大きなディストピアの中、私達は辿り着けない「レプリカたちの夜」

「レプリカたちの夜」一條次郎

深夜、レプリカ工場内にてシロクマが歩いていた。行方不明になった部長、噛み合わない記憶、絶滅した動物達。
私達はどこにも辿り着けない。

かなり面白かったです。徐々にわかるディストピア感は西瓜糖の日々や山の人魚と虚ろの王に似て、不条理と不穏が纏わりつく。哲学的ゾンビがわかれば読み易いかも…?

登場人物たちが受動的で違和感に鈍感すぎて、ずっと真夏の陽炎に眩んでる様な感じなんですけど、そんな主人公が最後であろう時に言う「つまらない」がとてもやり切れなくてその世界のぽっかりとした膨大さが伝わり寂しくなる。
かなり謎のある小説ですが小説ミステリーではなく不条理系だと思って読んでいただければと。
面白すぎて作者の違う作品買いました。好き。

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