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【私小説44】懺悔

小学校高学年の頃の事だった。
父親がゴルフ場で犬の子供を拾ってきた。
すぐにおしっこを漏らすのでチッチという名前を付け、わが家で育てる事になった。
しかし我が家にはすでにがおり、チッチは大きくなるタイプの犬、という事で外で育てる事になったのだが、今でもそれを許していた自分自身が本当に憎たらしい。
何故断固拒否、絶対に室内で育てるべきだと主張しなかったんだろう。
無理なら里親を探して我が家では育てるべきじゃなかった。
結局チッチは死ぬまで外で暮らした、やって来て間もなくチッチが子供を産み、そいつらのうち多くは里子に出し、残った数匹もまた庭で繋がれた状態で死ぬまで暮らした。
まるで宝物のように四六時中撫でられ、愛情を注がれる動物がいる一方、夏は茹だり、冬は凍え、繋がれっぱなしで死ぬ動物もいる。
人間の子供だって同じ。繋がれた犬より不幸な人間の子なんて世界中に五万といる。
 
でも、その諸悪の根源が自分になってしまう事だけは今後は絶対に避けたい。チッチとその子供たちに私は絶対呪われている。
本当にごめんなさい。生まれ変わったら必ず幸せに生きてください。
今度こそ。

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