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道徳の戦後史

 なぜ道徳が教科になったのか、歴史的背景をすべての教員に知ってほしいと思います。池田・ロバートソン会談が大きなポイントです。

1947年 教育基本法制定

戦前の教育が否定され、「修身」は廃止。
第10条 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
つまり「政治は教育に介入してはいけない」ということ。


1951年 『逆コース』の流れの中、初の学習指導要領(試案)が登場

指導要領の中身もまだ民主的なものであり、強制力もなかった。道徳は、学校教育のあらゆる機会に指導すべきである、とされた。


1953年 池田・ロバートソン会談

日本政府は教育および広報によって日本に愛国心と自衛のための自発的精神が成長するような空気を助長することに第一の責任をもつものである」ことに日米両政府が合意。


1956年 教育委員会は公選制から任命制へ

 政治が教育に介入することが確定。


1957年 文部大臣松永東(まつながとう)の発言

「民族意識や愛国心の高揚のために道義に関する独立した教科を設けたい」


1958年 『学習指導要領は法的拘束力をもつ』という解釈に。

週一回の「道徳の時間」が新設される。教科化はされず。
日の丸、君が代条項が規定され、次第に強化されていく。


2006年 教育基本法改悪

教育を「個人の価値を尊ぶ」「不当な支配に服することなく、国民全体に対し、直接に責任を負って行われる」ものから、「公共の精神」「道徳心」「国を愛する態度」「規律を重んじること」を重視するものへと変貌させた。
「教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」とした。
教育再生会議設置→「道徳の教科化」を提言。
中教審は「道徳は教科化になじまない」として見送り。

2012年 第二次安倍内閣成立

「教育再生実行会議」、文科省に設置した「道徳教育の充実に関する懇談会」が相次いで教科化を打ち出し、中教審も一転、教科化を答申。中教審委員を入れ替えたことが「功を奏した」とされている。


2017年 育成すべき資質・能力の明確化。道徳教科化が決定。

 道徳教育に疑問をもっている人も、工夫してよい道徳授業を行いたいと思っている人も、すべての教員に道徳教科化までの戦後史を知ってほしいと思います。知った上で、「これからどうしていくのか」を考えていくことが大切だと思っています。

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