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「他人に迷惑をかけるな」はもう古い?

こんにちは! 野本です。

先日、こんなツイートが流れてきてびっくりしました。


典型的な日本人とマレーシア人のコメント、って感じです。

驚いたのは、このツイートは1.4万回(*1)も「好き」がついてること。さらにコメント欄を読むと、多くの人がこのツイートを支持しているんですね。数年前、というか、私が日本にいた頃はこうはならなかったのではないかな。

今日は短いコラムですが、そんな気づきを共有します。

(*1)初出で数字を間違えてましたので、訂正しました。

人に迷惑をかけてもいい!?

ちょっと前は「他人に迷惑をかけるな」というのが日本人の基本的な価値観でした。学校でも家庭でもそう教えますし、日本にいたときは私の行動原理でもありました。

決して悪い教えではないと思います。現に、海外のホテルなどでは、日本人のお客さんは居室を綺麗に使う「良いお客さん」という評価が定着しています。公共の場を掃除する日本人が報道されることも少なくありません。

マレーシアでは逆に「迷惑をかけて当たり前」で、迷惑をかけあう文化があります。だから私は単純に、日本人とマレーシア人の価値観が違うだけ、と認識していました。

その日本の「迷惑をかけない」志向、90年代辺りから、極端に強まりました。生活保護の人や、紛争地帯を取材するジャーナリストがバッシングされ、ちょっといきすぎかな?とは思っていたのです。

しかし、このツイートの拡散は、「迷惑をかけない」教から脱却しつつある人の数が少なくないことを示しています。そして典型的なマレーシア人の思考スタイルを支持している(私の周囲のマレーシア人も同意見だと思います)。そして、それを「民度」という言葉で表している人がいることに、私は驚いたのです。

民度ってなんだろう?

Wikipediaによれば、民度というのもまた、曖昧に使われている言葉のようです。

民度(みんど、中:民度)とは特定の地域に住む人々の平均的な知的水準、教育水準、文化水準、行動様式などの成熟度の程度を指すとされる

つまり「迷惑をかけたらダメ」を「知的水準が低い」と表現している人がいると。うーん、しつこいですが、驚くべき変化ではないでしょうか。

Twitterで生活保護についてのツイートを見ていても、「変わったな」と思われるものが増えています。


幡野さんも大変人気のある方です。そしてマレーシアの人たちも、貧しい人たちについてはおそらくそう考えるのではないでしょうか。

教育は変わってないのに、一体何が起きているのでしょうか。

もう修行はいらないという鮨職人たち

もう一つ、驚いたのはこの本でした。

「鮨屋に修行は必要か? 鮨職人VS.堀江貴文」は、堀江貴文さんの「鮨屋で修行するやつはバカだ」という趣旨の発言が炎上して三年たって書かれた対談集です。

若手職人たちは、鮨屋の世界でももう「修行」の時代が終わろうとしていると言います。

今回登場してもらった七人の職人たちは、三、四十代。鮨職人としては若手といっていい年代だ。ちょうど、前世代の、まさに何年も修行をしてやっと上にあがった先輩たちにしごかれまくった最後の世代である。最後というのは、もうすでに、無意味な「しごき」をすると、若者はすぐに辞めてしまって人が回らなくなるという現状にようやく気付いたから。
(中略)
成功しているお店は、どこも現場の雰囲気が抜群にいい。楽しくやったほうが仕事は確実にうまくいき、新しいアイデアも生まれる。これも人気店の人気店たる所以なのではないだろうか。
「鮨屋に修行は必要か? 鮨職人VS.堀江貴文」

この本には堀江氏が選んだ人が出ています。だから、反対意見があることを差し引いて捉えた方が良い。しかし実際にマレーシアに進出している鮨職人を取材して、同じことを言われることがあるんですね。

ハッピーじゃなければやめる。楽しみながら働く。まるでマレーシア人のような考え方だなっと思います。この本には7人の鮨職人が出てきますが、彼らの考えを読んでいると、日本もまた、環境が大きく変化したことを感じます。

人々の意識が変わりつつある

日本のことも、もはや離れすぎてて、わからなくなってきました。
私の中の日本は十年くらい前で止まっているようです。

つまり、私が「日本」だと薄ぼんやり認識しているものは「世代が上の方の古い何か」で、若い世代では確実に変化が起きているのかもしれません。

つまり、日本人もだんだんマレーシア人の考えに近くなっていると言うか、東南アジア化しているというか、グローバルに近い考え方になっているのかも。すると、私が書籍(「日本人は「辞める練習」が足りてない」)に書いた通りの世界が、日本にもやってくるかもしれません。それはそれで、これから生きやすい時代に変わっていく良い傾向かもしれないな、と思います。

それではまた。

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