言葉の呪い
「お前ってさ、横顔ブサイクだよな」その一言がきっかけで私はそれからずっと顔面コンプレックスに悩まされることになった。
それまでの私は自分のことをそれなりに可愛いと思っていた。しかしそれは一瞬にして崩れた。100人に言われる可愛いよりも一人に言われたブサイクの一言がずっとずっと心に残って頭から離れないのだ。それから写真が嫌いになった。こんな顔で写りたくない。そう思うようになった。素直に笑えなくなった。なぜなら可愛くないから。
鏡で自分を見るたびになんでこんなに不細工なんだろうと思って涙が出てきた。メイクをして髪の毛を整えて可愛い服を着ても最後に鏡でチェックするだけでこんなんじゃ外に出られないと泣きながらメイクを落とし服を着替えてやり直したこともあった。人と対面で会うときに横顔を見せれなくなった。なぜなら私は横顔が不細工だから。なるべく手で顔の半分を隠すようになった。不細工なのがバレないように。
その半年後私は顎にフィラーを入れた。口角を挙げた。ボトックスを打った。脂肪をなくした。その時の先生に言われた言葉を私は決して忘れない。「痛いけど頑張ってね。あなたはもっともっときれいになっていきますね。」彼は韓国人だったのに片言の日本語で私にそう伝えてくれた。わたしはちゃんときれいになっていくんだ。なれるんだと嬉しかった。
顎が出てきたことによって私の横顔は少しは見れるものになった。自分に少し自信がついた。人に横顔を見せれるようになった。でもどこかで私はずっと自信がない。また誰かにどこかが変だと思われてるんじゃないか鏡で自分と向き合ってアラを探して。負のループを続けた。
昔彼氏に言われたことがある。「動画を回すとなんで顔を隠すんだ」と私は油断したときの素の自分の顔を見たくなかったのだ。認めたくなかったのだ。「顔なんて誰も気にしないよ。芸能人でもないのにそこまでする必要があるのか?」みんな言う。そうなのだろうか?気にしないくせにみんな人に平気でブスだの何だのいうのに?
少なくとも私は自分の顔をこんなにも気にしている。お前が気にしなくても24時間365日この顔と向き合っている私が気にしているのだ。だからこれからも私は整形をする。もう鏡の前で泣かなくていいように。出掛ける前にこんなはずじゃなかったと悲しまなくていいように。