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7日目

休館してから、もう1週間が経ちました。
3月末からここまでの時の進み方が、異常に早くて長い。
感覚が矛盾してきます。
朝になって夜になるまではとても早いのですが、
3月下旬の事が、ずいぶん遠い昔のように感じます。
人間、経験したことの無いものに直面すると、
こんな感じになってしまうんですかね。
幼い頃、時が長く感じたのはこれに近い感覚だったのかもしれません。

まあ、営業している時に比べて、大変規則正しい生活をしているので、
毎日家で夕飯が食べれているのはいい事だなあ、とは思いつつ。

でも、そろそろ本当にあの毎日が恋しくなってきました。
お客様のいない昼間の劇場は、ひっそりとしすぎていてなんだか異世界みたいです。

さて、元来三日坊な私が、よく7日間も書き続けられたなと正直驚いてます。
今まで、日記はおろか「頻繁に何かを書き綴る」という習慣が、SNSを含めてほぼ無いので、そろそろうっかり書き忘れて寝てしまう日が出てくるかもしれませんが、意外とみなさんに楽しんで頂けているようで、とても嬉しくホッとしています。

読んでくださっているみなさまに、心からの感謝を!

***

さて7日目の思い出は、チラシ作りの事についてです。
劇場の独自の企画の場合、基本的には館内で印刷物を作成します。

当時のスケジュールリーフレットは、元RCSのOさんに作って頂いてましたし、たまに外注する事もあるのですが、基本的にお金が無いので、経費削減の為に「作れるスタッフが作る」という感じです。

私は高校・大学と芸術系の学校を一応卒業しており、
本当に触りだけPhotoshopが使えるという程度だったのですが、何かを作るのは昔から好きだったので、2010年の末頃からはチラシ作りを任せてもらえる事になりました。Illustratorを触るようになったのは、この頃から。

これは余談ですが、高校の頃は染織科に在籍していて、鼻をかむと青やピンクや黄色(染料の粉)が出てくるような教室の中で、糸や布を染めたり織ったりしてました。真夏に空調の無い教室で、大釜を炊いて染めたりしていたおかげで、当時の映写室の灼熱に耐えられたのかもしれません。
作品の合評前は、授業に出ていたら間に合わないからと、午前中から鴨川で隠れて染めたりしてました。観光客の方には「さすが京都!」とか訳のわからない事を言われましたが、変な京都観を植えつけてしまった事は申し訳なく思ってます。
遅刻管理ノートには私の名前がずらりと並ぶくらいの常習犯で、休める日数を計算して授業をサボって作品を間に合わせたりしていた私ですが、
上には上がいるもので、それに輪をかけた問題児の友人がいました。
誰よりも制作の手が遅く、「合評に間に合わない!」と焦っている彼女の口に、お弁当のおかずを突っ込んで食べさせてあげた事もあります。
お昼ご飯は私たちが食べさせてあげるから、あんたは作れ!という状態です。
そんな彼女は高校を卒業後、デザイン関係の大学に進み、アパレルの企画・営業を東京でバリバリにこなすやり手ウーマンになっていきました。

余談が長すぎましたが、チラシを作るという事が決まった時に彼女に連絡したところ、大学の時に使っていたDTPのテキストや教科書をいっぱい家に送ってくれたのです。
それのおかげで、ちょっとずつではありましたが何となくIllustratorの事が分かっていき、それでもよくわからない事はgoogle先生に聞いたりしている内に、なんとか触れるようになっていきました。

最初に作ったチラシは、2010年11月末から間とんで1月初旬頃まで上映をしていた〈ルキノ・ヴィスコンティ特集〉。
見栄えを良くする為の方法が分からなさすぎた結果、アクリルガッシュで描いた絵を組み合わせてチラシを作ってました。
選んでいるフォントも何とも言えませんが、どうにかしてヴィスコンティの豪華絢爛さを出したいと思って作ったチラシです。笑

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そして、次に館長から「作って〜!」と言われたのが〈イ・ビョンホン特集〉のチラシ。
もう、「どうしていいか分からない」の極みで、とにかくファンの方にビョンホン様カッコいい〜!と思ってもらえる事だけを祈って作りました。
絶対に顔に文字は被せない!素敵な表情を大きく使う!といった感じ。
今だったら、もっと遊べばいいのにと思いますが、めちゃくちゃ真面目なチラシになってしまいました。

逆に遊びすぎたのが、以下のチラシ。

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2011年の9月に上映していた特集ですが、なぜかゴダールとトリュフォーをリンゴの木と組み合わせてしまうという…。
当時は「なんか可愛い」という感覚だけで作ってしまってたなあ。

実は私は、映画館の業務の中でチラシ作りしている時が一番楽しいのです。
今でもオールナイトのチラシは出来る限り作らせてもらってます。
忙しい時期は、チラシの無い回も頻発してますが…。

ここから以降は、自分が作ったチラシ物とかを絡めた思い出話になっていくかもしれません。

ではでは、また明日。


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