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6日目

もう、昨日の内容を超えるエピソードは無い。
もっと小出しにしたらよかった。

さて、6日目です。

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入社した年の記憶力ってすごいな…と思いながら、
思い出は、まだ2010年から抜け出せずにいます。
前年までの学生時代と違い、きっと毎日が新鮮で楽しかったんでしょう。

この年の10月〜11月に上映していたラインナップは、本当に最高でした。

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まず、BBちゃんの特集。
【ブリジット・バルドー生誕祭】と銘打ち、大々的に上映してました。
すらりとした手足に、ふっくらとしたお胸。
キャットアイメイクをしたベビーフェイスでニッコリされたらもう、
この小悪魔ちゃんめ!とメロメロものなのですが、
当時は、自分のしでかした失敗のせいで、BBちゃんの顔を見飽きてました。

この特集の前売券は、様々なBBちゃんの写真をふんだんに使った最高にポップでキッチュな券面デザインになっており、数種類あったんです。
これは、全種類買ってもらう為の配給さんの作戦。

前売券は「全国券」と「各館で印刷に出すもの」の2種類あり、
各館で作成したものは、その劇場でしか使えないチケットとなります。
BBちゃんの前売券は後者。
券面デザインのデータが配給さんから届くので、そこに館名や日程などを劇場で入れ込み、印刷に出します。

普段は、劇場にあるプリンターで印刷することも多いのですが、
このBBちゃんをインクジェットなんかで印刷してはいけない!
というか、インクジェットじゃ回らないくらい売らなきゃいけない!
ということで、珍しく印刷会社に入稿したんです。
しかも、結構な大量数。

すごく綺麗に印刷は上がってきたのですが、
よく見たら、しれっと黙ってはいられない誤植が…!!
※でも、どこが間違っていたのかは、すっかり忘れてしまいました。

印刷し直すとか、印刷費結構高かったし、そんなん絶対言えへん…。。
脂汗かいてきた…。自分でどうにかせな…!

と、またもや誰にも相談せず、全部一人で事態を回収しようとしてしまい、
家族総出で誤植の上から訂正シールを貼る作業を手伝ってもらいました。
いつもは仏頂面の父親も、さすがに娘がピンチと思ったのか黙々と手伝ってくれてました。

それで事なきを得たのですが、後から思えば映画館の仕事に誤植はつきものだし、すぐに館長に相談すればよかった。
昨日書いた失態に比べれば可愛いものですよ…。
現に、上のリーフレットも「誕生祭」誤植してるし。笑

で、リーフの表紙に写っているもう一人の美女は、
「シルビアかもしれない」人です。

2007年にスペイン・フランス合作で作られた、ホセ・ルイス・ゲリン監督作『シルビアのいる街で』は、当時35mmフィルムでロードショーを行い、
美しいストラスブールの街並みや鐘の音、女性の髪が風になびいて煌めいている様や、主人公の男のどうしようもなさに、
みなみ会館の若いスタッフの間でもかなり評判となりました。
天気がよくて気怠い休日の午後とか、真冬の深夜とかなんかに、ふと見返したくなる作品です。

当時のみなみ会館のスタッフに、Hさんという人がいました。
Hさんは、本当に時々にしか無いみなみ会館の飲み会で豹変するお調子者さんで、ある夜は酔っ払いすぎて10円玉を食べて全員に引かれてました。
でも、字がとても綺麗で、当時の館長がHさんを採用した理由は「字の綺麗さだった」というほど。
年は一つ上で、実は大学の先輩でもありました。
しばらくはHさんと数人で、一緒にシルビアごっこをするくらいのハマりよう。ただ「シルビーァ!」って言うだけの遊びですが。

で、この時はアピチャッポンの特集もやってたんですよね。
『真昼の不思議な物体』と『トロピカル・マラディ』が両方とも35mmフィルムで、3日間だけの超貴重な限定上映!
これは、もうなんとしても観たい!と多くのスタッフがソワソワした結果、
勤務中にも関わらず当時の館長が「私、受付見とくから全員観ておいで」という神のような言葉をくれたので、ありがたくみんなで場内で映画を観させてもらいました。もう、最高。
ただ、どっちの作品だったかは忘ましたが、バンコクの夜の街を転げ回りながら男たちが喧嘩をするシーンがあって、
この年の3月に卒業旅行でタイに行ったばかりだった私は、夜の道端にどれほど虫がいたかを鮮明に記憶していたので、違う戦慄も覚えてました。

そして、以降の私の人生の中で、とてもとても大切なところにしまう事になる作品も、実はこの時期に上映してたんですね。

〈Ziggy Films’70〉と題された特集で、
60年代後半から70年代に作られたアメリカン・ニューシネマの作品を紹介するという括りです。
この時に観たのがロバート・アルトマン監督の『バード★シット』と、ハル・アシュビー監督の『ハロルドとモード』。

どちらも主役はバッド・コートです。
最初は、鳥に憧れて機械仕掛けの翼で空を飛ぼうとする内容の『バード★シット』の方が好きだったのですが、
何度もフィルム映写で観ている内に、『ハロルドとモード』が大好きになっていき、その内、私の人生の中の1本となりました。
辛い時、立ち止まりそうになった時、何度観返したことか。
『ハロルドとモード』は、YOUTUBEからも観る事ができるので、もしよろしければ是非。

キャットスティーブンスのエンディング曲
「If You Want To Sing Out, Sing Out」も大変な名曲です。

スケジュールリーフレットの画像を見てるだけで、色々と思い出が湧き出してくるので、これはなかなか現在にたどり着けそうもありません。

ではでは、また明日。

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