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家づくりに夢を見過ぎてないか?掃除屋さんが教える現実的なハナシ。

こんにちは。 お掃除&お片付けアドバイザーのKYOUKOです。 私は1人で美装工事の職人をしながら、 新築のアドバイスをしたり、 整理収納アドバイザーや片付けの仕事をしたりしています。


私たち掃除屋さんの仕事はあまり知られてないですが、新築工事現場の一番最後に入る業者でもあるんです。その仕事は非常にキツく、一般的なイメージとは掛け離れています。ここでちょっと作業工程を書きますね。

AM7時…

①床養生(ベニヤ板のようなイメージ)をテープをはがしてから一階に運ぶのがかなり重い

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②その他の養生(キッチンのビニールなどはがしまくる)冬場は静電気が怖い

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③工務店によっては現場がひどいので、カッターの刃や色んなものが落ちているのを拾う

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④あらそうじといって、掃除機でまず床の粉を吸う作業(この作業をいかに丁寧にするかで決まる)

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⑤二階の窓からスタートしていく
(ガラスを外して中に入れ、カッターをかける)

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⑥拭きものと言って、クロス以外の全ての面という面を拭く(棚板、ドア、ドア枠、はばき、など360°全ての角度から拭く)

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⑦床を仕上げる

⑧一階に降りて⑤⑥⑦を繰り返す

⑨床のボンド痕や、コーキングがとんだもの、クロスのり…などあらゆる汚れをシンナーなどで落とし、チェックしてまわる

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⑩玄関土間を酸洗いし、外周りの工事ゴミを拾ったり、水切りや外壁の汚れをチェック

PM4時(人員2名、40坪ほど、レベル普通の場合)

と、ざっくりかきましたが、ひとつひとつが手作業であり、どれも体力を使う内容です。多少人によって工程は違うものの、まあこんなところかな。夏はノーエアコン地獄、冬は極寒、全国の掃除屋さん、本当にお疲れ様です!繁忙期になるともう、虫の息です!

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さて、本題に入ります。掃除屋さんがいつも現場に入って思うことがあります。

「ねえ、なんでこんな家にしたの?」



…一番言ってはいけないセリフですね。でも私がこうやってブログを書いてしまうってことは、これ以上余計な手間のかかる家を建てないでほしい。あなたのために…!てのが言いたかったんです。だって本当に後悔するから。マジで。あと、現場も家事もやって、ブログまで書く気力のある人って多分全国的に私ぐらいしかいないかもしれないからかな…笑


ではいきましょう。私がここ10数年、新築も中古も、洗いの仕事をして見てきた、最悪なパターンの家はどんな造りなのか…


①バリアフリー時代なのに、スキップフロア(床が高くなったり低くなったり)だらけの家


これは一番アカン。これは。何でかというと、もう大分前に、バリアフリー基準(段差がない)が当たり前になりましたよね。段差があると、色々と危ない。ただでさえ、床と相性の悪い靴下やスリッパを履いていて、滑ることがあるのにも関わらず、段差つけまくって一体何考えてるんだ!ていう家が、未だに沢山。いや、もしかしたら増えたのかもしれない。ケガをしない自信がどこにあるんだろう。歳をとらない自信がどこにあるんだろう。ちなみにスキップフロアは割高になるし、掃除は大変です。ルンバも使えない。畳の小上がりぐらいにしておくのが一番無難なんじゃないかな。


②広すぎ

田舎は持ち家率も高く、土地も安いので、皆さん若くても良い家を建てておられます。が、しかし。広すぎる家もまた多い。誰が掃除するのだろうか。吹き抜けをつくり、子供部屋を張り切ってロフトを作って、もう動かせないような机を作って、生活動線も何も考えてないような、そんな家がま〜多い。人間は横移動より、縦移動の方が嫌いなのだ。「家は立派なものを」「福井の長男は立派な家に」的な考えの名残がある巨大な家は、中古物件となり、毎日のように物件であふれたチラシに載っている。その娘や息子たちもでかい家を建てる。日本人は、世界でも同じ家に長く住むということをせず、その世代世代で家を建てていく文化がある。巨大な家はやがて管理ができくなり、解体費用にウン100万とかかかったりする。遺品整理やモノをためこんだ古い広すぎる家は、土地に価値がない限り、もはや負の遺産でしかない。


③素材にこだわりすぎ

しっくい壁はいい。湿気を吸ってくれるから。とはいうものの、その地域や立地、暮らしていく生活によってはカビだらけになったりする。
このように、あれがいいこれがいいと余計な知識があるがゆえに、壁や床が掃除しにくい素材を選ぶ人があとを絶たない。玄関の壁を左官しあげにしたとします。触るとざらざらの。そこにクモの巣が張った場合、どうなると思います?そう、ひきずるんです。なかなかとれないんです。触ってざらざらな素材って、一見オシャレなんですが、掃除屋さんからすると本当にやっかい。床のムク材もそう。メンテナンスが大変で、牛乳をこぼしたままにしたり、油をこぼしたりしたらシミになります。そういうところにこだわっている家に限って、玄関土間はタイルだったりするんですよね。お金をかけるなら、一番よく踏む場所、歩く場所にかけた方がいいです。そして掃除がしやすいかどうか。ココに尽きるし、その方がずっと長持ちします。ちなみに滑りにくいタイルは、汚れやすいし取れにくいので掃除したいのであれば、白っぽくない普通の土間がおススメ。

④外のものを木にしちゃう家

木はオシャレですよね。木って人間が昔から付き合ってきたもの。でもウッドデッキなどの外周り(雨風があたる場所)に、木を使っている現場。2年ぐらいするとどうなっているか…変色してるし、反ってしまっているし、塗装はし直さないといけないんです。今は樹脂素材のものがあるので、高いですがそこはケチらずにいた方がいい。外周りはちゃんとした方が良いです。木をdisっているわけではないけれど、福井は雪も降るし一年の中で何回も災害が来る昨今なので。



⑤収納はありすぎてもいけない

収納ってのは、「モノをしまっておく場所」ですよね?前の住まいは収納がなかったから、家を建てたら収納が沢山ほしいわ!て気持ちは分かりますが、収納がありすぎて、逆にベッドや家具が置きにくくなったり、収納がありすぎることにあぐらをかいて、モノを買いまくってしまう可能性もあります。収納を全部埋めないといけない衝動にもかられがち。
自論ですが、人の暮らしは2〜3年に一回でも見直した方がいい。家のこと、お金や保険もそう。私自身も、一人暮らし、子育て期、でっかい子育て期、と、ライフスタイルは1年ずつ変わってきています。「今までがそうだったから」ではなく、「こうなっていくかもしれない」または「こんな暮らしになるかもしれない」と、どの暮らし方にも当てはまる、柔軟な間取りや収納にすることをおススメしています。暮らしも、趣味も、家具も、人間関係も変わっていきますからね。



⑥使いにくい収納

奥が深い収納は本当に苦労するので、ずっと使うであろうもののサイズに一個一個合わせた収納がいいです。「押し入れ収納」で検索して、あんなにも沢山の記事が出てくるのは、皆使いにくいからです。昔は布団のあげおろしをしていたから、布団に合った寸法だったかもしれませんが、その他のことは考えてない収納では使いづらいですね。今ある敷布団と、掛け布団を測り、別に出し入れできるような造りにするとあとから楽です。

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⬆︎例えば、洋服をかけるにはいい奥行きだが、上の棚まで床と同じ奥行きにしてしまうことで、見にくいし使いづらい。

⑦でかすぎる窓や、掃除しにくい窓

でかすぎるはきだし窓(外に出れる窓)見た目は素晴らしい。だが、開け閉めが大変重い。最近のガラスは、ペアガラスもしくはトリプルガラスで、けっこう重い。リビングから見える景色は最高かもしれないが、ある程度にしとかないと、重いし高いとカーテンレールのホコリもとりにくい。歳を取ったら、手の力は弱くなります。35年ローンを組んだのなら、35年後の自分たちの筋力のことも考えた窓にした方がいい。
掃除しにくい窓や、湿気のある場所にFIX窓(開かない窓)は、後々苦労します。掃除がしにくいということは、カビが生えやすいということ。どんな立派なガラスだとしても、人が呼吸したり、眠る場所だったり、暮らし方でいくらでもカビます。雨が入ってくる来ないも、かなり重要です。しばらく換気などをしておきたい場所の窓なら、横滑り(滑り出し窓)にすると急な雨でも安心ですが、外側の掃除はしにくいです。窓を見たかったら、モデルハウスに自分の家の図面を持っていき、サッシ屋さんと一緒に同行してもらうことがおススメです。その時、必ず開け閉めを10回以上してみて下さい。

番外編

立派なエアコンをつけるのはいいんですが、お掃除機能付きも、天井づけのエアコンも、数年に一回、¥20,000〜¥40,000のクリーニングが必要です。特にお掃除機能付きはややこしく、マメにフィルターを掃除しないと、ペットの毛やホコリが中で固まって破損する場合も多々あります。何でも立派な家電を買えばいいわけではないので、張り切りすぎに注意です。


〜まとめ〜

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家づくりは、夢を見がちです。もちろん、夢のマイホームだし、大抵はローンも組むし、好きにして何が悪い!と思った方も多いでしょう。しかし、あなたの家を一番最初に掃除する人は、掃除屋さんです。掃除屋さんが、作業しにくい家は、そこに住む人も掃除しにくいと考えていいでしょう。掃除しやすい家を作るのであれば、まず考え方を変えることです。掃除は、切っても切れないメンテナンスの一部と考え、この家に何年住むのか、ケガをしたり、体が不自由になっても安全に暮らせる家か、長い目で見てほしいなと思います。もちろん、掃除しやすくても、オシャレな家にすることができます。大切なのは、知ることです。どんな素材があって、どうメンテナンス(掃除)していくのか。自分達の現在の暮らし✖︎素材✖︎未来=が、家づくりの基本だと掃除屋さんは思います。

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