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二十四節気の養生法【2022小暑】

 夏の5番目の節気。7月7日から7月21日(大暑の前日)までの2週間が「小暑」です。暦便覧には「大暑来れる前なれば也」とあります。今年は全国的に記録的な早さで梅雨が明けいきなり猛暑が来ましたが、台風4号の影響で少し猛暑が和らいだのですが、いよいよこれからが夏本番になりますね。
 7月16日は中医学で最も暑い時期とする「三伏天」の初天になります。
この日から40日間の8/24までが最も暑い時期と考えますのでくれぐれも夏の養生法を実践して、穏やかに健やかにお過ごしください。また7/7は七夕でもありますが、旧暦(今年は8/4)の行事としますのでその時にまたお話ししたいと思います。 

今月の癒しの庭園 京都大原三千院の「聚碧園」

 今回のお庭は、前回宝泉院にお邪魔したときに一緒にお参りした皆さまご存知の「三千院」です。
 「きょうと~お~はら、さんぜんいん、こいにつかれたおんながひとり~♪」とデューク・エイセスの「女ひとり」で有名になりました。恋に疲れた女の人が癒されに来られたのでしょうかね!?

大原問答の勝林院
水の音が涼やかな二つ並んだ手水鉢
有名な庭園「聚碧園」
極楽往生院へ続く有清園
弁天池
わらべ地蔵
延命水
紫陽花園
大原の里に咲く野花
沙羅双樹

 この日も梅雨の合間でしたが、深緑の青紅葉に彩られ、また苔も真緑でその名の通りの「聚碧園」でとても癒されました。大勢の人が縁側で一服いただきながら碧(みどり)に癒されておられました。私は先にお参りした宝泉院でいただきましたので、ここではご遠慮いたしました(笑)
苔の中でやさしく微笑むわらべ地蔵にも癒され、満開の紫陽花や大原の里に咲く野花など色とりどりのお花にも癒されてきました。
最後は前回、ご紹介できなかった沙羅双樹ですが以前に撮影した写真が見つかりましたので掲載します。二本並んだ沙羅の木の下でお釈迦様が入滅したことで知られていますね。朝に白い花を咲かせますが夕方には花ごと落ちるので、儚さの象徴として諸行無常を感じさせられます。
 皆さまもぜひ、少し時間を見つけて改めてお近くのお寺やお庭に出かけて見てください。日常とは違う時間の流れにしばし癒されると思います。

小暑の養生は「清熱解暑」と「安神養心」

 風・寒・暑・湿・燥・火は六気と言って自然界の気象現象で日常当たり前の出来事です。しかし、この気が度を超すと風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火(熱)邪となって災害が起こり悪影響を及ぼします。これを中医学では、六淫(ろくいん)と言います。洪水や氾濫、土砂崩れなどは湿邪が、台風は風邪が、旱魃や水不足は燥邪が邪気となって災いをもたらしていると考えます。中医学では、人のカラダは小宇宙とみなし、自然界の大宇宙と同じ理屈、リズムで動いていると考えます。風邪(カゼ)はよくご存じでしょうが、カラダが冷えすぎても、暑すぎても、湿が溜まっても、乾燥し過ぎても、火のように炎上しても、カラダに悪影響を及ぼし、体調が悪くなったり自然界の大災害のように大きな病気になるという風に考えます。
 カラダに悪影響を及ぼす風・寒・暑・湿・燥・火(熱)の邪気は、外からくる外感と自分の中で生み出す内淫があります。真冬に寒い屋外で長時間居たり、逆に真夏に炎天下で作業やスポーツなどをしていると寒邪暑邪が侵入し体調を壊します。雨や雪が降り続いたり湿度が高い状態が続くと水の巡りが滞り湿邪になったり、空気が乾燥する秋冬には、燥邪によってカラダも潤いを奪われ肌や髪の乾燥、便秘などが起こります。冷たいものや暴飲暴食を続けていると脾胃が傷んで寒邪や湿邪を生んだり、激辛や高カロリー食や飲酒が多すぎると熱を生んだり、またイライラしたり怒ってばかりいても熱を生みやすくなります。こういった邪気が体内で長時間停滞すると、最悪の場合炎のように炎上して、めまいや脳出血などカラダの中で大災害を引き起こしてしまうのです。高温多湿な日本の夏は湿邪暑邪がカラダに侵入して体調を壊しやすい季節です。梅雨が明けて、真夏になると暑邪に傷められないように清熱して、夏は心(しん)を傷めやすい季節なので心(しん)の働きを低下させないよう「清熱解暑」「安神養心」がこれからの養生法になります。

熱中症対策が大切

 中医学では熱中症のことを「中暑(ちゅうしょ)」と言いますが、暑邪に中(あた)らないように、余分な熱を冷まし、カラダの中に熱がこもらないようにして暑気あたりや熱中症にならないようにしましょう。
 安神とは、精神を安寧させること。つまり心(ココロ)を穏やかにして安定させること。暑くて汗でベタついたりするのでついイライラしたり、怒りっぽくなったり、熱帯夜で寝苦しく睡眠不足になり心煩と言って心中がかき乱され焦燥感に襲われたりします。そうなるとますます熱がこもり、乾咳・潮熱・寝汗・五心煩熱・耳鳴り・目がかすむ・歯が浮く・のどが乾く・便秘・不眠・夢遺などの症状が起こり、ひどくなるとめまいや脳出血、精神異常などを引き起こします。
 出来るだけ感情を高ぶらせたり怒ったりしないように心掛け、穏やかに、そして愉快に楽しく過ごすことが望ましいと漢方では考えます。
 そして養心は、心(しん)の働きを低下させないようしっかりと養うこと。少し苦味のある食べ物は心を養います。一年で最も暑い季節なので、特に熱がこもっている人は少々は熱を冷ます苦味で寒涼性の食材がオススメです。また、夏バテ予防にパワーをつけないとと言って焼き肉や揚げ物、激辛やお酒が多くなると、自分の中でどんどん熱を生み出します。そのようなものばかり食べていると熱中症になりやすくなりますよ。 逆に、夏でも冷房やスーパーの冷凍食品売り場は苦手という人などは、清熱食材は控えめにして苦味で温熱性がオススメですね。暑いからと言ってかき氷や冷たいビール、ジュース、スムージーなどは控えめにしましょう。
食べ物などは「夏の養生法」も参考にしてくださいね。
https://note.com/kyoyakuzen/n/nf8931cca9313

 意外ですが、熱中症になる人は外で活動してる人より、屋内それも自宅でという人が一番多いようです。部屋の中にいても猛暑日だと30℃を超えているようです。熱がこもり以上に厚くなりますから、節約や我慢をしないでエアコンを賢く使うのも清熱解暑になります。
 出来るだけ部屋や衣服も風通しを良くし、また直射日光を避け日中30℃以上ある炎天下には出掛けないように心がけましょう。出掛けるときは、日傘や帽子で日差しを避け日陰を選んでください。じっとしていても汗で水分が失われ尿量が減少します。自分のカラダの声をよく聞いて、体調に合わせて小まめな水分補給など調整しましょう。くれぐれも無理はしないようにしてお過ごしくださいね。 

家の中でも危険

 昔はこの季節といえば単純に清熱解暑だけでよかったのでしょうが、現代ではエアコンがあるので、逆に冷え性の人はカラダが冷えるということが起こります。便利なようで、カラダにしてみたらややこしいことでしょうね!? 足首周りには冷えに関するツボがたくさんあります。これらのツボはできるだけ冷やさないように気を付けましょう。上半身は清熱、下半身は保温とややこしいことになりますが、カラダは大体足元から冷えていきます。エアコンも小まめに温度調整したり、三陰交や太谿など足首周りは夏用のレッグウォーマーなどで保護して冷えすぎに注意しましょう。

夏でも足首は保温を!

京都伝統中医学研究所の"小暑におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「安神養心」精神を安定させ心を養い穏やかに過ごすための薬膳茶&食材  
 心(しん)は精神活動と血液循環器系にかかわっています。心気によって全身の血脈をコントロールし、血管に弾力を与え、血液の量と質を充実させ、血流をスムーズにして全身の隅々にまで血を送り届けます。そして精神活動や情緒は、血にとても関係しています。心血が充実していると精神や情緒は安定し、反応も早く、睡眠も快適で、集中力も高くなり、頭の回転も速くなります。理性的な行動も心に関係し、約束を守る、ルールを守る、時間を守る、列に並ぶなどをきちんと行えますが、心が傷むとルールを守れない、時間を守れない、列に並ばないなど理性に欠ける行動をしやすくなります。心(しん)を養うためには血を補うことも大切です。
オススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「酸梅湯」、「健やか茶」、「気血巡茶」など、
薬膳食材では、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「黒きくらげ」、「金針菜」、「竜眼」、「蓮の実」、「緑豆」などがオススメ。

 2.「清熱解暑」 カラダの熱を冷まして、余分な熱がこもらないように 
 気温も上がり、夜でも熱帯夜で最低気温が25℃より下がらず大変蒸し暑いのが日本の夏の特徴です。カラダに熱がこもりやすくなり「熱邪」にやられやすくなります。心は火に属すので熱と結びつきやすく熱がこもると「心火」を炎上させます。心火が炎上すると頭痛、めまい、精神錯乱、不安感、煩燥、不眠、動悸、脳出血などを引き起こします。出来るだけ意識的にも心(ココロ)を穏やかにしてリラックスするように心掛けて過ごしましょう。 
夏の養生法は「安神養心」ともう一つ「清熱解暑」。カラダの中の余分な熱を冷まし、取り除くこと。
心(しん)を養い、気血の巡りを調え、精神を安定させるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「気血巡茶」、「酸梅湯」、「水巡茶」、「理気明目茶」、「五望茶」、「ダイエット応援爽快茶」など
薬膳食材では、「金針菜」、「菊花」、「殻とりはと麦」、「皮去り炒りはと麦」、「緑豆」、「百合根」などがオススメ。
「いろいろお豆のスィーツセット」の材料を使ってお粥にしてもGoodです!
「白キクラゲのスィーツ」もおすすめ。
中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

 薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材 京都楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/

次回は、7月23日「大暑」ですね。 夏最後の節気ですが、これから夏本番になりますね。 次も「夏の養生法」をお伝えしますのでお楽しみに!
 



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