日本人同士だけでは見えない日本語世界がある
こんにちは! 今日は短いコラムです。
ムーチョさんが、英語を学ぶと日本語は完璧じゃなくなるけど、実は80パーセントくらいの日本語でもいいのではってお話をしてました。
ムーチョさんはご自身も帰国子女なので、ニュートラルな立場から、バイリンガルで育つことの実際を教えてくれてます。日本で育ってるのに、日本語完璧じゃない私のような人もいますが、私は、むしろ、こういう方、大変貴重だと思ってます。私が原稿をお願いしてきたライターさんにも、外国ルーツの方、少なくありません。
なぜか。今日はそんなお話です。
ハイレベルな欠点探しになる日本人の会話
日本人だけで話してると、なぜか議論が細部に入っていくことがあります。
こんなご意見も。この方も二重国籍をお持ちです。
「ハイレベルな欠点探し」、まさにそうですね。
Twitterで行われてる議論なんかみていると、とにかく、言葉尻を捉えてどんどん細部にこだわった論争になる。根本的な言葉の意味や概念が連れて行くことがあります。
けど、肝心な言葉をテキトーに使っていたりするのも、また同じ日本人なんですよね……。
それを指摘してくれるのが外国ルーツの方だったりする。
日本語を正確に使おうとする人々
例えば、このサンドラさんの朝日新聞の記事。すごく面白い。
23歳で日本に来てすぐのころ。子どもが生まれたばかりの人が、「どんな子に育ってほしいですか」と聞かれて、「好きなことを自由にやったらいいけど、ひとさまに迷惑だけはかけないような子になってほしい」と答えているのを聞いて、びっくりしたんです。「迷惑をかけない子」って一体どんな子だろう……。バンドとか大きな音を立てるようなことをしない子? それとも地球を汚さないように地球環境に気を配る子? うーん。そもそも、それって親が抱く子どもへの夢なのかな? と、まじめに考え込んでしまいました。
ほかに不思議だなあと思ったのは、ワイドショーなどで見る有名人の謝罪会見でした。女性への暴力など大変深刻な事件を起こした人が、謝罪会見で「みなさまにご迷惑をおかけしました」と言うのが不思議でした。謝罪するべき相手は被害者やその家族であって、視聴者にもマスコミにも、まったく迷惑はかかっていないどころか、むしろ興味津々でここにやって来ているのに。迷惑をかけた相手になっている「みなさま」って一体誰だろう、と。
そのうえ、
迷惑って、常識人ぶるのに便利な言葉だなと思います。意味がざっくりとしていて、主語も目的語もなく使われることも多いから、なにが、だれに、どんな問題を起こしているのか説明する必要がない。
とばっさりです。
皆が「なんとなく」使っている日本語の意味を問いかけられて、私なんかはハっとさせられました。
実は、外から指摘されないとわからないことも多いのです。100%日本語オンリーの人には、もう麻痺してしまっていて、見えない世界があるんじゃないかなぁ。
「迷惑」って言葉はまさにそうで、皆が思考停止状態で使い続け、言葉自体が化物みたいになってしまったために、そこで苦しんでる人もいるわけです。迷惑なんて言い出したら、子供なんて産めないです。
それをバサっと、外国ルーツの方が指摘している。
ムッチャ面白い世界じゃないですか。
私もマレーシア人の書いた日本語原稿をたまに編集させてもらうのですが、毎回新しい発見があって、新鮮です。
英語なんてすでにそうなってて、母国語じゃない人に多数、使われて、変貌していく。
今後の日本語世界は、3割くらい、こういう外国ルーツを持つ方たちが混じっていくんじゃなかろうか。
そうなったら、少子化で日本人がいなくなっても、日本語は残ると思います。
それではまた。
これまで数百件を超えるサポート、ありがとうございました。今は500円のマガジンの定期購読者が750人を超えました。お気持ちだけで嬉しいです。文章を読んで元気になっていただければ。