見出し画像

マレーシアの政権交代が平和裡に進んだ理由

こんにちは。マレーシア在住6年の野本です。

歴史的な政権交代となりました。

マレーシアは、3大民族(マレー人、華人、インド人)を中心とした多国籍国家。意外なようですが、民族対民族の争いではありません。与党にも野党にも、この3大民族がそれぞれいるんです。

今回勝ったマハティール首相率いる「希望連盟」は民族を問わず党員になれる党の連立。負けた「国民戦線」は、民族別の政党が主体となる連立政権でした。つまり、「民族が混じった政党が勝った」と言うことです。ムスリムと華人とインド人、まったく意見の会わないであろう人々が共闘しています。ちょっと面白いですよね。

カジュアルに政治の話をする人々

もう一つ、驚いたのは、みなさん平和的にカジュアルに政治の話をすること。SNS大国のマレーシアでは、趣味のグループチャットはもちろん、子供達のSNSでも政治の話題です

息子の小学校でもよく政治や国際情勢の話をしていました。ペナンの方に聞いたら、夜中まで娘さんのグループチャットが政治で盛り上がったそうです。意見は皆違うのですが、それで喧嘩が起きるわけじゃない。こうして自分の意見を醸成し、議論に慣れていくんですね。

こうして子供達が政治を語るのは、家庭できっと親が話しているのを聞いているのでしょうね。マレーシアの主婦と話していると、国際情勢や投資に明るい人が多いです。

選挙の翌日、いつものジムに行ってみたら、主婦たちは誰もが選挙の話題一色。華人もムスリムもいて、異なる意見もあるのですが、違う意見を攻撃することがないのです。異なる人種のいるグループチャットで政治的な話をしても、驚くほど平和的です。

「冷静に」と呼びかける人々

政権交代が決まった夜には皆が暴動を心配しました。そして、
「政権交代が完了するまでは、お祝いはまだ控えよう」と冷静な行動を促すメッセージが、チャットグループにあふれました

以前暴動が起きた反省から、お互い相手側を刺激しないように、自制するように呼びかけたのです。政治活動している人もいましたし、汚職や疑惑で政府に怒りを感じている人は多かったのに、「相手をやっつけろ!」などと威勢のいいことを言う人は、一人も見ませんでした。


マレーシアと日本の学校を体験した息子は「マレーシア人はケンカしない天才だな」と言っていましたが、その通りかもしれません。今回は皆が暴動を心配しましたが、今のところ平和裡に進んでいます。スムーズに行った理由の一つに、こうした人々の冷静で賢い行動もあるのではないかと思います。

今回の選挙についてはこちらのコラムもぜひごらんください。



これまで数百件を超えるサポート、ありがとうございました。今は500円のマガジンの定期購読者が750人を超えました。お気持ちだけで嬉しいです。文章を読んで元気になっていただければ。