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清潔で静かな国からは子供が減っていく

このツイートが、びっくりするほど拡散されました。


今日は、行き過ぎた清潔や静けさを求めると、子連れには辛いよってお話です。

マレーシアから帰ると、東京ってつくづく「健康な会社員の男性」のための街だなーと思います。人々の歩くスピードとか、電車の中の静けさとか、中吊り広告とかが、なんというか、企業で働く男性に最適化されてる感じがします。

本来、人間にはいろんな人がいて多様性があります。男女があり、赤ちゃんがいて老人がいて、いろんなタイプの人がいるわけです。が、「歩くのが遅い人」とか「静かにできない人」とか、「日本語が読めない人」とか、一定の基準から外れてしまった人には、なかなか、厳しい街なんですよね。

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とはいっても、マレーシア人には、日本社会がうらやましいと言う人、少なくありません。

日本は本当に清潔で人々のマナーが良い。電車の中は静かで素晴らしい。マレーシアもああなればいいのに」って言う人、多いんですよね。

私が「それはその通りね。ただし、電車内は静かにするべきと思っている人が多いから、子供を連れて電車乗るのも気を使うし、レストランも子連れ歓迎のところは少ない。飛行機に赤ちゃんを乗せるべきか、議論になったりもするよ」と言うと驚かれます。

そんな事情があるとは、思いもつかなかったようです。そして「それはちょっと……ありえない」と言われることがほとんどです。多くの人が家族を中心とした考え方ですから。

どの社会も同じですが、良いところと悪いところって紙一重なんですよね。

子供が可愛がられる社会の衝撃

1990年代半ばに初めてマレーシアに来てびっくりしたのは、どこに行っても子供がいて、可愛がられる様子でした。書籍にも書きましたが、「こんな世界が世の中にはあるんだ!」と驚愕したのです。

子連れで東南アジアに来た方はわかると思うんですが、子供がどこにいっても愛されてる。まだ大家族も多く「子供が迷惑」という発想がないんですよね。

で、よく観察してみると、大人もそこそこうるさいのです。

マレーシアで電車に乗れば、携帯で話している大人はいますし、大声で笑っている人たちもいます。それからヘッドフォンをしないで音楽を聴いてる人も見かけます。みんなあまり他人のことを気にしてません。

こういう人たちを見て、「マナーが悪い」と言って怒る人ももちろんいます。しかしマジョリティではないようで、いつどこでも同じような光景が繰り広げられています。

先日、電車の中に赤ちゃんづれの男性がいました。目ざとく見つけて席を譲った別の男性が、「ハローベイビー、機嫌はどう?」と話しかけたりします。周囲もニコニコしてますし、赤ちゃんも嬉しそうです。

生活音が普通にある住まい

私の住んでるコンドミニアム、特に高級コンドミニアムという訳ではないためか、年中生活音が聞こえてきます。特に楽器が多いかな。

窓開けて歌を歌ってる人も、ハーモニカやギター弾いてる人も、ピアノ弾いてる人もいます。プールサイドでは年中パーティーやってて合唱の声が聞こえてきます。それに対する張り紙を見たこともないです。

大人がそこそこ音を立てていれば、子供がうるさいのも対して目立たないんです。だから子供が電車の中でなんだかお話ししてても、歌を歌ってても、気にならない。モスクからのアザーンも、もちろん聞こえてきます。

(以前、日本人の多いコンドミニアムでは張り紙も注意もよくありました。これは場所によるのかもですね)

マレーシアでは東京ほど周りに気を使わずとも子育てができます。
生まれたばかりの赤ちゃん連れの家族も非常によく見かけますね。

日本も昔はこうでしたよね。少なくとも、私の子供の頃は、そうでした。

日本で子連れで外出するのは大変だ

子育てしてる人はわかると思うのですが、小さい子供が居る家で静かに過ごしたり、家をいつもピカピカにしていたりと言うのは難しいです。子供ってあちこち探検して、飛んだり跳ねたり、泣いたり笑ったりしながら成長していきます。ピアノも弾きますし、歌も歌います。

日本だと、子連れで出かけるの、大変です。

私も子供が小さい頃は、退屈しないようにパズルやおもちゃ、お絵かきの道具などを持って、「騒がないように」注意してました。今思うとかなり神経質でした。レストランに行く時も子供の年齢を事前に電話で伝えたりしてました。ベビーカーをたたむか、畳まないかで議論になる国ですからね。

赤ちゃんが小さい頃って、率直にいって子供を死なせないようにするので精一杯です。ずーっと赤ちゃんの世話でいっぱいいっぱい。さらに息抜きもほとんどできないとなれば、ストレスが溜まって当然です。お母さんたちが子供が可愛いと思えなくなる裏には、こうした厳しい社会のあり方が影響してるんじゃないのかな。

なので、東南アジアに来て、怒られないどころか、周囲から子育てを助けてもらえる感覚は、新鮮だったんですね。

静かな社会か、賑やかな社会か

要するに、日本社会は静かで清潔な国であることを選択したってコトなんだと思います。

そのためか、最近では、公園にいってもボール遊び禁止、声を出して遊ぶのも禁止、などと言うところもあるようです。「子供の声がうるさい」と言う人が増えているのだそうです。公共の静けさや公共の清潔性などを追求していくと、社会は子供にはいづらい場所になっていく。いいところがあれば、悪いところもまた付いてくる。

要するに、子育て世代は日本ではすっかり「少数派」になってしまった、ということなんでしょう。経済発展しすぎて、消費のために、なんでもお金で計算するようになったのも一つの原因かな。

私はこれはたまらん、なんか変だな? と思ってマレーシアにきた訳です。そろそろ、日本国内でも、子育て世代を町をあげて歓迎する自治体があってもいいかもしれませんね。

ではまた。

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清潔で静かな国からは子供が減っていく

野本響子@マレーシア編集者&ライター

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編集者&ライター。雑誌編集20年。マレーシアマガジン編集長。40代で外国に来て、驚きの日々を過ごしてます。東南アジアの人に習ったグローバル時代の新しい生き方・教育・考え方を発信。3冊目の書籍「日本人は『やめる練習』がたりてない」が集英社より発売。cakesでも連載中。
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