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青春18きっぷとユースホステルの旅

10代の頃。
時々、ふらっと旅に出た。

実家住まいの頃は、家出して。
ひとり暮らしをはじめてからは、人知れず。
行先もないまま、旅に出た。

夜行バスや、ヒッチハイク、道ゆく人に頼んで移動することもあったけど。
一番よく利用したのが、「青春18きっぷ」
JR普通列車、1日乗り放題の切符。5枚綴りで、今は12050円らしいけど。当時はもう少し安くて、5枚で11000円くらいだったと思う。
実質2200円余で1日乗り放題なので、ちょっと遠出をしたい時には、いつも使っていた。

ある時ふと思い立って、青春18きっぷで東京に出た。(西日本のはじっこから。)田舎町の小娘ひとり、ガタゴト揺れる列車に2日間揉まれて、大都会に降り立った。

何泊か、ユースホステルに宿をとった。
代々木ユースホステルと、国際ユースホステル。いろいろな国の人たちと相部屋になって、みんなと住所交換をしたメモが、今も手元に残っている。

都会のユースホステルでは、英語が公用語だった。英語なんて全く喋れないけど。みんなでわいわい喋るのは楽しかった。
同室の医学生に通訳をしてもらったり。
ほとんどジェスチャーと、雰囲気でやりとりしたり。

談話室では、いろんな会話が行き交っていた。英語が母語でない国の人たちどうしの会話は、聴いていてなんとなくわかるもので。面白いなぁと思いながら聴いていた。

香港からの旅行者と仲良くなって。See you(再見)と、別れたあと。行く先々で再開した。(代々木ユースでも国際ユースでも一緒だった。)
別れのたびにSee you(再見)と、手を振るのだけれど。次の場所でまた出会うということを、何度も(5回くらい)繰り返すので。
See you(再見)の力かしらと思っていた。

どこの街だったかは、覚えていないけど。夜の街を彷徨った。いろんな街を彷徨った。
(ある意味自暴自棄、ある意味刹那的に。)

都会はたくさんの人やモノや情報であふれていて、わくわくするけれど。情報が多すぎて、処理が追いつかない。
わたしには合わないと思った。

帰りも青春18きっぷ。
山陰を通る大廻りのルートを。途中下車しながら帰った。

鈍行列車の旅は、車窓から見える景色がゆっくりと変わっていく。街も、山も、海も、ゆっくりと流れていく。
その風情とはうらはらに。体力的には意外と辛く。長時間になると、身体中のあちこちが痛みだし、眺めを楽しむ余裕もなくなってくる。

わたしの旅の記憶はいつも。
コンビナートの地上の星で終わる。

疲れた体をなんとか起こし、さいごの力を振り絞って下車の準備をはじめる頃。目に飛び込んでくる星空の美しさに、はっと息をのんで。
「イミテーションスター」と呟くのが。
旅の終わりの恒例行事だった。

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