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見た目にこだわる文化はしんどい

「なんで、日本では若い女の人とゆるキャラのポスターが多いの?」

子供を連れて一時帰国したとき、小学生の子供に聞かれた。
そういえばなんでだろう?

一方のマレーシアのポスターでは、老若男女、いろんな人が混じっている。
強いていえば、やっぱりマレー人女性が多い気がするけれど、イスラムのトドゥンを被っているので、年齢はわかりにくくなる。

マレーシアの人気ブロガーたちは、見た目や年齢に関わらずバンバン自撮りして画像や映像をアップする。それについてとやかくいう人はいない。

そんな文化圏から日本に行くと、広告が若い女子で溢れていることにびっくりするのだろう。日本では「可愛い」が正義なのだ。それが日本文化の良いところでもあるんだけど。

テレビでも活字の世界でもいちいち「美人アナウンサー」「女性経営者」などと枕詞がつき、見た目についての記述がとても多い

もちろん、マレーシアでももちろん見た目のことを言う人はいるし、可愛い子が好き、という世界は存在する。

しかし子供の学校の道徳の先生は「見た目について言うのは(例え良いことでも)いけない」と教えていると言っていた。色が白い、痩せている、というのもよくないと。子供の学校では常識で、下手なことをいうとクラス中から「レイシストー!」と非難された。そういう学校だったのだ。

日本から来た中学生が別の学校に入って「日本ではいじめられちゃうだろうな、という感じの子が、自信満々なんですよね。びっくりした」と話してくれたこともある。


これは私の実感とも一致する。おそらく、タイやフィリピン、欧米とも違う世界なんじゃないかな。これは、多文化、他民族社会ならではの生きる知恵なのではないだろうか。

日本の子供たちの自尊感情が低い理由

「日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか (光文社新書)」という小児科医の本を読んだ。

調査によれば、自尊心は特に小学校高学年から低くなるそうだ。
これには「見た目至上主義」の影響もあるんじゃないかな。

この頃、子供たちは自分を相対的に見るようになる。
例え見た目が悪くない子でも、視力が悪くてメガネって呼ばれたり、太っていると気にしていたりする。
そこで自信を失う子もいるんじゃないだろうか。

見た目至上主義は、若さ至上主義でもある。
どんな人でも、毎年年をとる。若さに価値を置く社会では、自分の価値が今後下がる一方だ。それだけに価値を置いたら、将来に希望が持ちにくくなる。

外見的魅力や財力があるから良いかといえばそうでもない。外側の魅力だけで人が寄って来る。これも、地味にきついものだ。マレーシアでも「日本人と付き合いたいから」という理由だけで友達になりたいという人がたまーにいる。私はこうした付き合いはあまりしたくないので避けている。

誰かが「相手を見るときには、外見や財力、人種、学歴などその人の上っ面を全部取った上で、それでも相手と付き合いたいかどうかを見ると良い」と言っていて、その通りだなと思った。

多文化共生社会は、いろんなことを教えてくれる。

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