バーバヤーガの夕暮れ

深く差し込んだ橙色の光が、
濃い群青の砂漠の空を執拗に照らしている。

西の丘はその背後に背負った橙色の光に焼かれて、真っ黒な影を砂漠に落とす。

群青色と橙色とが争って、濃厚な卵白のごとく浮かぶ雲を一つ二つと染め上げる。
暗い暗い夜がやってくるのを知りながら、
今一時はその迫り来る孤独を忘れて
回り続ける地球を見ている。

シンとした、うるさいほどの沈黙。
騒がしいほど無口な黄昏の色。

その手に死の斧を振るった鍛冶屋。
それは人の顔をしていない。
人の顔をしているものが、生と死の狭間を曖昧に彷徨えるはずもないから。
鍛冶屋の頭は大ぶりな芍薬の花の、その花弁がすこし枯れ始めている
そんな姿になってずいぶんと経つ。

砂漠の狐がその宵闇に浮かぶ影を遠く見咎めては願う。

私がいつか、彼も彼方も置いて永い眠りにつくとき
その目に最後に映すものは、荒々しく密やかな花冠その一つであることを。

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