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食と気候変動の話(前編) 〜大学生が思う食と気候変動のこと書いてみました〜

はじめに

今回の記事では食に関連する気候変動・脱炭素の話について書かせていただきました。
初回でこのテーマを選んだ理由は2つあります。

  1. 気候変動対策や温室効果ガスの排出を減らすと聞くと発電や工業、自動車といった分野が想像されるかもしれません。しかし、実は食の領域でも温室効果ガスを減らす取り組みがなされており、消費者としてその取り組みに貢献できるということを発信したいと思ったためです。

  2. 食の脱炭素化の話は気候変動・脱炭素だけでなく、食料問題とも密接に関わっています。この食の脱炭素化の話を通して、気候変動対策・脱炭素化というものはそれ単体の話ではなく、他の社会課題とも密接に関わっているということを少しでもわかっていただけたらと思っています。

食の気候変動への影響

国際連合食糧農業機関(FAO)のレポート*によると
2019年の食糧の生産から消費による温室効果ガス排出量は170億t-CO2と総排出量の31%であったと報告されています。
また、温室効果ガス別の排出割合だと食糧の生産から消費による二酸化炭素排出量は総排出量の21%、メタン排出量では53%、一酸化二窒素排出量では78%を占めています。

メタン、一酸化二窒素においては食の領域からの排出量の割合が大きいことがわかります。
では具体的にはどのような活動から排出されているのかをいくつか紹介します。

まず二酸化炭素においては、食糧生産である農作業時のトラクターなどの機械の利用や食糧輸送、食糧加工時の工場による排出などがあります。ここに関しては他の産業と同様に機械の利用によるものでイメージがしやすいのではないでしょうか。

次にメタンです。メタンの排出は、牛や豚などの排せつ物からの排出、牛のゲップからの排出、水田からの排出などがあります。牛や豚などの排せつ物からの排出とは、牛や豚の排せつ物にはメタンや次に示す一酸化二窒素などが含まれており、適切に処理しないと気体となって空気中に放出されてしまうことです。牛のゲップからの排出は、牛の胃内の微生物が餌を消化する際にメタンを生成し、それがゲップとなり排出されることです。水田からの排出は、水田には微生物がおり、その微生物が水を張った酸素が少ない条件下で嫌気性呼吸というものをすることでメタンが発生するというものです。

最後に一酸化二窒素です。一酸化二窒素の排出は、牛や豚などの排せつ物からの排出、農業の窒素肥料由来の排出などがあります。牛や豚などの排せつ物からの排出はメタンのところで紹介したものです。農業の窒素肥料由来の排出は、農業において作物の成長のために窒素肥料を施用しますが、この肥料は100%吸収されることはなく、その一部が酸素と反応し、空気中に排出されるというものです。

国際連合食糧農業機関(FAO)のレポート*
https://www.fao.org/3/cb7514en/cb7514en.pdf

食糧問題と気候変動

先ほど紹介した温室効果ガスが排出される活動以外にも気候変動に影響する活動があります。それは土地利用変化、具体的には森林が農地に変わることです。
森林の樹木は空気中の二酸化炭素を吸収し、成長します。そのため、森林が失われると二酸化炭素の吸収源が失われます。また、土地が農地になり、耕されると土壌の二酸化炭素やメタンが空気中に放出されてしまいます。
このように森林が農地に変わることで温室効果ガスが増えることにつながります。

実はこの森林が農地に変わっている背景に食糧問題があります。まず森林が農地に変わっている理由は食糧を生産する農地を確保するためです。ここで新たに農地を開拓しなければいけなくなっている理由は大きく分けると2つです。
1つ目は、農地が失われているためです。具体的には、温暖化による砂漠化により元々農地だった場所で農業ができなくなっていること、短期的に収量を増やすために肥料を大量に使い、それによって農地が荒れてしまうことなどがあります。
2つ目は、食糧の需要が増え、より多くの農地が必要になっているためです。この背景には、人口増加による食糧需要の増加だけでなく、もう一つ大きな要因があります。それは肉・乳製品の消費量が増えていることです。肉・乳製品を作るには牛や豚、鶏などを育てますが、その牛や豚、鶏は飼料を食べて育ちます。その飼料を生産するためにもまた農地が必要です。農林水産省の資料*によると牛肉では1kgを生産するのに必要な飼料は11kg、豚は6kg、鶏は4kgと言われています。つまり、肉・乳製品の消費量が増えるとその何倍もの飼料を生産する農地が必要となるのです。
一般的に国の経済レベルが上がると肉・乳製品の消費量が増えると言われており、これからますます肉・乳製品の消費が増えると予想されます。

農林水産省の資料*
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/ohanasi01/01-04.html

次回の話

ここまで食の気候変動への影響について紹介してきました。課題ばかり紹介して、少しマイナスな気持ちにさせてしまったかもしれません。しかし、その課題を解決しようと挑戦する企業もあります。また、そのような企業によって課題の周辺に新しい産業が生まれ、人、物、お金、情報が集まっています。
個人的にこの気候変動対策・脱炭素化により農業という領域に再びスポットがあたり、人、物、お金、情報が集まり、発展していくことにワクワクしています。

次の記事ではこの食の気候変動の課題に挑戦するスタートアップ企業を紹介させていただきます。

最後まで読んでいただき本当にありがとうございます!
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