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11日目

今日は、方々と電話でやりとりをしてたらあっという間に日が暮れていきました。

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今日は2013年頃の思い出です。

2012年の末頃から番組編成を任される事となり、館長職が始まったワケですが、その当時ちょこちょこオールナイト上映も開催するようになってきていたので、この年の1月からは「毎月1回は絶対にオールナイト上映を企画しよう」と無茶振り方針を打ち出すことに。

1月のオールナイト上映は、デヴィッド・マッケンジー監督の当時の最新作である『ワンナイト、ワンラブ』の公開を記念し、一夜限りのロックシネマフェスを開催しよう!という事で、
《One Night Rock Cinema》というオールナイト上映を企画しました。

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『シド・アンド・ナンシー』
『24アワー・パーティ・ピープル』
『ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国』
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』
の豪華35mmフィルム4本立てです。

当時、『シド・アンド・ナンシー』がまだフィルムでかけられるという事を知った時は、何が何でもラインナップに加えたい!と思いフィルムの在り処を探して電話をかけまくりました。
スクリーンに映る、あの、ゴミが舞い降る中のキスシーンはもう最高でしたよ…。

そして、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』で朝を迎えるようにタイムテーブルを決めました。最後の作品は5:20より上映開始。
みなさんヘロヘロだったかと思います…。笑

当時は4本立て上映で企画する事が多かったのですよ。
あと、ちゃんと朝日がのぼってから上映が終わるように計算をして組んでました。でもそれだと、冬は夜が長すぎて、夏は夜が短すぎる問題にぶち当たりましたので、最近は割と3本立てで始発が動き出す頃には上映も終了しているパターンが多いです。
まだ朝日がのぼる前の、蒼くて清涼な空気の中を帰って行っていただくのも、また良しかなと最近は思ってます。
この頃は、場内から出てきたら、暴力的なまでに朝日を浴びてくれ!と思ってタイムテーブルを組んでました。笑

そして、この頃からTwitterを使ってしっかり宣伝するようになって行ったのですが、手始めに以下をやってみたところ、結構な反響を頂きました。

自動的に宣伝して行っていただけるので、本当に助かりましたし、実際めちゃくちゃ観にきて下さって、本当にありがたかったです…!
桐島〜は、絶対に35mmで上映せんとアカンでしょ!という事で、この時はフィルムで上映を行ってました。

2月には第一回目の《それぞれのふたりナイト》を開催。
当時のラインナップは以下の4本!

開場…『孤独な惑星』
『ミスター・ロンリー』
『永遠の僕たち』
『サヨナラCOLOR』…そして朝。

いやもう、最高のランナップですね。
当時は、辻仁成監督作品『その後のふたりParis Tokyo Paysage』の上映を記念して企画したナイトだったのですが、
このタイトルのまま、今でも人気企画として開催できているのが本当にありがたいです。
『ミスター・ロンリー』が決まるまではかなり難産だった事を覚えてます。
3本はわりとすぐに決まったのですが、4本目がなかなか決まらず、スタッフみんなで頭をひねりに捻った結果、誰かがポツりと『ミスター・ロンリー』って言ったんですよね。
いいじゃん、マイケル・ジャクソン(風)とマリリン・モンロー(風)の二人!
となり、第一回目のラインナップが確定したワケです。
このめちゃ可愛い2色刷りのチラシは、現在漫画家の森田るいさんが作ってくれました。
実は当時、みなみ会館でアルバイトして下さっていたのですよね。

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また、この頃だったかと思うのですが、
松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ 3D』が近くのシネコンで上映されており、監督とGOMAさんが舞台挨拶に来る!という事だったので観に行きました。
するとまさかのみなみ会館、新・旧スタッフが大集合!という状況に。
なぜかみなみ会館チームで、松江さんとGOMAさんを囲んで打ち上げに行ったのも良い思い出です。笑

そしてこの頃くらいから、京阪神を一気に回って舞台挨拶ツアーを組むという流れが始まり出しました。
いちスタッフの頃は、自分の気になっている作品だけを観ていたのですが、
番組編成を行うとなると、今までは観た事もないようなジャンルの映画もどこどこ観ないといけません。
せっかく舞台挨拶に来てくださるというインディペンデント作品の監督を、がっかりさせるワケにはいかない…!と思うのですが、
やっぱり宣伝が行き届いてないと本当に厳しく、連日登壇をしてもらっていると、お客さん「一人」に向かって舞台挨拶をお願いしないといけない夜もありました。
その日は、監督は壇上に上がられず、上映終了後にお客さまの横にそっと歩いていき「どうでしたか?」と声をかけられていました。
あの時の監督の背中は忘れられません。
地方におけるインディペンデント映画の厳しさは、もちろん分かってはいましたが、自分で上映する事を決めた作品に対して起きた結果は、かなりこたえました。

でもこの年、みなみ会館は近年稀にみる大ヒット作に恵まれます。
初夏くらいからインド映画の波がやってきていたのですが、
この時に上映した『きっと、うまくいく』が、思わぬ大ヒットとなりました。

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最初にお話を頂いた時、インド映画は上映時間が長い事もあって、スクリーンが1つしか無い旧みなみ会館では大きく取り扱えないですよ…とあまり乗り気ではありませんでした。

でも、作品を観てみて本当にびっくり…。
号泣しすぎてしんどかったくらいの大傑作だったのです。

上映が始まると、あっという間に口コミが広がり、連日お客様の長蛇の列がみなみ会館を取り巻いてくれました。
旧館時代の入り口は階段をあがった2Fにあったのですが、入り口から階段を抜けて自転車置き場まで埋め尽くすほどの人の多さ。
一度もみなみ会館に来た事のなかった私の母ですら、噂を聞きつけて観に来るくらいだったので、本当にびっくりするほどの現象でした。

この現象のおかげか、みなみ会館は右肩上がりにお客さんが来てくれるようになっていくのですが、館長1年目は思い出が盛り沢山で書ききれませんでした。

ではでは、続きはまた次回。


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