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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2021年9月の記事一覧

#12 教職人生の「裏糸」~森健『小倉昌男 祈りと経営』より~|学校づくりのスパイス

 この連載がスタートして今回で12回目になります。普段はあまり意識することのない学校の姿も、見る角度を少し変えてみると、また違った姿に見えることがあり、それによって学校現場の教育活動もより膨らみのあるものになっていくかもしれません。そんな思いを頭の片隅に置きながら、筆者はこの連載を書いてきたつもりです。  そしてこの、見る角度を変えてみることの必要性は、教育者としての自分自身についても言えることだと思います。今回は「宅急便の父」として知られる小倉昌男氏についての森健氏によるノ

#11「精神論」のどこがいけないのか~鴻上尚史『不死身の特攻兵』より~|学校づくりのスパイス

 「精いっぱい努力すれば夢はかなう」「誠意を持って話せば必ず理解される」「どの子にも等しく可能性がある」といった精神論が学校で語られることは珍しくありません。これらは気持ちを鼓舞する比喩としては悪くはないのかもしれませんが、行きすぎると冷静な判断を阻害する結果になってしまいます。劇作家の鴻上尚史氏の著した今回取り上げる著作『不死身の特攻兵 ――軍神はなぜ上官に反抗したか』(講談社、2017年)は、この点を「特攻隊」という歴史的事実に光を当てて描き出した作品です。 「特攻隊」