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日本語教育・「雑談」の持つ力

「早く、学生たちと雑談がしたいなあ・・・」今日もつぶやいてしまった。

Zoom授業の今では、学生たちと雑談をすることが皆無だ。私の場合、画面越しではどうしても、授業と連絡事項を伝えるぐらいしかできない。不思議なもので、画面の向こうの学生たちと、今一つ雑談したい気持ちが湧き上がってこないのである。

私の勤務校は、学生の当番システムを取っていて、授業後2人の当番が教室の掃除をする。掃除と言っても簡単。ホワイトボードの溝をハンディブラシで綺麗にし、後は机・椅子の整頓と、机の中の忘れ物のチェックだ。私も教室に残って、任務を遂行している彼らを見つつも、いろいろな話をする。

母国のおいしいものや流行していること。今のバイト先での失敗談や人間関係の悩み。好きなアニメやゲームの話。真剣な話から、アホな話(?)まで聞いていて飽きない。学生たちはこのとき、授業とは全く違った面を見せてくれるので、私にとってこの雑談タイムは興味深い。学生の個性を新たに発見できる絶好の機会なのだ。

もちろん、あまり話さない学生もいる。その時は、掃除している様子で隠れた性格が読み取れる。遅刻が多く、宿題も忘れがちな学生も、掃除となれば100%完璧に徹底的にやってくれる。このハッとする一面が発見できたとき、本当に嬉しかった。

10分ほどのこの短い時間がどれほど貴重なものだったか。こんな小さな積み重ねが学生との深い絆に繋がっていくように思う。深い絆は、揺るぎない信頼関係に発展する。こうすると、クラスで授業する際も、個人的に何かで指導をしなければならないときも、とても楽だ。

「ゲーム大好きで上手な○○さんなら、家に帰るが早いか、すぐにゲームをやるんじゃない?」と、笑いながら本人に問いかけつつ、クラスで「~が早いか」の導入に使ったり、「いつも早起きしている△△さんにしては、今日の遅刻は珍しいけれど、どうしたの?」とさりげなく「~にしては」の復習をしながら、個別で本人に話を聞く。

こうすると当事者たちは悪い気はしないし、後者の場合、事実を正直に話してくれることが多い。これも、日頃からの「雑談」のおかげなのだと思う。学生が心をこちらに開いてくれなければ、いい授業も様々な指導もできない。(私も日々試行錯誤の連続だけど・・・)

今は小さな画面の中の学生たちだが、対面授業になったらしっかり目を見て、大いに雑談を楽しみたいと思っている。


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