の中、突然言い出した母の気持ちが秋臣には…

桐衣朝子
2か月前
3

雷鳴の中で

 マグカップの中の琥珀色の液体に、口をすぼめて息を吹きかける叶人の横顔はどこか浮かない顔…

桐衣朝子
2か月前
2

嵐の夜に

 家に帰る犬養の車を見送りに門の外に出ると、叶人は少し離れたところに所在なさそうに立って…

桐衣朝子
2か月前
3

花火と嫉妬

 処置が早かったため、犬養がクラゲに刺された箇所は赤い腫れが少し残っただけですんだ。夕食…

桐衣朝子
2か月前
1

海とクラゲと叶人と秋臣

 夕食のテーブルでLINEの着信音が鳴った。  秋臣は車エビの天ぷらをだし汁につけたままスマホの画面に見入った。 「お父さん、どうしたの?」  だし汁を吸ってくにゃりとなったエビをちらりと見て叶人が訊いた。 「え? ああ……明日会社の後輩が遊びに来たいって言ってるんだけど」  秋臣は頭の中で断る理由を探していた。 「後輩って、犬養さん?」  寿美子が弾んだ声で訊いた。 「うん。そう」 「大学の後輩で、とってもいい子だって言ってたわよね。土曜日だから泊まってもらえばいいじゃない

夏祭りの夜に

 車の中で叶人は一言も言葉を発しなかった。眠っているのかずっと目を閉じたままだ。  家か…

桐衣朝子
3か月前
6

叶人、初めて親の話をする

「今日は稽古だから出かける」  朝、出勤する秋臣とすれ違いざまに叶人がささやいた。週三日…

桐衣朝子
3か月前
4

事故的なキス

 家に帰り着くと、門の前にかかりつけの病院の車が止まっていた。毎日午前中に一度医師が往診…

桐衣朝子
3か月前
3

秋臣、偽物の息子にゲイの苦悩を語る

「お父さん、起きて」  縁側のガラス戸から朝日が射し込んでいる。重たい瞼をやっと開けると…

桐衣朝子
4か月前
6

凪叶人、智夏に化ける

「智夏(ともか)ちゃん! 智夏ちゃん! 智夏ちゃん!」  あっと思う間もなく、叶人が秋臣を…

桐衣朝子
4か月前
7

いよいよ芝居の幕が上がる

 車は都会を抜け、海沿いの道にさしかかった。夏色に変わった空は指先まで青く染まりそうで、…

桐衣朝子
4か月前
2

秋臣、美貌の青年に秘密を打ち明ける

 もし結婚する前にあの写真を捨てていたら……。 秋臣は今まで何百回何千回悔やんだか知れない。あれさえ捨てていれば、自分も母さんも智夏の成長をずっと見守ることができたのに。  十五年前のあの日、夕暮れの黄昏時に、妻の真理子は秋臣の秋臣の書斎で机を背にして立っていた。何かを探していたのか、引き出しが開いたままだ。 「これは……何?」  真理子は青ざめた顔を引きつらせ、ポラロイド写真を床に投げ捨てた。それは机の一番下の引き出しの奥にしまっておいたものだ。  そのツーショット写真は、