なぜ人は、他人に制裁を加えたくなるのか?

こんにちは。
日本では、あちこちで正義の暴走が問題になってます。

感情中毒はアルコール中毒や薬物と同じ依存症

現代人にとって最も大きな敵、それはたぶん「退屈」なんだと思います。

その退屈をやっつけるために、今の日本で大流行中なのが「感情ゲーム」です。
これは、強い感情(例えば怒りや悲しみ)を増幅させていくゲームです。パンデミックで不安な人が増えるなか、感情ゲームにハマる人が増えてるんではないかな。

テレビではコメンテーターたちが、「いかがなものか」「許していいんでしょうか」と強い感情を揺らす。反応した人々が、誰かを罰する。この強い感情はクセになるので、「他罰」で快感をしめた人々は、次の「悪者」を探しにいく。この図式が止まりません。

脳科学者の中野信子さんによれば、強い感情が癖になるのは、脳科学的にも証明されてるそう。ウソみたいですが、「正義の制裁」によって本当に、ドーパミンが放出されるそうです。

他人に「正義の制裁」を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されます。この快楽にはまってしまうと簡単には抜け出せなくなってしまい、罰する対象を常に探し求め、決して人を許せないようになるのです。
こうした状態を、私は正義に溺れてしまった中毒状態、いわば「正義中毒」と呼ぼうと思います。この認知構造は、依存症とほとんど同じだからです。

要するに、つまり感情中毒は、アルコール中毒や薬物中毒と同じらしい。

私はいつも、フリッツ・ラングの映画「M」を思い出してしまう。「M」は、大衆が連続殺人犯を追い詰めていくストーリーなんですが、後半になると、エスカレートしていく群衆の方が怖くなってくる。

そしてこれは、1931年代のドイツ映画。ナチスが台頭してきた時代の空気を描いたものだそう。

ファシズムが生まれた当時の空気が、理解できると思います。
けど、その一人ひとりは善良な市民で、それぞれの「正義」を行使しているだけだったりするのです。

怒りの感情が湧き上がったときにすべきこと

厄介なのは、この「正義を行使したい」感情って誰にも起こるってことなんです。

私もそう。ネットの他人にはほぼ反応しませんが、映画で悪い奴が出てくると、「やっつけろ」と言う感情が出てきます。つまり、他人事で済ませられないのが恐怖なのです。

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