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【上手いこと言いたい】ていねいに書く雑文~その69~20220805

【上手いこと言いたい】
そんな気持ちが割とある。大喜利も好きだし。「上手いこと」でパッと思いつくのが「冷静と情熱のあいだ」というフレーズ。本や映画の内容は知らんけど、タイトルは知ってる。

「なんか上手いこと言うなぁ」と思わせるのは、「冷静」と「情熱」がぴったりと反義語じゃないからだと思う。冷静は落ち着いた「様子」を表す言葉だけど、情熱は「様子」じゃなくて「感情」を表す言葉だ。この微妙なズレが違和感となって、なんか印象に残るんじゃないだろうか。

ちなみに、「冷静」の反義語がパッと浮かばなかったので調べると「興奮」だった。たしかに「興奮」は「様子」を表す言葉で間違いない。

でも「冷静と興奮のあいだ」と言われても、ピンとこない。
もちろん既に「冷静」と「情熱」がセットになっているイメージがついているからってのもあるけど、たとえ初見でも「上手いこと言うなぁ」とは思わない気がする。

わたしたちライターは、分かりやすい文章、読んでるときに違和感を覚えずにサッと読み通せる、読みやすい文章作りを心掛ける。

難しいことを分かりやすく書いてある文章には、「なるほどね!」と感動すら覚える。
詰まるところなく読み進められる文章は、読者にストレスを与えないという意味で素晴らしい。個人的には「それってどういうこと?」と序盤に思ってしまうことに割とストレスを感じるので、読みやすい文章も好き。

その辺のことを考えると「冷静と情熱のあいだ」は、様子と感情を表す言葉という、性質が違うものを並べる点で違和感がある。
でも、わたしはパッと見ではそれに気づかなかった。今回「なんでこれって、上手いこというなぁ感があるんだろう」と考えることで初めて違和感を抱いたというか、違和感を具体的な言葉にした。

何が言いたいのかというと「冷静と情熱のあいだ」は、よくよく考えたら違和感があるはずなのに、パッと見ではストレスを感じさせない。この辺の塩梅がバッチリなんだと思う。
まぁ、文章ではなくタイトルなのでちょっとズレるかもしれないけど。

なんというか、よくよく考えないとスルーしてしまうような「わずかな違和感」を持たせることが、もしかしたら文章って大事なのかも。

ストレスがなく読み進められる文章や、分かりやすい文章が「読んでもらえる文章」とするなら、
パッと見では気づかないようなわずかな違和感を含ませた文章は「読ませる文章」になるのかも。なんて思いました。

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