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アフィリエイト広告を巡る最新状況について

令和4年11月に開催された、消費生活相談員研修についてご報告します。
この日の研修では、「アフィリエイト広告を巡る最新状況について」というテーマで、一般社団法人 日本アフィリエイト協議会(JAO)様による講義を受講しました。

消費者の皆さんは、そもそも「アフィリエイト広告」って何だかご存じでしょうか。

インターネット広告の形式は大きく分けて3種類あり、一つは「予約型」と言われる、主に費用が固定された、純広告やタイアップ広告といったタイプのもの、2つめは「運用型」と言われる、主にクリックや表示などの回数に応じて広告費が定まるタイプのもの、そして最後に「成果報酬型」と言われる、広告リンクをクリックした消費者が広告主のページで実際に購入や申込を行うことでアフィリエイター(広告作成者)に報酬が発生するタイプのものがあります。

この「成果報酬型」のことを英語では「アフィリエイト・プログラム」と表するため、「アフィリエイト広告」という呼び方が広く浸透しています。

今回講演をいただいた日本アフィリエイト協議会(JAO)様は、このアフィリエイト広告を行う事業者から成る業界団体ですが、単に業界の発展や保護を図るだけでなく、消費者利益の保護も強く打ち出されており、消費者庁や消費生活センターなどの消費者保護行政機関に対しても大変協力的な姿勢で、ガイドラインの作成や実態把握、悪質事業者の排除などによる業界の清浄化に従前から真摯に努めておられます。

それで、実は、日本でのインターネット広告におけるアフィリエイト広告の占める割合は4.4%ほどと、あまり大きくはありません。圧倒的に「運用型」のネット広告が多く、85%ものシェアを占めます。次いで「予約型」が10%ほどいう状況です。

相談員研修の様子

研修に際しては、実際にネット広告で掲載されているもののサンプルも見せていただきました。
そこで驚きだったのは、特商法改正後も苦情が減らない「お試し定期購入」関係で、ダイエットサプリの広告に使われるマンガ素材や動画素材について、異なる商品にもかかわらず、全く同じ画像や動画が使い回されているのです。つまり、そうした商品の宣伝に使うために共通の素材を供給している事業者がいるということだそうです。

また、かつては、アフィリエイト広告に問題があっても、広告主が「アフィリエイターが勝手にやったことだ」と言いのがれをするケースがあったのですが、今ではそのようなことは絶対にあり得ない、もしそのようなことをいう広告主がいれば、うそをついているか、広告会社に騙されていているかのいずれかになるとのこと。

日本アフィリエイト協議会でも、アフィリエイト広告に関する相談や情報提供を受けておられるのですが、その9割以上がアフィリエイト広告以外の形式(多くが「運用型」の形式)なのだそうです。

Web会議システムでの研修受講の様子

先に述べた、「アフィリエイターが勝手にやった」と言い逃れるような、いかにもアフィリエイト広告っぽい形式の広告も、実は広告主と広告作成者がグルとなった運用型の広告がほとんどというのが実態とのことです。特に近年では、動画サイト、SNS、アプリで表示される広告が多いそうです。

販売される商品・サービスで問題が多いのは、「美」に関するもの、具体的にはサプリやコスメなどのお試し定期購入、それも詐欺的なもの(当センターでは「ダマしのお試し」と呼んでいます)と、「金」に関するもの、具体例では情報商材や副業などとなっています。

詐欺的なお試し定期購入のトラブルに際しては、消費生活センターがあっせんに入る場合でも、広告がどのような表示内容であったかが重要なポイントとなります。消費者の方が、広告のスクリーンショットなどを残しているケースはほとんどないのですが、比較的最近に見たものである場合、ブラウザの閲覧履歴や、SNSの設定を見ることによって、その時見た広告の表示内容を再現できるケースもあります。そのやり方などもレクチャーしていただきました。

センターから消費者の皆様に是非お伝えしたいことは、インターネット通販には「クーリング・オフ」のような、後から契約を一方的に解除できる制度はないので、購入や支払いのクリック(タップ)をする前に、本当にそれを買っても大丈夫なのか、相手方事業者は信用に値するところなのか(ネット検索で悪い評判が立っていないかかなどを調べるのも一法)、ダマしのお試しになっていないかなどを、くれぐれも慎重に調べてから購入していただきたい、ということです。

そんなことをしていたら、せっかく買いたいと思っていた気持ちが冷めてしまう、といわれるかも知れません。でも、それでいいんです。事業者側で、日本アフィリエイト協議会(JAO)様のように、消費者のことも考えて行動していただけるところはまれな存在で、多くの事業者は、何とかして消費者の購買意欲をかき立てて買わせたいのです。特に、悪質な事業者ともなれば、騙そうが何だろうが買わせりゃいいんだと思っていることでしょう。それでも、皆さんは深く考えずにポチりますか。