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【アンテナの『あん』 - ライター:肥川紫乃】好奇心旺盛な彼女がアンテナで書き続ける理由

アンテナの『あん』とは?
編集部メンバーがお互いを知るために、インタビューでメンバーを掘り下げ、アンテナの『なかみ』を副音声的にお届けします。
今回のテーマは『いまに繋がるターニングポイント』です。

肥川はアンテナメンバーの中でも異色の経歴の持ち主だ。大学卒業後、アパレル職、飲食店でのアルバイト、フリーランスデザイナー、その後、デジタルマーケティング会社への就職を期にデザイナーアシスタントを経験し、現在はプロデューサーとして働きながらアンテナのライターとして活動している。職歴や彼女のコラムから伝わる好奇心旺盛さ。そしてインタビュー記事やスポット記事から滲み出る、出会った人・もの・ことの良さを伝えようとする真摯な姿勢。

今回のインタビューでは、彼女がどのようにしてインタビューや執筆に向き合っているのか、アンテナで今後どんなことをやっていきたいのかについて聞くことにした。

肥川紫乃(ひかわ しの)
髪を伸ばした自分が見てみたかったのですが、満足したのでそろそろ切ります。自分の知りたいを知るためにライターをしているんだと思います。

話しやすい雰囲気づくりを心がけ、相手の魅力を引き出す

ーー:肥川さんのインタビュー記事からは人との出会いをとても大切にしている印象を抱きました。目の前にいる人やその人の作品、お店を真摯に伝える書き口に感銘を受けたのですが、インタビューや執筆の際にはどのようなこだわりがあるのでしょうか?

肥川:インタビューも執筆もアンテナに入ってから始めたので、初めてのインタビューはすごく緊張したんですけど、未経験なので技術がない分、とにかくその人の話を真剣に聞く姿勢を意識しました。「あなたに興味があって、お話聞いてるのが楽しいです」と相手に伝わるよう意識して、相手が話しやすい空気づくりを心がけています。

ーー:相手が話しやすい雰囲気をつくることで、その人の話を引き出しているんですね。

肥川:それから、インタビューをする前に、改めてインタビューの趣旨を説明するようにしています。事前に相手の方には質問表を送っているんですが、こちらが何について聞きたいのか、レールを敷くと話しやすいと思うんです。アンテナのメンバー同士でインタビュー練習をしていた時、質問をポンと投げかけられて「あれ、何に対して話したら、聞き手の欲しい答えが喋れるんだろう」と迷った経験があるので。

ーー:確かに、改めてインタビュー趣旨を説明してもらえると相手も話しやすいですよね。

肥川:あと執筆の時に意識していることは、なるべくインタビューする相手の姿を読者が想像できるような文章を書くことです。キャラクターとか雰囲気とか、その人が話しているように聞こえる、読める文章を心がけています。

文字起こしの段階では、「これ」とか「その時」みたいなインタビュー当事者にしかわからない言葉もあって、読者に伝わりやすいようライターが手を加える必要があります。その時に「この人はこういうことを言いたかったんだろうな」って想像で補って、読者に分かりやすく、でも不自然ではない言葉の整理を意識しています。なるべくその人本人が言ったような言葉にしたいな、と思って。

ーー:その人のキャラクターを崩さずに、でもわかりやすくを意識されているからこそ、肥川さんのインタビュー記事からはその人の雰囲気が伝わってくるんですね。伝え手として大切な心がけですね…。

ありがとうございます。

好奇心に純粋だからこそ光る行動力

ーー:インタビュー記事も魅力的なのですが、肥川さんのコラムから伝わってくる行動力や臆せぬ姿勢にものすごく感動しました。失敗を恐れるのではなく、やらないことを後悔するぐらいなら…という行動力の背景にあるものを知りたいです。

肥川:基本的な自分の姿勢だと思うんですけど、いつも何か楽しいことを探しているんだろうなと。私が北海道の田舎で育ったこともあって、新しいものとかワクワクするものに飢えているというか…。

田舎って本当に何もないので、学校行って習い事行って、でも遊ぶところはそんなにない。だからテレビ見たり漫画見たりするのがすごく好きだったんです。漫画とかアニメの世界があったおかげで、想像とか物語が好きになりました。それから、高校は「とりあえず高校入ったら家から離れよう」と思ってたんで、地元から離れて寮生活したんですけど、その理由は「新しい世界を知りたい」「誰も知らないところに行ってみよう」みたいな感じでした。大学も同じで、関東に出てきたんですけど、その時も純粋に「東京に何があるんだろう」と思って出てきました。

ーー:好奇心が肥川さんの原動力なんですね。

そうですね。好奇心に純粋に従ってるっていうのはあります。噂とか評判とかだけじゃなくて、自分の目で見て、自分で体験して判断したい。何もなかった田舎から「外の世界を知りたい」みたいな気持ちがムクムクと出てきて、それでどんどん新しいところに足をつっこんでいくような性格になったのかなと思います。

ーー:「自分の目で確かめる」という好奇心を大事にされてるのが、文章から伝わってきます!今でも新しいものを探してらっしゃると思うんですけど、最近気になる新しいもの、ワクワクしたものはありますか?

肥川:最近気になるものは2つあります。1つは韓国語の勉強。ここ数年、K-POPを聴いてます。自分では一時的な流行りなのかなと思ってたら、結構何年もずっと聴いていて。その割にはYouTubeでK-POP聴く時、ついつい日本語字幕を追ってしまうので、そろそろ韓国語だけで理解できるようになりたいなと思っているところです。

もう1つはイラストを描くことです。中学生の時は自分で好きなイラストを描いていました。今は仕事でたまに絵コンテとかを描くんですが、久しぶりに「楽しい!」という気持ちを思い出して。「こんな気持ちになるの久しぶりやな」と思ったんで、ついこの間から、仕事の合間を見つけて取り組んでいます。

ーー:新しいもの、ワクワクするものの幅がますます広くなりますね。

肥川:気になることはとりあえずやってみようと思ってます。

でも、これが仕事になるぐらいにできたら良いんですけど、そこがちょっと自分の課題ですね。好きなものは他にも結構いっぱいあるんですが、極めきれないところもあるので。好奇心の幅が広いことは良いと思ってるんですけど、理想は、好奇心が続いてどんどん極められるようになることです。そうしたらもっと人生楽しくなるんじゃないかなって思っています。

「問い」を見つけるためにアンテナと向き合っている

ーー:自分の好奇心を極めることが課題なんですね。その考えにもつながりそうなのですが、今後アンテナのライターとして書きたいジャンル、切り口はありますか?語学勉強やイラストなど、自分が興味あるものをアンテナで出していきたいなど、今後アンテナでやりたいことがあれば教えていただきたいです。

肥川:そうですね…。自分の好きな、興味のあることをアンテナに還元していく、アンテナでできるようになっていくと楽しそうだなと思ってます。

これまでアンテナではジャンルとして数が少なかった、旅やコーヒー、カフェ、古着屋などローカルに根ざすお店についてもっと書いていけたらいいなと思いますね。

ーー:肥川さんはアンテナに加入して4年目になると思うのですが、アンテナに加入する前と後で変わったことはありましたか?

肥川:「より知りたい」って気持ちが高まりました。以前アンテナで「ひとつ自分の中で解き明かしたい問いを持ってインタビューしてみよう」って言われたことがあって。例えば片山さんが書いている『映画から学ぶアートとお金の関係』という記事なら、「アートを語るうえでなぜお金は語られないのか」が問いになると思うんです。アンテナでは常に「自分がどんな問いに関心があるのか」を考えて、そういう問いをもってみんなインタビューに臨んでいると思います。それで私は今、その問いを探しています。一生付き合っていける問いみたいなものを。

ーー:その問いが、今探している段階の書きたいジャンルや書き口につながるかもしれないですね。

肥川:そうですね。アンテナで取材やインタビューをしていると毎回すごく発見があったり、自分にはなかった考えを聞けたりするので、そういう発見や考えを溜めていって、その中で自分に一番刺さったところをテーマにして書いていきたいなと思っています。今、いろんなことに興味があって、全部同じくらいに興味がありますけど、その中で一番刺さる問いを見つけるために、アンテナと向き合ってるんじゃないかなと思っています。

ーー:問いが、次のインタビューや取材で新しい発見や考え方との出会いにつながっていくんですね。以前記事内で“アンテナがもっと読まれるようになりたい”とおっしゃられていましたが、現在進行中でその思いと向き合い続けていることが伝わってきました。本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

ライター:片山香帆

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