否定された僕

結局僕は彼女に結婚できないと言われてしまった。

この人にどこまでも付いていきたいという気持ちがなくなってしまったと。
それは、僕の言っていることがコロコロ変わるから、とのことらしい。

自分の中で、一貫性ということを人一倍意識していたから、この評価にはとても悲しみを感じた。

自分の実力不足で達成できなかったことは確かにある。
でも自分の希望、意志などには一貫性を保とうと努めていたつもりだった。

しかし全く真逆の評価を受けた。
指摘されたのは、
・ずっとこの田舎の地でもいいかも→やっぱり東京行きたい
・働かなくてもいいよ→働くならもっと稼げるでしょ
・(相手が)1年ならいいよ→ロンドンにも行きたいな
・この日会えるから休み取ったよ-OK → あ、やっぱきついかも…

僕の中では東京に行きたいと言う気持ちはずっとあったし、海外に行きたいこともずっと言っていたし、ロンドンに行きたいことも学生の時から言っていた。

就活の失敗で東京に行けなくなってしまって、ひどく気落ちしており東京での就職を想像できなくなったときに、この地でずっと友人とかと働きながら住むのもいいかなって、君も実家はこちらだし、そんな諦めムードで話した。これが僕の本当の希望なわけがないことは、相手も分かるはず。
気持ちが立て直したころに、やっぱり東京に行きたい、そう言ったのだ。
勿論、相手には引っ越しやら就活やら色々迷惑をかけることが多いことは申し訳ないと感じていた。
だからこそ、僕に与えられるメリットはなんだろうかと考えたし、相手の希望、譲れないポイントなんかを聞こうともした。
もともと仕事を早く辞めたかったのも聞いていたから、仕事が辞められるというメリットが相手にはあると思っていた。働かなくても生活の保障がなされているというのは、中々手に出来ないメリットだと僕は認識していた。
それに松本に来ることは、相手が言い始めたことであり、僕からしたらやっぱり松本に行きたくないというのは、君の方が言ってることが変わっていると感じた。だから、君にとっての幸せな生活ってどんなものなの?と聞いた。それが松本にはないのかもしれないと思ったから。
しかしそれは相手の癪に障ったらしい。

海外に1年間、まずその縛り自体が僕にとってのかなりの譲歩であると思っていた。また、ロンドンに行きたいのは単なる夢語りであり、そもそもオーストラリアに行くことも実現できるか不明であって、そこまで具体的に実現できると想像せずにした発言だった。
しかしそこに相手は、1年じゃないの?と聞いてきた。ロンドンにも行きたいという発言が年数に直結すると思っていたなったし、そもそもロンドンが本命であることをずっと言っていたのに、その本命に行かせないようにする相手の発言に対して、いやずっと前から海外行くと言っていたし、それでも1年という譲歩をしたのに、ロンドンにもケチをつけるのか、という気持ちがあって、ロンドンは前から言ってたじゃん、と答えてしまった。

というか僕としては、別にその時その時行けるかどうかお互いの状況を確認しあって行くもんだと思っていたし、別に僕だってチャンスがあっても僕の都合で行けない状況だってあるだろうし、そんなのその時にお互いの都合がいい時に行くに決まってるじゃん、相手が行きたくないといっているのに無理やり行くことなんてあるわけがないじゃん、そう思ってしまう。

始めから、働かなくていいし、父親が働けといっても別にいいんじゃない?と何度も言っていた。それでも君が働こうとしていて、103万くらいかなっていう発言をしたから、働くならもっと稼げるでしょって言ったのが、もっと稼ぎなよというニュアンスに聞こえたらしい。
せっかく働くなら、楽に働いても103万以上は稼げるわけだし、せっかく就活という一番のハードルを越えたのならば、無理せず稼げる範囲で稼げばいいじゃん、そう思っての発言だった。別に生活費のために稼いでよ、といった覚えは全くない。
というかどうして、僕が前に行った発言の重みと軽く1度切り言った発言の重みが同じなのだろう。まあそれは時系列的に、それが僕の最新意志だと認識されるからだろう。その意見に疑問を抱くのなら、聞いてほしかった。
僕はそこにそんな意味合い込めたつもりもなかったから、それがそんなに相手に嫌に聞こえていたとは気付けなかった。

というか、僕はもともと言っている発言に一貫性を持てるように意識しているからこそ、僕がその場のノリで言ったような発言に対して、僕自身が殆ど無自覚であり、無責任であったのかもしれない。

そして、僕は筋がちゃんと通っていることは尊重されるべきだという考えがある。
相手を騙したり、ズルしないでちゃんと発言していることについて、付き合った後から何か言われても、そういう僕だと分かって付き合ったんじゃないのかなって思ってしまう。それじゃ何のために僕は自分のことを相手に正直にオープンにしていたのだろう。

そもそも、僕の言うことがコロコロ変わるというのであれば、僕が海外に行くのを1年にしたことも、意見の変更じゃないか。
それが自分にとって都合のいい変化なのか、都合の悪い変化なのか、それだけが問題なんじゃないか。
一度相手に譲歩し過ぎたら、もう後には戻れないということじゃないか。
その後の変更は、相手にとって不都合な変更なのだから。

まあ結局、僕の言い方に棘があったのだと思う。
どうして棘あったのかは、イラっとしたからなんだ。別に意図的に相手を傷つけたい人間ではない。
どうして初めから伝えていたことを却下しようとするのか、それならばどうして僕と付き合ったのか、僕も既に譲歩しているじゃないか、どこまで僕の希望を削っていくつもりなのだろう、そう感じ、嫌な気持ちになっていた。

あとは、そんな先のことに対して今取り決めたって、お互い海外行く気持ちなんてどうなっているか分からないのに、どうして今そんな不確かな話をしようとするのかも疑問だった。
2人で生きていくことが前提にあるのであれば、どんなことでもそうだが、その時に話し合っていけばいいじゃないか、そう思っていた。

結局、この人と生きていくという気持ちとかで付き合っているわけではなくて、自分にとって条件の良い人を探す旅をしているのだなと感じた。
だから、条件付きお付き合いになる。
条件が悪くなれば離れていく。
そういう付き合い方に、悲しみを覚える。
その人自身の人間性なんかが嫌いになったらそれは一緒にはいられないけど。
まあ海外に行くかどうかの話し合いの中の僕の発言、姿に幻滅して、人間性を嫌われたのか。
それであっても、好きであった部分があるのであれば、その嫌な部分を相手に伝えて直してほしいということを、ぶつけて欲しいと思ってしまう。
少なくとも僕はそういう向き合い方をしたと自負している。

結局、ぶつかる面倒を避けたくて、都合の悪い相手の一面が見えたら、そこで捨てる、そういう付き合い方なんだよね。
僕は相手の良い所を、見つけよう、見よう、そういう気もちで付き合っていたのにな。

そもそも相手が僕のことのどこが好きかがやっぱり定かでなかったからこそ、嫌な面が見えたときに帰る初心がなかったのかもしれない。

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