「みんなで頑張れない」時代にやっておきたいこと
こんにちは。
光文社新書さんのnoteで岩田健太郎さんのインタビューがありました。
これ、すごく面白いのでぜひ全文読んで欲しいのですが、「みんなで頑張る」ことの功罪について触れていて、本当そうだなあと思いました。
「みんなで頑張ろう」には功罪がある
意外なようですが「やめられない」の根っこには、「みんなでがんばったから尊い」「一つのことに向かって努力したら偉い」「がんばった人を支えよう」がある。事実の評価に、情緒が絡みついてしまうのです。少し、引用します。
ぼくは経済学者じゃないんで、消費税を下げるべきなのか、このままでいくべきなのか、にわかに判断がつかないのですが、ただ、「みんなで頑張ってつくったものだから変えられない」っていうその論理は、極めて間違っているなと思いました。一番やばいパターンだと思います。でもこれは日本では本当によく見られることです。
「みんなで頑張る」に意義を唱える人、論理的に反論する人は、いじめられて排除されてしまう。それどころか、最近では、趣味がみんなと違うだけでも、外されてしまうそうです。本人の落ち度はどうでも良く「和を乱す」ことで嫌われる。小学校の教室がそのまま、大人の世界になっている。
ぼくは島根県の人間なんで、中海・宍道湖の干拓・淡水化事業の記憶が焼き付いています。あの干拓事業は、意味がないって分かっていたのに、二十何年間ずーっと計画が続いてました。もうまさに、走り出すと引き返せない。
「みんなでここまでやってきたのに(最後にやめちゃうなんて)」
「一生懸命やってるのに、応援しないのか! かわいそう」みたいに、論理が情緒で押し流されてしまうシーン、私もいっぱい見てきました。誰かが一生懸命、がんばって作ってきたからこそ、印鑑も、ファックスも、検定教科書もなくせないんでは?
自分で考えてやったことの後始末をするってこと
で、やっぱり教育の問題に言及されてます。
間違っていたら、撤回して、直すっていうことは、いちばん初歩的な、小学生ぐらいで覚えるべきことです。それを大人ができない。日本は本当に、大人が子供です。それはやっぱり、ディベートとかディスカッションみたいな訓練を全然されていないからだと思います。
本にも書いたけど、マレーシアの学校や社会にはよくも悪くも「みんなで頑張る」が薄いです。長男の通ったインターナショナル・スクールには運動会や遠足に出ない子は普通にいて、いいとか悪いとかもない。それぞれの宗教に従ってくださいね、となる。宗教も人種も違う人とが共存しているから、意見は違って当たり前なのです。
消費税は政権交代1ヶ月でさっさと無くしてしまいました。そこに「がんばった人」「一生懸命導入した消費税」への情緒はゼロです。
学校休んで家族と旅行に行きます、遠足いきません、学校いきません、と言った子が同調圧力に潰されることもなかったです。ただし「けれど、その責任は自分で取りなさい」と言われる。小さい頃から、「自分でやったことの責任をとる」訓練、とても大事だと思うんです。
ロックダウン中、長男が半年前に作ったプログラムをPythonからJavaScriptに書き直してみたら、大きなバグを見つけたそう。そのため、バグの修正に毎日格闘しています。自分で「やる」と決めて曲がりなりに作って他人に渡したもの。そこに間違いが見つかったらどうするか?まさに、「実行→失敗→リカバリー」の訓練中。こういう訓練こそが、大事だと思ってる。
こうした訓練を積み重ねると、何かコトが起きたとき、「誰かが悪い!」と悪者探しをしたり、誰かのせいにすることが減ります。
「みんなで頑張る」ができない今、家庭でできること
日本では緊急事態宣言が延長されたようです。
集団から切り離されて一人になった今は、自分と向き合うチャンスではないのかな、と思います。自分との対話、実はいちばん重要ではないだろうか。
子供がいれば、家庭でできることの一つは、「自分で決めたことを、自分でやってみて、責任をとる」の訓練ではないだろうか。
今はどうやっても、「みんなで頑張る」が難しい。逆に個人で「勝手なこと」をするチャンスかなって思います。
親も「これやりなさい」と押しつけて管理するばかりではなく、本人がやりたいことを、本人なりに実験すると良いと思う。そして、その結果をみてもらう。引き受けてもらう。目標は「1ヶ月頑張って、オンライン・ゲームでトップになる!」でもイイと思いますよ。
どのみち、数年後に世界がどうなるか予測するのは難しい。今安定しているものが、3年後にもあるかどうか、もはや誰にもわかりません。
その上で、「みんなで頑張る」がやっぱり好きならそっちに戻ればいいし、肌に合わないなと思ったら、抜ける方法を考えたら良いと思います。
ということで、ぜひ冒頭のインタビュー、全編読んでみてください。
それではまた。
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マレーシアの教育、その結果、人々がどう振る舞ったかを書いています。
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