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【PROLOGUE】脳内麻薬が出れば、人生勝ったも同然です。

どうも、退屈な日々を過ごしているみなさん、こんにちは。ほんとにもう、ヒマで仕方がないでしょ。ワタシも同じです。

でも、昔は面白かったと思いませんか? 単純に企業がたくさんおカネを持っていたからめちゃくちゃなことができたし、売れる・売れない、みたいな基準でコンテンツをつくるなんてことはなかった。だから、いろんなツボを刺激するメディアがありました。ツボに入った面白さは、まさに、脳内麻薬が出る感じでしょ。

私がフリーライターとして、書きに書きまくった八十年代から九十年代までは、メディア自体が無茶苦茶を許してくれていました。手短に私自身のことを語れば、家族間での遺産相続争いをルポタージュしたり、刑務所から出所してきた元犯罪者の服装をサイバーパンクに変えてみたり、怪しげなビジネスをやっている企業を逆にハメられるか検証してみたりと、今振り返っても相当にひどいことばかりをやっていました。

でも何より、やってる本人はそれが面白かったし、読者の人たちも喜んでくれた。読者ハガキなんかはそんなに読まなかったけれど、たまに目を通すと、「俺はもっと、こんなことができるんだよ」とか「あの記事に書いていたことより、もっとヤバい情報があって……」なんていう、余計なおせっかいだけど、熱狂的な人たちの存在も身近に感じられていました。

今はもう、その熱狂はどこかへ行って、活字のメディアは瀕死の状態。もう雑誌なんてひどくて、悪い言い方をすれば、広告を束ねた紙ですよね、あれは。「他のメディアと違うことをやろう」なんていう奇特な人は皆無で、「あのヒットした企画を追いかけよう! たとえ、失敗したとしても、最低限の反響はあるだろう」という人ばかりになっています。

結果として、私のような年を食ったライターは業界の隅に追いやられ、世渡り上手な、こたつ記事をチャチャッと仕上げるWEB系のライターばかりが金を稼ぐ時代になってしまいました。ちゃんと確認したわけじゃないけど、あのとき一緒にやってたライターや編集者は窮屈な思いをしてんじゃないかな。ほとんどが業界を辞めちゃってるとは思いますが。

でも、この状態って、楽しくないですよね? 読者のみなさん。もちろん、別の方法で退屈しのぎをしてるんでしょうけど。

私たちだって、つまんないんですよ、もう。魂の抜けた原稿を打ち出してるんですから。

懐メロ番組に登場する歌手みたいで、非常に心苦しいのですが、あのときの仲間に声をかけて、なんかもう一度、やってみようと思いました。新しい書き手も紹介してもらいましたよ。

ただ、このメディア状況を大きく変えてやろうっていう意気込みでは無くて、自分自身の生き方とか考え方を根底から覆すというか、たとえ、貧乏だったり孤独だったりしても、ここに書かれた記事を読むと幸せ過剰になるようなメディアにしたいと思って、このマガジンをつくりました。青臭い魂のこもったメディアですね。まあ、実用書とか自己啓発本の類になればいいんですけど。

めざすは、記事を読んだ次の瞬間に、脳内麻薬がドバドバと放出されて、言動がまるっきり変わっちゃうようなコンテンツです。

というわけで、人生の残り時間は限られているので、先に進みましょう。脳内麻薬放出マガジン『OVERDOSE』を、よろしくお願いします。有料記事も読んでね!

──『OVERDOSE』編集長 ポポ佐山(※もちろん、仮名)


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