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二十四節気の養生法【2023 處暑】

 8月23日~9月7日(白露の前日)までの2週間が「處暑」です。暦便覧には「陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也」とあります。「穀物は處暑になると黄色になる」と言われ、お米など農作物の収穫は目前ですが、台風の季節でもあり、立春から数えて二百十日(今年は9/1)は、昔から農家が最も嫌う日です。秋になると、秋霖秋雨と言われる秋雨前線が停滞し秋の訪れを知らせる長雨が降りますが、台風と重なると大雨をもたらします。自然災害は甘く見ると危険です。9月1日は「防災の日」でもありますので、避難グッズや非常食などをチェックしたり、最近は交通機関なども早めにストップするので帰宅困難にならないよう事前に対策を考えておくことも大切です。 

今月の癒しの庭園 「伏見桃山城~乃木神社」

 今回は、夏期休暇のため京都の庭園に行けなかったので、私の地元をご案内します。いつもウォーキングや散策などに訪れているコースで、とても大好きなところです。
伏見桃山城は、最初に豊臣秀吉により築城されましたが完成直後の1596年に伏見慶長大地震(M7.5)で崩壊し、一年後に再建されましたがその一年後に秀吉はここで亡くなりました。その後五大老筆頭の徳川家康が伏見城に入り政務をとりましたが、関ケ原の戦いで石田三成により落城されましたが、家康により再建され、徳川家康はこの伏見城で征夷大将軍の宣下を受けました。その後大坂の陣のあとは一国一城令により二条城が京都に参内した時の主な宿舎となり伏見城は廃城されました。
 少し前までは桃山城キャッスルランドという遊園地があったのですが、今はなくなり、二層の天守閣も耐震補強されていないため入城禁止となっています。ちょっと前に東映映画『茶々 天涯の貴妃』の撮影に使用され、また最近ではブラタモリで特別に許可をもらってタモリさんが天守閣の上に登られていました。

伏見桃山城

 このお城の北側に大きな堀の跡があり「北堀公園」という自然公園になっています。私の散歩コースは、北堀公園の東口から入って公園を通り抜け桃山城の裏側から入って表門を抜け桓武天皇陵の参道を通って桃山御陵まで歩きます。毎年元旦にはこのコースから乃木神社にも参拝して帰るのが食べ過ぎたおせち料理やお餅を消化するウォーキングコースです。
 桃山城は今はやや廃れた感があり、京都市の財政難もありあまり手入れもされていませんが、春になると太閤さんゆかりの桜が公園一面に満開になりとても綺麗でご近所の皆さんがお花見に訪れます。遊園地跡は芝生の野球場やサッカーグラウンド、テニスコートなどが作られ、週末になると本格的にスポーツに興じるジュニアたちの声がこだましています。

伏見桃山城

 桃山城を抜けると、桓武天皇陵から繋がる通路を通り桃山御陵の表参道に出ます。JR桃山駅からまっすぐ伸びた砂利道の参道を歩いていると脇に伏見城築城に使われた大きな石がいくつも置かれてあり往時が偲ばれます。
 延々続く参道を登るとやがて天皇陛下や皇族の方がお参りされたときに入られる御殿があります。

伏見城築城時の石垣に使われた石

 私はいつも砂利道の参道を横切って、車で通れる道から繋がる石段を登ります。この石段は教育勅語が出された明治23年10月に由来して23×10=230段になっているそうです。
下から途中で一度も休憩することなく上まで登りきることを目標にしつつ、今のところ休まず登れていますが、何歳まで出来るか楽しみなような不安なような…。写真ではわずかなように見えますが、一度も休まず登ると結構キツイんですよ。横を子どもたちが駆け足で登っていくのを見ると、心肺機能を高めないとアカンなぁと思い知らされます。

230段ある石段

 上まで登ると広いスペースが広がり、その奥にこんもりと四角い土台の上に丸く石が積まれた上円下方墳の伏見桃山陵があります。正月三が日には木柵が取り除かれ手前の鳥居をくぐって奥の鳥居のところまでお参りできます。京都から東京に遷都された明治天皇ですが、明治天皇の遺言で京都に墓所が営まれたそうです。すぐ東側には同じ形のもう少し小ぶりな上円下方墳があり、こちらは皇后である昭憲皇太后の伏見桃山東陵(ふしみのももやまのひがしのみささぎ)になっています。

伏見桃山陵

 230段の石段を登り切った正面には伏見桃山陵がありますが、フゥフゥ、ハァハァ言ってようやく登り切って後ろを振り返ると眼下には遠く宇治や八幡方面が望めます。お天気の良い日にここから眺める景色はとても綺麗です。

石段の上から見た宇治市内の景色

 明治天皇陵のすぐそばに乃木神社があります。今の若い方はあまり知らないかもしれませんが、日露戦争で貢献した軍人で学習院の初代学長もされましたが明治天皇の崩御に伴い自刃して殉死された人です。
 日露戦争において自分の二人の息子を失いながらも難攻不落と言われた旅順のロシアの要塞を陥落させ、敗れた敵将ステッセルに対し最大限の敬意を払って接した水師營の会見は、その後文部省唱歌にもなるほどとても有名な話です。

乃木神社

 水師營とは、中国大連の旅順の郊外にある清朝

棗の木とさざれ石

 本殿とその両側には,ロシアの将軍ステッセルから贈られた白馬・壽号とその子馬・璞号のとても大きな馬の銅像があります。実物はかなり大きな銅像で、今にも走り出しそうな勇壮な姿です。

大きな2頭の馬の銅像

  日露戦争に勝利した乃木将軍を祀る神社で勝負の神様とされ、拝殿の横に「全てに勝ちま栗」と書かれた祠と「勝水」が湧き出る龍の手水があります。普段はひっそりとたたずむ神社で、時折お参りする人を見かける程度ですが、元旦になると駐車場に行列が出来るほど多くの人で賑わっています。

全てに勝ちま栗ましょう!

 伏見城のお堀の跡の北堀公園はきれいに整備され、桂(ハート型の葉)や槐(えんじゅ)などの木やたくさんの草花が植えられています。春は桜が満開になり、秋は紅葉が美しい公園で、我が家の家の前にありまるでうちの庭のような借景で、四季折々に癒されます。

自然がいっぱい

處暑の養生法

残暑お見舞い申し上げます

まだまだ「安神養心」の養生法

 「處暑」とは、暑さが止まるところと言われ、ようやく一年で一番暑い40日間の三伏天も今年は8/19で終わりました。これから少しずつ太陽の南中高度が低くなってくるにつれて、暑さもマシになってきますが、まだまだ余熱(夏至の頃に太陽の熱エネルギーで温められた熱)が北半球には残っているので残暑が厳しいですね。
 中国では残暑厳しいことを“秋老虎,毒如虎”と言い、虎のように恐ろしいと喩えられ、まだまだ「暑さ対策」や「湿度対策」が必要です。日によって暑かったり涼しかったりするので、服装などで小まめに調整したり、夜寝る時も扇風機が必要な日や逆に窓を開けたままでは寒く感じる日もありますので、特に年配の方やお子さまなどは適切な調整が大切です。
 夏休みも残り僅かやすでに新学期が始まっているところもあるようです。遅くまで起きていた生活習慣を見直し、いつまでもアイスクリームやスイカなどを食べているとお腹を壊したりするので、少しずつ温かい消化しやすいものを摂ってお腹の調子を調えるようにしましょう。
 虎ほど恐ろしいと喩えられる残暑ですが、今年はまだまだ熱中症アラートも発令されるほどに残暑が厳しそうで、まだまだ安神養心の養生法が大切です。

“秋老虎,毒如虎”

心(しん)ってなに?

 心(しん)は生命活動の発源地で、神明血脈を主り、神の居、血の主、脈の宗とも言われ、火に属し君主の官とも言われ、血液循環器系と精神思惟活動をコントールする役割を担っています。
 心気が主宰して心が拍動し、血は脈中を巡って全身に送られ、五臓六腑から四肢百骸のすべてを濡養しています。
心気が弱ると正常な拍動が出来なくなり、血の巡りに悪影響が出て全身を濡養出来なくなりさまざまな症状が起こります。

心経と小腸経は陰陽表裏

中医学的血瘀体質とは

 血の巡りが悪くなった体質を中医学では血瘀(けつお)と言います。
血瘀体質になる原因は、血虚血瘀、気虚血瘀、気滞血瘀、寒凝血瘀、血熱血瘀などがあります。気血同源と言われ、気の量が減ったり働きが弱ると血の量や働きも相互に低下し、巡りが悪くなり血瘀体質になります。またストレスで気の巡りが悪くなると同様に血の巡りも滞ったり、冷えや逆に熱でも血の巡りが悪くなります。 
中医学では何千年もの昔から「血の巡り」について研究されてきました。

貴女の心(しん)や血の巡りをチェック

 心の働きが低下してくると心血虚心血瘀となり、その状態がカラダに特徴的に表れてきます。
下記のような症状などがカラダに表れてきていると、それは血の巡りが滞っている証拠です。このまま放置すると非常に危険です。安神養心の養生法で心気を養い、心(こころ)穏やかに過ごすように心がけ、余分な熱で心(しん)の働きを低下させないように清熱して、心気を補充することが大切です。

こんな症状はありませんか?

ドロドロ血瘀体質は要注意!

 気の働きが低下して心気虚になると、心を温められなくなって悪化していきやがて心陽虚になります。さらにその状態が長期にわたるとやがて心陽暴脱となります。
心気虚⇒動悸、自汗、呼吸が浅く短い、顔色白い、倦怠無力、息切れ、胸悶
心陽虚⇒心気虚にプラス冷え、胸苦、顔面蒼白、全身倦怠、不眠、無力感
心陽暴脱⇒心陽虚にプラス呼吸異常、大汗、意識障害、チアノーゼが著明

 そしてまた、気の働きが低下すると気血同源から血虚になり血の働きも低下し心血虚になり、心を養えなくなります。その状態が続くと心陰虚となりやがて心気陰両虚になるパターンと、心血虚から心気血両虚になるパターンに分かれます。
心血虚⇒顔面蒼白、めまい、唇の血色が薄い、動悸、不眠、健忘、多夢、癲癇発作
心陰虚⇒心血虚にプラス潮熱、五心煩熱、盗汗(寝汗)

 さらに、ストレス肝鬱の状態が続いたり、ひどくなると、気の流れが滞りスムーズに流れなくなり、様々なパターンになって心(しん)に悪影響を及ぼします。
心火亢盛⇒胸部熱感、心中煩熱、イライラ、不眠、顔面紅潮、口内炎、口渇、唇乾燥、唇ひび割れ、情緒不安、吐血(鼻血など出血)、心腎不交
心血瘀阻⇒心気虚、心陽虚、心血虚、心陰虚がもとにある。さらに動悸、呼吸困難、チアノーゼ、四肢寒冷、胸痛(左肩、左上腕部、背部)胸苦、息詰まり、意識障害
痰迷心竅⇒痰が心竅を防ぐため認知症、譫語(せんご)、精神抑鬱、癲癇、手足痙攣、視力異常、卒倒、人事不省、痰鳴
痰火擾心⇒心煩、不眠、多夢、言語錯乱、精神異常、泣いたり笑ったり殴ったり破壊したりするなど異常行動

ドロドロ血瘀は万病のもと

放っておくと怖い病気も

 中医学では、このようにカラダ全体の状態が悪くなっていくと考えますが、西洋医学的な病名のつく病気も同様です。
コレステロールが溜まり血管を塞いで血の流れる血管の内径が狭くなり血液の流れが悪くなるパターンや血液中の糖分が増えたり血中脂肪が増えると赤血球がいくつもくっついてドロドロ血になってしまい、毛細血管など極細い血管を通れなくなり、その周囲の細胞に酸素と栄養を供給できず、細胞の新陳代謝が出来なくたって新しい細胞に生まれ変わったり傷んだ細胞を修復することが出来なくなります。

ほうっておくと怖い病気も

 處暑になったとはいえ、温暖化の昨今では9月の下旬ごろではまだまだ残暑も厳しく夏の養生法が必要です。汗をかきすぎると血液中の水分も失われ血液の濃度も濃くなり巡りは悪くなります。
まだまだ夏の養生法「清熱解暑」「安神養心」でカラダの中の余分な熱を取り血熱を冷まし、心(しん)気を養うことが健やかに過ごすために大切です。ドロドロ瘀血を改善する食材を中心に、余分な熱を生むこってり食事や激辛などのスパイシーな食べ物、お酒の飲みすぎに注意しましょう。

 普段、好き勝手しておいて救急車で運ばれてからお医者さんに身を委ねるのではなく、普段の食生活を見直してドロドロ血液にならないよう気をつけ、また過剰なストレスや鬱など精神的負荷がかかりすぎないよう適度なリラクゼーションが大切です。

瘀血を改善する食材

京都伝統中医学研究所の"處暑”におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.残暑厳しい間は「清熱解暑」で余分な熱を冷まし、心を養う薬膳茶&食材

 まだまだ高温多湿で残暑が厳しいです。秋分のころまでは「温燥」なので夏の薬膳茶の水巡茶、気血巡茶、ダイエット応援爽快茶、崑崙雪菊茶、桂花酸梅湯など。
オススメの薬膳食材は、緑豆はと麦、山査子、蓮の実などの清熱利湿食材。暑い時の薬膳粥の具材にオススメです。
 ドロドロ瘀血を改善する薬膳食材は竜眼、黒きくらげ、山査子、紅花、新疆なつめ、枸杞の実、桑の実、桂花などもオススメです。
いろいろお豆のスィーツセット、白きくらげのスィーツセットもオススメです。
清熱したり、ストレスを解消して気血の巡りを調えるものを摂りましょう。

2.台湾の夏の定番薬膳スープ

この時期の一番のオススメ薬膳「四神湯」スープもまだまだオススメ。芡実、薏苡仁、山薬、蓮子、茯苓など余分な暑湿邪を排泄する薬膳食材がたっぷり配合され、本場では豚モツなどを加えてたんぱく質もたっぷり摂ります。豚モツが苦手な方は鶏手羽などでもOK。夏バテや暑気あたりの予防におすすめの薬膳スープです。さらに緑豆や小豆、市販のヤマイモなどを加えるより栄養満点で効果的です。

3.漢方入浴剤

 暑い時こそしっかりお湯につかってリラックス&リフレッシュしよう。
少しぬるめのお湯でも良いので、しっかり浸かると緊張もほぐれリラックスして気血の巡りが良くなります。
 「艾葉」(ヨモギ)がたっぷり入った「ほっこりポカポカあたため乃湯」はカラダが温まりココロの緊張もほぐれ気血の巡りを促進。
よもぎは邪気を祓うので部屋に吊るしたりしますが、お風呂に入れて温浴も効果的です。浴室いっぱいに広がる漢方の香りに癒されココロもカラダもリラックス!
 また、エキゾチックでオリエンタルな香りの 「すっきりさっぱり乃湯」は、アロマではパチョリと呼ばれる「藿香 」(かつこう)という生薬をたっぷりブレンド。独特の香りで気の巡りが促進し、モヤモヤ気分もスッキリさっぱり、暑気あたりの体調不調やストレス解消、気鬱解消に。

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次回は、9月8日「白露」ですね。「暑さ寒さも彼岸まで」ですが、まだもう少し秋の虎が暴れているでしょうか。まだまだ熱邪や暑邪を避けしっかり残暑の対策をしてお過ごしください!

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