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部活問題を解決する方法を考えよう

 価値観は人それぞれです。そして価値観が違うからこそ、それを調整するために法があります。私たちの勤務時間は法で定められており、まずはそこを守ることがスタートになります。
 そうすると、違法状態である現状をどうやって法に合致させていくかが大切です。実は、答えは国会でも既に出ています。地域への移行です。これを「できるわけない」と言っていたのでは永遠に変わりません。どうやって実現していくか、我々自身が具体策を考える段階だと思います。
 
 地域への移行は、「部活をもっと指導したい」という人にとってもメリットがあります。自分の住む地域の近くで指導者登録をすれば継続的に教えられますし、専門家に教われるのは生徒たちにとってもプラスです。

 その前段階として、部活を学習指導要領にある本来の形に戻すべきだと考えます。生徒の「自主的・自発的な」活動として「顧問」は文字通りの「顧問」となります。もちろん、「しっかり指導したい」という人は今まで通りでいいと思いますが、「そうではない人もいる」ということを共通理解します。この形態であれば顧問が必ずしもついている必要はありません。中学生の課外活動として生徒主体で行い、部長が開始と終了の報告をします。そして指導者が確保できる部は、曜日によって本格的な練習をしていけばいいのではないかと思います。

 2つ目の提案は、計画的に部活数を減らしていくことです。生徒のやりたい気持ちは大切にしたいですが、教員の無償奉仕を前提とするやり方は持続不可能であり、長い目で見れば生徒にとっても不利益です。
 数年前に本校でも、部活中に生徒が首を骨折する事故がありました。幸い命に別状はありませんでしたが、万一のことがあれば、いくら後悔しても足りません。余裕をもって安全を確保できる範囲まで、部活数を減らしていくべきだと考えます。


 かつてイギリスでも部活があったそうです。しかし教育予算が削られ、公教育の中での部活はなくなりました。これが意味するのは、部活に予算が当てられていたということ、そして賃金が払われなくなったら教員は部活を断った、ということです。労働とは「賃金を支払うので、あなたの時間をください」という契約なので、「賃金は払わないけれど時間をください」という要求は成り立ちません。
 本来ならイギリスのように、教員自身が無償労働を断り、社会もそれを許容するのであれば問題はすぐに解決します。しかし現状それが難しいのであれば、次善の策を考えねばなりません。

 部活は法的な意味において「労働」ではありません。なぜなら「労働」と位置づけてしまうと、明らかな労基法違反となるからです。だからこそ曖昧な状態のまま放置され、矛盾が拡大してきました。
 私も10年以上、部活は仕事だと思い、責任感と誇りをもって全力でやってきました。部活に熱心でない先生に対して批判的な考えももっていました。しかし自分自身が部活に力を入れられなくなったことで、部活を辛いと思っている先生の姿が見えるようになりました。法的な位置づけを知ることで、今の状態が違法なのであり、これを変えていかなければならないと考えるようになりました。

 問題は、自分の人生を自分で選択できないことです。「部活をもっとやらせてあげたい」「今くらいなら協力できる」「応援はするけれど私はできない」。様々な価値観や個々の条件があると思います。
法という客観的な指標に基づきながら、それぞれの先生方が多様性を発揮できる「働き方改革」を進めていきたいですね。

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