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アクティブラーニングが向く子と向かない子がいる、その理由は遺伝子にあるかもしれない、という話

こんにちは。

マレーシアや日本でさまざまな子どもを観察してきて思ったこと、それは「子どもがどの教育に向くかどうか。それは、やってみないとわからない」です。

親が良かれと思って、「先進的なアクティブラーニング」のインターナショナル・スクールに子どもを入れても、子どものほうは、従来型の教師中心型のカリキュラム教育に戻りたいーーそんなパターンもまた、あるのです。

「自分の意見を言いなさい」教育が向かない人々

これはどういうことだろう? と不思議でした。
従来型の受験型教育の方が能力が向いていて伸びるお子さんも、またいるのです。

「自分の意見を言いなさい」と言われても、「先生、やりたいことがわからないので指示してください」というお子さんがいるのです。

どうしたらスッキリと説明できるのか。

私は長らく、これは幼い頃からの習慣では、という仮説を持っていましたが、どうもそうでもないかもしれない。

最近読んだ本にヒントがありました。

 作家の橘玲さんと心理学者の安藤寿康さんの「運は遺伝する 行動遺伝学が教える『成功法則』」(NHK出版)です。

安藤寿康さんは日本の心理学者、行動遺伝学者、慶應義塾大学名誉教授。
彼はこんなことを言っています。

安藤 アクティブラーニングで言えば、教育界では「自分の頭で問題を見つけよう、自分の頭で考えよう」という意見が増えて、これを推奨する動きが強まっています。けれど、行動遺伝学の知見を踏まえると、遺伝的にアクティブラーニングに向いた人もいれば、そうでない人もいる。アクティブラーニングによってみんなが自分の頭で考えられるようになるなんてことは絶対にない。 行動遺伝学者として、僕はそう断言できます。

「運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」」(NHK出版)

この安藤氏の説だと、私がみてきたことがスッキリと説明できそうです。

アクティブ・ラーニングにも向き不向きがある。
それは遺伝子によって決まっている。
だから、親子でも違うことがある。

日本の教育政策は「教育で学力は伸ばせる」という「荒唐無稽な前提になっている」

この議論はこう続きます。

橘 日本の教育学は、「子どもは空白の赤板(プランク・スレート)で、正しい教育によってどこまでも学力を伸ばせるはずだ」という、荒唐無稽な前提になっていますよね。
安藤 そうです。教育政策もその考えに基づいて作られています。 でも、遺伝的な個体差があることを前提に、教育システムを考えない限り、僕たちは「暗黒時代」から抜け出せません。

「運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」」(NHK出版)

ああ、もしかしたら、「子どもが教育を選ぶ時代へ」でお伝えしたかったことの裏には、遺伝子による違いがあるのかも、と思いました。

魚を木に登らせようとしても、うまく行かないのです。
同じやり方をしても全くうまく行かないことが、多々あるのです。

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