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二十四節気の養生法【2022大暑】

 夏の最後の節気。7月23日から8月6日(立秋の前日)までの2週間が「大暑」です。20日から夏の土用に入っていて7/23は土用の丑で、8/4は二の丑。鰻好きの人は楽しみですね。
 また8/4は五節句の一つ旧暦七夕です。中国では、織姫様は裁縫の神様として、少女たちはなつめや竜眼、お茶などを供えて裁縫や刺繡など針仕事が上手になるようにお祈りしたそうです。日本では願い事を書いた短冊を笹の葉に結びますね。小さい子どもがいなくなると忘れつつある昔からの行事を大切に伝えていきたいですね。
 「夏の大三角」と言われる、東の夜空に輝くひときわ明るい3つの星、白鳥座のデネブと、こと座のベガ(織姫)、わし座のアルタイル(彦星)です。一番明るく輝いている星がベガ(織姫)で、ベガから南東のやや下に輝く星がアルタイル(彦星)。その間に天の川が横たわります。今年は織姫と彦星はカササギ橋で出会えるでしょうか。一年に一度の二人の逢瀬を眺めてみましょう。

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今月の癒しの庭園 法金剛院の「蓮の花」

 今回のお庭は、花園双ヶ丘にある花の寺「法金剛院」です。当店からも徒歩数分で行けるお寺ですが平安時代に建立され、今は「蓮の寺」として知られています。極楽浄土を模した庭園には池や特別名勝「青女の滝」があり、その周りや池には蓮の花がびっしりと植えられ、今の時期は蓮の花が美しく咲き、たくさんの人が癒しを求めて訪れます。

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蓮はサンスクリット語でパドマと呼ばれますが、中でも白い蓮は「プンダリーカ」と言い、ヒマラヤの後方にあってインドを潤すと言われる空想の池「阿耨達池」(Anavatapta)に咲くとされる。

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 白や赤、ピンクの蓮が美しく咲き乱れ、本当に極楽浄土ってこんなとこかなと思わされますね。蓮は泥の中に生まれても、泥に染まらず清浄な花を咲かせると言われます。
 中医学では、花は蓮花(れんか)、葉は荷葉(かよう)、葉を支える茎を荷葉蔕(かようてい)、蓮の実は蓮子(れんし)や蓮肉(れんにく)、実の中にある緑の胚芽を蓮子心(れんししん)、蓮根を藕蔤(ぐうびつ)、蓮根の節目を藕節(ぐうせつ)と言い、それぞれに効能があり漢方薬として使われます。花から根まで捨てるとこがないのがすごいですね。
 普通は捨てられてると思いますが、蓮根と蓮根の間の節の部分藕節(ぐうせつ)の性味・帰経は[平/渋、肝・肺・胃・膀胱経]、収渋止血、涼血化瘀の効能があり、吐血、喀血、鼻血、血尿、血便、不正性器出血、崩漏(月経出血過多)など出血の治療に使われます。捨てるところにも効果があるんですよ。

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 庭園を流れる小川のせせらぎも聞こえないほどの蝉しぐれが、一層の暑さを増しているようでしたが、腰を掛けて青紅葉や風に揺れる大きな蓮の葉を眺めたり鯉の泳いでいるのを見ていると緊張した心が揺らぎほぐれていくようです。暑い中ですが、皆さまも熱中症に気をつけてぜひお近くの花の園へお出かけください。癒されますよ♪

天人合一…天候や気象などに影響を受ける

 さて、大暑は暦便覧には「暑気いたりつまりたるゆえんなれば也 」とあります。夏最後の節気ですが、いよいよ夏本番です。7/26から中伏に入り、一年で一番暑い季節なので心気を損なわないとともに、土用なので、脾気にも気をつけてお過ごしください。
 中医学では「三伏天」の40日間(今年は8/24まで)が最も暑い時期なのでくれぐれも夏の養生法を実践して、穏やかに健やかにお過ごしください。

  今年の夏も異常気象のようで、観測史上最短の梅雨期間や最速の梅雨明けとなり6月に猛暑日や熱中症警戒アラートが発表されてすぐに猛暑がやって来るのかと思いましたが、その後台風4号や偏西風の蛇行の影響などで大気が不安定になり、地域によって集中豪雨などややこしいお天気が続いていますね。
 中医学では「天人合一」と言って、人も自然界の一員として自然環境にとても影響を受けて過ごしていると考えますが、カラダ自体もその日その日の気温や湿度、風などに影響を受けいますし、生活や仕事などでもとても影響を受けています。
 昔、天気予報がない時代は、その日その時の気象状況に合わせて対応するしかなかったでしょうから、大変だっただろうなぁと思いつつ現代の正確な天気予報には本当にありがたいと感謝しますね。
 毎日の気象や天候は、農業や漁業に従事されていらっしゃる方などは、生産や漁獲に直結しますし、それよりも出漁するかどうかなど命にかかわることも大きいです。都会で暮らす人でも、通勤や通学に着ていく服装や電車や飛行機など交通への影響もあります。最近テレビなどで気象病などという言葉も聞くようになってきましたが、中医学では2000年以上も前から天人合一が最も基本的な考えです。中国人の友人から、秋などに朝、半袖シャツ短パンで出かけたら、夕方帰る時雪が降ってたという…ちょっと盛った話を聞いたことがありますが、実際に危険なことがあるようです。日本では、1日でそこまで大きく気候が変わることはありませんが、特に真冬や真夏は体調や生命に直結するほど影響が大きいので、良く天気予報の情報を確認して毎日の危機管理や健康管理に役立ててくださいね。

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清熱解暑におすすめの野菜

 夏の養生法は清熱解暑安神養心。暑気あたりや熱中症にならないようにカラダに余分な熱を溜め込まないように注意し、精神を穏やかにして過ごすように心掛け、心(しん)を傷めないことが夏を健やかに過ごす秘訣だと教えています。
 清熱解暑におすすめの野菜は、キュウリ、トマト、ゴーヤ、冬瓜、セロリ、ナスなどがあげられます。
薬膳的な性味や帰経、効能を記しますと、
キュウリ[涼/甘、肺・脾・胃経]
清熱利湿、利水、清熱解暑、清熱解毒など。
トマト[平/酸・微甘、胃経]
清熱解毒、清熱利湿、涼血止血、清胃生津止渇、平肝潜陽、健胃消食など。
ゴーヤ[寒/苦、心・脾・肺経]
清暑滌熱、除邪熱、止煩渇、清肝明目、清熱解毒、健胃潤脾など。
■冬瓜[微寒/甘・淡、肺、大腸、小腸、膀胱経]
清熱利尿、清熱瀉火、清津止渇、清胃熱、清暑湿、清心火、清熱解毒、去風、益脾・養胃・下気、潤肺・化痰・止咳嗽など。
セロリ[涼/甘・辛・微苦、肝・胃・肺経]
清肝瀉火、清利頭目、清熱解毒、疏風清熱、清肺止咳、化痰、涼血止血、清熱利湿、去風除湿、益気血補血、平肝調経など
ナス[涼/甘、脾・胃・大腸経]
清熱瀉火、清熱解毒、涼血止血、収斂、清熱利湿、利尿、活血化瘀、寛腸通便など。
 これらの野菜は、カラダの余分な熱を冷まし(清熱)、水の巡りを調えむくみを解消(利湿)し、それぞれの五臓の働きを補ってくれます。
※但し、すべて寒涼性の食べ物ですので、冷え症や下痢の人などは食べ過ぎに注意しましょう。特にサラダなど生食ばかりしないよう気をつけて、自分の体調に合わせて、寒涼性のものばかりで献立を作らず、穀類、豆類、芋類など平性の食べ物や温性も併せながら一食のトータルで少し寒涼性になるようにしたり、一日のトータルで寒涼性になるように少しづつ調整して召し上がるようにしてください。

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三豆やはと麦もおすすめ

 今から二千年以上前の春秋戦国時代の名医、扁鵲(へんじゃく)が作った漢方薬に『三豆飲』というのがあります。黒豆、小豆、緑豆の三種類の豆と甘草を煮出す漢方薬ですが、もともとは天然痘や水疱瘡(みずぼうそう)の治療薬としてつくられたそうです。これらの豆も、カラダの中の余分な熱を取り除き、お腹の働きを高めて水の巡りを調えるので、高温多湿な日本の夏に、夏バテや暑気あたりなどの予防や体調管理にもとても効果のあるドリンクです。

使われる豆類の五性/五味、帰経、効能は、
黒豆(黒大豆)[平/甘、脾・腎経]
益腎、健脾、利水滲湿、去風解毒、活血化瘀など。
小豆(赤小豆、紅豆)[微寒/甘・酸、心・小腸・脾経]
清熱利湿、利水消腫、清熱解毒、清熱解暑、散悪血、健脾胃など。
 緑豆[涼/甘、心・胃経]
清熱解毒、疏風泄熱、消暑、除煩熱、清熱利湿、利水消腫、清火清痰、益脾胃など。
 作り方は、黒豆、小豆、緑豆各20gずつを洗って、一緒に60分ほど水に浸け置き、1㍑のお水で強火にかけ沸騰したら弱火にして豆がはじけたら完成。(作り方や分量は、それほど厳密ではないようです。)中国の動画サイトには、三種の豆に氷砂糖を入れたり、なつめを入れる物や烏梅を入れる物が紹介されています。
 豆は食べずに煮出した汁を飲みますので少し甘味をつけた方が飲みやすいですね。子どもが飲んでくれれば手足口病にも効くそうです。

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夏におすすめお粥で清熱解暑。

1.緑豆と蓮の実のお粥
  材料 緑豆85g、米90g、蓮の実30g、水1.6㍑
①.緑豆と蓮の実を洗い、水と一緒に鍋に入れて火にかけ、沸騰したら弱火 
  にして20分煮る。
②.米を洗って水けをきり①.に加えて火にかけ、沸騰したら弱火にして50
  分ぐらい煮る。

2.三豆粥
  材料 黒豆50g、小豆50g、緑豆55g、米60g、水81.6㍑
①.黒豆、小豆、緑豆を洗って、水と一緒に鍋に入れて火にかけ、沸騰した
  ら弱火にして20分煮る。
②.米を洗って水けをきり①.に加えて火にかけ、沸騰したら弱火にして50
  分ぐらい煮る。

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3.はと麦と緑豆のお粥
  材料 はと麦80g、緑豆40g、米90g、水1.6㍑
①.はと麦、緑豆を洗って、水と一緒に鍋に入れて火にかけ、沸騰したら
  弱火にして20分煮る。
②.米を洗って水けをきり①.に加えて火にかけ、沸騰したら弱火にして50
  分ぐらい煮る。

 台湾や中国では、お粥はよく食べられます。さまざまな具を使って季節の養生やその時の自分の未病改善に食べます。中国語でお粥は「喝粥」(ホァジョウ)と言い飲み物を飲む時と同じ言い方をします。つまりお粥は飲み物と考えられています。日本でお粥というとご飯を柔らかく炊いたものという感じですが、ちょっと違う感覚のようです。
 冷え症(陽虚)体質の方や冬場に体調を壊しやすい人は、夏の養生はとても大切です。冷たいものの飲み過ぎ食べ過ぎや、扇風機やエアコンで冷えたカラダを自分の体質に合わせた具材のお粥でお腹の調子を取り戻しましょう。冬にツライという人は、かき氷やアイスクリーム、キンキンに冷えたビールではなく、暑い夏こそ陽気を損なわないように常温で摂取する「ぬるめ生活」がオススメ。中医学では、このような冷たい物でカラダを冷やすのではなく、寒涼性の食べ物を上手に取り入れて余分な熱を冷まして陰陽調整することが大切だと考えます。

7月20日から夏の土用…健脾利湿も

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 7/20からは夏の土用に入っています。土用は 「土旺用事」の略で、 立春、立夏、立秋、立冬の前18日間を土用 と言い、季節の変わり目の調整期間と考えます。土を司る土公神 が旺盛になる期間なので土を触ってはいけないという風習があります。
 中医学では五行論のと同じ気質で関係が深く、この期間に土を動かしたりすると消化器系を傷めやすいと考え、夏から秋への季節の変わり目ですので、体調を壊しやすい時期です。冷たい物の暴飲暴食や寝冷えなどでお腹を傷めないように注意しましょう。
 今年は7/23が「土用の丑」、8/4が「二の丑」ですね。平賀源内が広めたと言われる「土用の鰻」を食べて英気を養いましょう。「鰻」は滋養強壮作用が高く肝腎の働きを高め気血を補います。[性味:平/甘、帰経:肝・脾・腎]気虚、血虚、血瘀、陰虚、陽虚体質におすすめ食材です。鰻のかば焼きにすりおろした山芋をかけワサビを添えると夏バテや老化予防に効果的です。
 土用には衣服や書物などを干す土用の虫干しや丑の日に丑湯に入って無病息災を祈る習慣などがあります。
海開きの季節でもありますので、海水浴やプールなど水の事故も気をつけてください。 

京都伝統中医学研究所の"大暑におすすめの薬膳茶&薬膳食材"

1.「安神養心」精神を安定させ心を養い穏やかに過ごすための薬膳茶&食材  
 心(しん)は精神活動と血液循環器系にかかわっています。暑さでイライラしやすい夏は特に精神状態を穏やかに保つことが大切です。 心志は「喜」で働きが良くなります。楽しいことをするように心掛けて、交感神経の興奮を抑えましょう。またコロナの感染急拡大ですが、涼しいコンサートホールでクラシック音楽や美術館での絵画鑑賞などもオススメです。  
血を補い巡りを調え、心(しん)を養うオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「なつめ薬膳茶」、「なつめ竜眼茶」、「増血美肌茶」、「健やか茶」、「気血巡茶」など、
薬膳食材では、「新彊なつめ」、「百合」、「蓮の実」、「竜眼」、「緑豆」、「枸杞の実」、「黒きくらげ」、「金針菜」などがオススメ。

2.「清熱解暑」 カラダの熱を冷まして、余分な熱がこもらないように 
 気温も上がり、夜でも熱帯夜で最低気温が25℃より下がらず蒸し暑いので、カラダに熱がこもり「熱邪」に傷められやすくなります。心熱がこもると体内で「心火」を炎上させ、頭痛、めまい、精神錯乱、不安感、煩燥、不眠、動悸、脳出血などを引き起こします。夏の養生法はもう一つ「清熱解暑」。カラダの中の余分な熱を冷まし、取り除くこと。
余分な熱を取り、心火を抑えるオススメの薬膳茶&薬膳食材は、
薬膳茶では、「気血巡茶」、「酸梅湯」、「水巡茶」、「理気明目茶」、「五望茶」、「ダイエット応援爽快茶」、「崑崙雪菊茶」など、
薬膳食材では、「金針菜」、「菊花」、「殻とりはと麦」、「緑豆」、「百合根」、「皮去り炒りはと麦」などがオススメ。
いろいろお豆のスィーツセット」の材料を使ってお粥にしてもGood!「白キクラゲのスィーツ」もおすすめ。  

3.漢方入浴剤 
 ヨモギがたっぷり入った「ポカポカあたため乃湯」はカラダが温まりココロの緊張もほぐれ気血の巡りを促進。 
 エキゾチックでオリエンタルな香りの 「すっきりさっぱり乃湯」は暑気あたりの体調不調や食欲不振や不眠解消に。
中医学や漢方の知恵を毎日のくらしに活かして、体質改善や病気の予防に役立てて下さい。

薬膳茶や薬膳食材などの商品は各ショップでお買い求めいただけます。
薬膳茶&薬膳食材 京都楽楽堂
https://www.kyotorakurakudo.com (ただいま開店準備中)
京都伝統中医学研究所 楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/iktcm/
京都伝統中医学研究所 ヤフー店 https://store.shopping.yahoo.co.jp/iktcm/

 次回は、8月7日「立秋」ですね。なんと、もう秋!?まだお盆も過ぎてないのに秋と言われてもねぇ???って感じですね。
でも、まだまだ実際はこれからが夏本番、熱邪や暑邪を避けしっかり熱中症対策をしてお過ごしください! 


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