天神山樹木医事務所

千葉県在住の樹木医です。無機の世界から生きた環境を創り出す植物。植物を分解する微生物、…

天神山樹木医事務所

千葉県在住の樹木医です。無機の世界から生きた環境を創り出す植物。植物を分解する微生物、そして作られる土。自然環境によって人は育まれている。人が生きる良い環境とは何かを、追求していきます。 羽黒山古修験道山伏先達。 https://tenjin.shinato.co.jp/

最近の記事

雄性不稔の憂鬱

タネが危ない このトウモロコシ畑の写真が、人類の破滅的な未来を暗示していると思う人はどのくらいいるだろうか。食物については身体をつくる源なので、敏感な人が多い。合成着色料、調味料、野菜の農薬汚染や化学肥料、家畜の餌、土の放射線汚染、遺伝子組み換え作物など、健康な身体を維持するためには誰でも体に悪いものは避けたいものだ。だが、食べても当人に何の害もなく、子孫を残すことだけに弊害があるとしたら怖い話だ。 この本で著者は、仮説と言いながら、恐ろしい未来がやってくる可能性につい

    • 樹木の病虫害って何だろう

      ある違和感  樹木医は、文化財である天然記念物の名木、古木が失われないように専門知識を用いて樹勢回復等をするためにできた制度である。私は樹木医になったが違和感を感じることがある。名木、古木に限らず、木は病気になる。虫にも食われる。これを被害と捉えて、樹木の健康を害するものとして、診断し、処方する。 しかし、虫には虫の生き方があり、樹木の病気をもたらす菌類には菌類の生存戦略がある。視点を樹木から生態系に移すだけで世界は違って見えるのだ。樹木医の立ち位置は様々で、人が楽しめる

      • 環境への視点をひらく

        科学の今  森羅万象の元素を表すことばとして、古代中国では木・火・土・金・水を当て、仏教では五大といって地・水・火・風・空を使う。これらの考え方は、現代の科学にも通じる手法を用いている。物事を要素に分解し、要素同士の関係やふるまいを明らかにする。違いは再現性の検証と要素細分化の細かさ。元素とその結合体である分子を要素単位とすることで、さまざまな分野で確かな法則が見いだされ、科学的手法が課題を解決に導いた。  今、物理・化学・生物学の境が消えつつあり、分子をコンピュータ上で

        • 大地の脈動

          「通気浸透水脈」というものの見方を知って以来、地中の水の動きが気になって仕方がない。  一日のうちで、夜明け前には水分は蒸発とともに地上に吸い上げられ、陽の当たる日中、葉は光合成を盛んに行い、樹木の根から大量の水が吸われて下降する。夜は、根が呼吸をして水分が供給される。地下の水は脈動している。海に近い平野では、一日に2度ある、満潮・干潮の影響があるはずで、地下水位は2サイクルで脈動があるはず。さらに月の満ち欠けで、満月・新月の時は振幅が大きく、半月の時は振幅が小さい。  一年