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地域住民は「土」、校長は「風」

 数年前、当時の文部科学事務次官に「地域の学校は誰のものだとお考えですか」と質問しました。次官は「地域住民のものです」と、即答されました。
 地域の宝が学ぶ地域の学校は、地域住民のものなのです。地域の学校がそこにある限り、未来の地域をつくる人材が学び続けるのです。地域住民は地域の学校の「土」です。
 そして、校長や教職員は地域の学校を通り過ぎる「風」の存在です。「風」は「風」の分をわきまえなくてはなりません。
「校長が代われば学校が変わる」と言われるのは、「土」の学校をつくっているのではなく「風」の学校をつくっているからではないでしょうか。

 地域住民(子どもや保護者)が「土」を耕し続ける限り、地域の学校はしっかり根を張ります。たとえ強い風が吹き大きく揺れ動いても必ず復元します。
「風」の仕事は「土」を進化させ復元力を高めることです。
「Give & Take」は続きません。お願いされなければ動かないでしょうし、お礼がなければいやになってしまうでしょう。

 学校と地域の関係は対等です。「Win-Win」の関係をつくるのが「風」の校長の仕事です。多様な肥料の混ざり合った「土」は、すべての子どもの安心できる学びの場をつくります。

次回は8月1日(月)更新予定です。

初出:木村泰子「木村泰子のみんなに伝えたい「ことば」」『教職研修』2018年5月号、10頁。


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