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大地の脈動

「通気浸透水脈」というものの見方を知って以来、地中の水の動きが気になって仕方がない。
 一日のうちで、夜明け前には水分は蒸発とともに地上に吸い上げられ、陽の当たる日中、葉は光合成を盛んに行い、樹木の根から大量の水が吸われて下降する。夜は、根が呼吸をして水分が供給される。地下の水は脈動している。海に近い平野では、一日に2度ある、満潮・干潮の影響があるはずで、地下水位は2サイクルで脈動があるはず。さらに月の満ち欠けで、満月・新月の時は振幅が大きく、半月の時は振幅が小さい。
 一年というサイクルもあり、光合成の盛んな夏は土が乾燥し、水は下がり、落葉樹が葉を落とす冬は、水は上がってくる。
 気象の影響も大きい。雨が降れば水は上がり、降らなければ水は下がる。乾燥すれば、地表は盛んに蒸発し、水は吸い上げられ、湿潤であれば、蒸発は少なくなる。温度が上がれば、水蒸気飽和量は大きくなり、蒸発が増える。気圧もなんらかの影響があるはずだ。

土中の水は、気象と樹木の影響を大きく受ける

水は大地、海、空を循環しているという。大きく言えばそのとおりだが、身近な地面の下では、水は脈動している。これこそ、大地の鼓動であり、大地が生命体として活動している証拠なのである。

都会で大地の鼓動を感じられるか

ところが、大地の鼓動は、近年、あちこちで動きが止まっている。滞水と砂漠化は、同時に起こり、現在、被覆された道路のでは、しばしば陥没が発生する。土が死んでいるのである。植物に病虫害が発生し、人間も調子が悪くなる。そして、死んだ大地で必死に働く人々が、豊かな山、川、海を壊していく。大地の脈動を知り、鼓動を感じ、豊かな世界を取り戻されければ、我々に未来はない。