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二十四節気の養生法【2023 小寒】

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。 1月6日から1月19日(大寒の前日)までの2週間が「小寒」です。冬も残り二節気となりました。とは言っても、小寒は「寒の入り」でもあり立春の前日、大寒の最終日が「寒の明け」。夜明け前が一番寒くて暗いと言われるように、この30日間が一年で最も寒い時期になりますね。
 暦便覧には「冬至より一陽起こる故に陰気に逆らふ故、益々冷える也 」とあります。

一年で最も寒い一ヶ月

今月の癒しの庭園 「兎の神社」

 今年の干支は「癸卯」(みずのと・う)ですね。おんよみでは「きぼう」となります。希望が溢れる歳になれば良いですね。
ということで、今回は宇治市にある宇治神社をご案内します。
 宇治神社は菟道稚郎子命(うじの わきいらつこの みこと)を御祭神とされており、文教の始祖として学業成就・受験試験合格の神様として古来より崇敬されています。間もなく大学入学共通テストがはじまります。受験生の皆さんの学業成就と合格を祈念します。

塔の島にかかる朝霧橋を渡ったところ

 宇治のこの辺りの地名は菟道(とどう)と呼ばれますが、ご祭神がこの地に向かう途中で道に迷われた時に、一羽の兎が現れ出て、振り返り、振り返り先導しこの地に道案内をしたという故事により、正しい道へと導く「神使のみかえり兎」が崇められております。
 鳥居をくぐると兎の手水があり、ここで手を清めて拝殿に進みます。横の鏡にかわいい兎の手水の姿が映っていますね。

ピョンピョン兎さんの手水がお出迎え
世界文化遺産の宇治上神社

 宇治神社のすぐ奥には世界文化遺産として登録される宇治上神社があります。世界最古の神社建築で本殿は1060年に建てられたそうで1000年近くも風雪に耐えて現存しているのはすごいですね。
学業成就のほかに兎は安産多産でもあるので、安産成就としての信仰もあるそうです。

古の自然の力がおりなす"パワースポット"

 明らかなる空気の流れの違いを感じるこの場所は、自然の限りない力の可能性を感じます。神様のお使いとされるウサギが「正しい方向へ導いてくれ」願いをかなえてくれるそうです。

見返りウサギのおみくじは”大吉”

 お茶の里宇治では宇治茶や抹茶のスィーツなどのお店がいたる所にあって、どこで何をいただこうか迷ってしまいますね。

福寿園の甘味処で一服、宇治川の上流

 よく手入れされた素敵なお庭はどこでしょう?

 答えは平等院の入口にあるスターバックスコーヒーのお庭です。
素敵なお庭を眺めながらの「ジャパニーズチャイティーラテ」も美味でした。京都のスタバはお庭つきなんですね。

鮮やかに咲く紅白の山茶花

 受験生の皆さん、また大学受験以外にもいろいろな資格試験などを目指して頑張っている皆さん、日ごろの努力が報われますよう最後の一秒まであきらめず頑張ってください!
 ここからは体調管理もとても大切です。風邪やコロナに負けず、衛気バリアを分厚くして免疫力を高め、早寝早起き温補腎陽を心掛け、悔いの無いようラストスパート!!

夏病冬治

 中国では、「冬至」から九日ずつ(1×9天(天とは日のこと)、2×9天、3×9天という風に)数えながら9回目の九日間、九九天(9×9天=81日)後の春を待つ習慣があるそうです。昔から冬至になると、「九九消寒図」という白い梅の花を書いて9日ごとに花びらを1枚ずつ赤く塗って春を待ち、またさまざまな薬膳入りのお粥やしゃぶしゃぶなどカラダを温めるごちそうを食べるそうです。三番目の三九天(9日間)が一年で一番寒い9日間と考えますが、今年は1月9日~1月17日の9日間が三九天となります。
 空手や武道などは、この一番寒い日に海や川に入って厳しい環境でも負けない心身を鍛える「寒稽古」をされます。どれだけ厳しい環境にも打ち勝って練習したかが自分の自信となります。

九九消寒図

 漢方ではこの一番寒い季節に「陰陽論」に従い、夏の病気を治療する「夏病冬治」が行われます。「三九貼三九天灸」というお灸や専用の膏薬をツボに貼って喘息やアレルギー、慢性消化器疾患、リウマチなどの原因となる体質を改善します。夏病冬治といっても実際には春に起こりやすい症状の予防が目的です。「三九貼」の治療効能は、温陽益気、健脾補腎益肺、袪風散寒、通経活絡。つまり陽気の不足、消化器系、呼吸器系の気血不足や風寒邪気の侵襲、気血の巡りの低下などを改善して免疫力を高め邪気に負けないカラダを作るのです。花粉症など春にツライ症状がある方は、このような早めの対策で春の症状が楽になりますよ。

春の七草

 小寒の七十二侯の初侯は「芹乃栄う (せりすなはちさかう)」と言い「セリが群れをなして生え、凍っていた泉が流れ出し、キジが鳴き始める」季節です。
 春の七草はせり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな(かぶ)・すずしろ(だいこん)の7種。この時期日本では健康を願って「七草粥」をいただきますね。お正月の間に飲み過ぎ食べ過ぎで弱った胃腸を調える効果もあります。中国では、一年で一番寒いこの時期の臘八節 (旧暦の12月8日今期は昨年末の12月30日)に、もち米、緑豆、小豆、氷砂糖、くり、はすの実、ユリ、山芋、ナツメ、白きくらげ、竜眼、クルミなどを入れた臘八粥 (ろうはちがゆ)と言うお粥を食べるそうです。臘八節(ろうはちせつ)は、お釈迦様が悟りを開いたとされる仏教と儒教のお祝いの日で、お寺でのイベントがあったり、参拝者に臘八粥を振舞われ、この日を過ぎるといよいよ春節を迎える準備をはじめるそうです。日本でも中国でも長い歴史に培われた文化や伝統食がありますね。 

七草粥で弱った胃腸を癒しましょう

せり 性味:涼/辛・甘 帰経:肺・肝・膀胱
   効能:袪風湿[去風利湿]
      清熱[清熱解毒、清肺・化痰下気、祛頭中風熱、利咽喉頭目、
         清熱利湿、涼血止血、清熱瀉火、清胃滌熱、清熱止渇]
なずな
 性味:涼/甘・淡 帰経:肝・脾・膀胱
    効能:清熱[涼肝止血、清熱利湿、清肺止咳、涼血止血、解毒]
       補虚[健脾胃・和中、平肝明目]
ごぎょう 性味:微寒/甘・淡 帰経:肺
     効能:清熱[疏散風熱、去風明目、清肺止咳、清熱利湿、
           清心安神]
        去風湿[去風除湿]
        補虚[補血明目、平肝明目]
はこべら 性味:涼/微苦・甘・酸 帰経:肝・大腸
     効能:清熱[清熱解毒、消癰、清熱涼血、清熱利湿、利小便、
           消腫、清熱解暑、清肝瀉火]
        補虚[補中益気]
ほとけのざ 性味:平/苦 帰経:肺・胃・肝
      効能:清熱[清熱解毒、消癰解毒、発表透疹]
すずな 性味:平/辛・甘・苦 帰経:胃・肝
(かぶ)効能:消食[消食導滞]
       清熱[清熱解毒、解酒毒、利水解熱、清熱瀉火]
       散寒[温中寒気]
すずしろ  性味(生):涼/辛・甘 帰経:脾・胃・肺・大腸
(だいこん)効能:清熱[清肺瀉熱、降逆下気、化痰熱、
            清熱解毒、行風気、涼血止血、清熱生津]
         消食[消食導滞] 

 七草は、どれも寒涼性の食べ物で年末年始にかけて飲みすぎ食べ過ぎで弱った脾胃を補い、こもった胃熱を冷まし、消化を促進して解毒する効果のあるものばかりです。
また、小正月と呼ばれる1月15日は「女正月」とも言われ、年末年始家族や来客の接遇に忙しかった女性がゆっくりお正月を楽しむ日で、この時に食べられたのが「小豆粥」。
 あずきは赤小豆(せきしょうず)と言って、水の巡りを調え腫れ物を治し、黄疸や腫瘍を治療する漢方生薬に使われ、薬膳的には母乳の出を良くしたり脚気の治療に使われてきました。
あずき 性味:微寒/甘・酸 帰経:心・小腸・脾
    効能:清熱[清熱利湿、利水消腫、清熱解毒、消癰、清熱解暑]
       活血[清熱和血、散悪血]
       補虚[健脾胃]
 浮腫みの改善に「小豆と冬瓜のスープ」や腸癰(盲腸や下腹部の炎症)に「小豆とはと麦のお粥」、また母乳の出を良くするために「小豆粥」などが食べられてきました。女性に不足しがちな鉄分や食物繊維が豊富なので貧血や便秘の予防に効果的。また利湿効果も高いのでむくみが気になる方も小豆粥をしばらく続けるとスッキリ小顔に。
ただし、あずきが良いからと言っておぜんざい餡子の食べ過ぎにはご注意を!あずきも寒涼性なので冷え症の方は食べ過ぎには注意しましょう。

お腹を調える小豆粥

京都伝統中医学研究所の"小寒におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「補温腎陽」の薬膳茶&食材

温陽を補い気血を巡らせるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
 薬膳茶では、「からだを温める黒のお茶」、「なつめと生姜のチャイ」、「黒薔薇茶」、「気血巡茶」など
 薬膳食材では、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「蓮の実」、「松の実」、「マイカイ花」、「桂花」、「茉莉花」、「紅花」など 
 薬膳鍋セット「薬膳火鍋」、「手足冰凍改善鍋」、「冬の美肌薬膳鍋」、「四物鍋」は、薬膳食材もセットになってオススメ。
腎を補い働きを高めるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
 薬膳茶では、「肝腎かなめ茶」、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「からだを温める黒のお茶」など
 薬膳食材では、「黒きくらげ」、「新彊なつめ」、「枸杞の実」、「竜眼」、「金針菜」、「紅花」、「マイカイ花」など

2.いろいろお豆のお汁粉セット…をお粥に! 

 薬膳スィーツとして「いろいろお豆のお汁粉セット」を販売していますが、中身は「小豆・緑豆・金時豆・蓮の実・黒豆」の五種の豆類です。五色をバランスよく配合して五行周流。ココナツミルク味で味付けて東南アジア風のスィーツとして人気がありますが、この季節はこれをそのまま「いろいろお豆のお粥」にもアレンジするのがオススメです。年末年始に飲み過ぎ食べ過ぎたという方は、ぜひお試しください。お腹の調子がグッと楽になりますよ。お好みで百合やヤマイモ、白きくらげなどを加えるとさらにGood! 

3.ヨモギたっぷりの漢方入浴剤

 ヨモギがたっぷり入った「ほっこりポカポカあたため乃湯」もこの季節の養生にオススメ。ヨモギの香りが浴室いっぱいに広がり、香りに癒され芳香浴の効果も抜群です。ヨモギは艾葉(がいよう)と呼ばれる生薬で、昔から冷えを取る「婦人科の要薬」として女性の血の道証のさまざまな症状改善に使われてきました。 

薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材専門店 京都 楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/

 中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

次回は、1月20日「大寒」ですね。いよいよこれからが本当の冬。気温もグッと低下し0度以上にならない日も。
屋外での長話や活動はくれぐれも冷えに注意し、しっかり防寒対策を!

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