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「当事者意識」~当事者意識は能力ではない~

ASEANにある日本企業拠点の組織開発、コーチとして面談、そして各国に住むビジネスマンと情報交換などを日々しています。

その中で、、、以下のような声を聞くことが多いです。

・最近の若者は当事者意識がない
・「○○(国名)人」は他責傾向が強く、当事者意識が低い。
・あいつは当事者意識が低いから仕事が出来ない、成長しない

このように当事者意識について語られる際、当事者意識を1つの能力のように語られることにとても違和感を感じます。

「当事者意識」が高まることと「大きな成果」をだすことは、相関があるのだと思います。

だけど、当事者意識が強いことと優秀なのはイコールなのか、当事者意識が低いことと優秀でないことはイコールなのか

ここは成立しないと思います。

何故ならば、当事者意識は環境によって後天的に作られるものであって、スキルや才能ではないと私は考えるからです。

私は組織開発に携わる中で、コーチとして個人の皆様と対話を重ねる中で、個人の当事者意識についての変化を幾度も見てきました。

かく言う私も、社会人7年目くらいまでは仕事に関して全く当事者意識がなかった人間でした。

だけど転職をきっかけに、仕事への向き合い方が多きく変わりました。

そんな経験から、「当事者意識」について

私なりの考えについて今日は書いていきます。

※ヨコタの自己紹介※

駐夫記事の他にも元転職エージェントとしての知見を記事にしていますので
こちらも是非ご覧ください。


当事者意識って何なのか

そもそも当事者意識って何なのか。

ビジネスシーンで使われる場合、

とある業務やミッションや問題を「我が事」と捉えて自発的に行動する、取り組む、解決する、このような意味で使われることが多いです。

逆に「当事者意識がない」とは業務やミッションや問題を「他人事」と捉えて、自ら行動しない、言われないと動かない、動いているが表面的な問題解決、持続的でない行動、このような意味になると思います。

ただ、ここで思うこととして、当事者意識がない人って、そもそもいるのでしょうか。

個人差はあれ、人間は皆、欲求があり、自身のありたい姿に対しては、当事者意識が働きます。

ただ、個人によってありたい姿が様々なので、当然そして当事者意識が働く先は個人によって異なるということです。

「最近の若者は当事者意識が低い」と、よく耳にしますが

MUFG資産形成研究所が2023年7月に発表しているデータだと、2017年から20代の金融リテラシーは一貫して増加傾向とのことです。
※参照 「企業勤務者「20代」における 金融リテラシーと投資状況の変化」

https://www.tr.mufg.jp/shisan-ken/pdf/kinnyuu_literacy_24.pdf

このデータは、若者が将来に向けて先回りした行動であり、当事者意識が高い行動結果と言えるのではないでしょうか。

ASEAN各国と仕事をしていく中で、「○○人(○○は国名)は当事者意識が低い」とよく耳にしますが、

JETROのデータによるとASEANにおける2024年の経済成長力は約4.6%とのことです。一方で日本は1%を切る予測のようです。

※参照

(各国のベースで成長率は変わりますが、)日本より高い成長率である、他国の方が、成果と直結する当事者意識が日本人より低いのでしょうか。
これは、これまで海外で仕事をしてきての感覚値ですが、自身の給与を上げていくことに関しては、日本人より当事者意識が高いのではと感じます。

よって当事者意識とは、

業務やミッションや問題を「我が事」と捉えて自発的に行動する、取り組む、解決すること。そして、人間は全員が持っているものであるが、当事者意識が働く先は個人ごとに大きく異なるもの

と言えると思います。

当事者意識はどのように働くのか

当たり前の話ですが、取り組む事柄やミッション、問題の解決が個人にとって、「得たい報酬を得れる」、どうしても「失いたいことを守ることが出来る」のであれば当事者意識は働くものです。

つまり、単純なプラスやマイナスで働くものではなく、その先にある「得たい」・「失いたくない」という感情が合わさって、当事者意識は働きます

とある、プロジェクトを部下に任せたとします。
このプロジェクトの成功のあかつきには、課長職へ昇進を約束したとします。

課長職昇格という明確な「プラス」を提示しても、当事者意識を持ってプロジェクトを推進してくれる人もいる一方で、当事者意識がないように感じる人もいるとは思います。

当事者意識がないように感じられる方の心の中は、以下のような状態かもしれません。

<当事者意識が低い人の心の中>
・課長職にはなりたいが、なりたいポジションの課長職ではない
・昇進は嬉しいが、昇給額と今後任されるミッションとでは割に合わない
・課長にはなりたいが、時間的拘束が増え、家庭との両立が難しい
・課長にはなりたいが、何をしないといけないか、よく分からない
・そもそも課長になりたくない、スペシャリストになりたい

一方で当事者意識がある方は、このような考えがあるのかもしれません。

<当事者意識が高い人の心の中>
・課長になって、もっと大きなビジネスに携わりたい。
・将来の夢は社長。そのためには、絶対に課長になりたい。
・子供の将来の学費を考えると昇格しないと厳しいから、何とかプロジェクトを成功させて、課長になりたい。
・同期も課長になっているので、何としてでも課長になりたい。
・課長になって、人材マネジメントを身につけて転職市場において有利なスキルを身につけよう。
・課長か、、、給与はあがるから、上がって損はないし、とりあえず上がるか。つまらなければ転職でもしよ。

このようにプラス要素に、その先にある「得たい」という感情が合わさって、当事者意識は働きます。そして「得たい」対象は会社が上司が想像しているものとは違うモノであることは、よくあることだと思います。

逆にプラスだと思っても「得たい」という感情がわいてこない場合は、当事者意識は働きません。

当事者意識を持ってもらうには

1.相手の感情に寄り添う

上記の通りですが、当事者意識は、客観的なプラス・マイナス要素に「得たい」「失いたくない」などの感情が合わさって、働くものです。

当事者意識が足りないと思う部下に、
タスク、ミッション、問題解決をただ単に依頼するのは不十分です。

タスク、ミッション、問題解決が成功した際の客観的な「プラス」・「マイナス」を伝えるだけでも足りません。

部下の内面に寄り添い、部下のありたい姿を日々確認し、互いの目線を合わせることが大事です。

2.自身の価値観は捨てる

個人、世代、国、地域、性別など価値観は様々です。
国によっては、そもそも仕事観は異なります。

ましてや今は日本においても以下のような、これまでにない変化があります。

・共働きの一般化
・売り手市場
・転職の一般化
・終身雇用の崩壊
・極端な円安

目まぐるしい変化に対して価値観が多様化することは当たり前です。

・会社の忠誠心を尽くすのは当たり前
・転職は逃げ
・出世は誰もしたいもの
・人事異動は絶対

このような過去の当たり前は、もう通用しなくなっています。

理解が出来ない価値観も多いとは思いますが、自身の価値観に固執することなく新たな価値観を受け入れることが、大事です。

3.解像度を上げて伝える

ASEANの日系企業に勤めるローカルスタッフと話しをしていると、

・日本人上司は報告をしろと求めてくるが、自身は報告に対してフィードバックしない
・自発的な行動が足りないと言われて、自ら行動して成果を出すことができたが、それに対しての評価がない
・業務内容が明確でなく、将来どのような仕事をするのか不安だ

こんな話を日々聞きます。

これは、日本人とローカルスタッフに問題だけでなく、日本人同士でも起こっている問題です。

これまでの日本企業は、

・終身雇用を前提としたゼネラリストを育てる文化
・人事異動は本人の意思は反映され辛い
・個人の職務範囲は明確でなく、個人の能力に合わせて設定

このようなことが一般的でした。

なので、上司サイドとしても、部下の将来についてコントロールできる範囲は少なく、どうしても部下の将来について解像度をあげて伝えることは出来なかった背景はあったと思います。(伝えることがリスク)

そんな背景と日本特有のハイコンテクスト文化があわさって、部下に伝えることが苦手な上司は非常に多い印象をうけます。
※ハイコンテクスト・・・文化の共有性が高く、言葉以外の表現に頼るコミュニケーション方法のこと

よって、伝えることが不足しているので、

そもそも、対応することで得られる「プラス」、対応しないことで毀損する「マイナス」がしっかりと伝えれていないことあると感じています。

対応することの「プラス」、対応しないことの「マイナス」を相手が理解できる解像度まであげて、伝えることが重要です。

最後に

冒頭にも書きましたが、当事者意識は能力でも先天的な才能でもありません。

特定の環境(個人ごとに異なる)に応じて、後から勝手に湧いてくる、後天的ものです。

なので、もし部下や同僚が当事者意識が欠けているなと感じるのであれば、部下や同僚に焦点を当てるのではなく、先ずは自身の対応を見直してみてください

そして、「お前は当事者意識が足りない」と言われて、落ち込んでいる方がいるのであれば、環境を変るのも良いかもしれません。

僕は、新卒で製造業に入社をしました。
社会には絶対に必要な商品であり、社会的意義も高い会社でした。

ただ、

営業時代にモノがどれだけ売れても、
企画時代、長年の問題を解決しても、
大きなプロジェクトを任されて完遂しても、

当事者意識が芽生えることはありませんでした。

今振り返ると僕の場合、

社会的インパクトや、金額規模や、会社の影響度より、「自身の関与度」が自己の満足に影響を与える性格のようです。

短絡的な性格ですね。

製造業のように組織ごとに細かく役割分担が設定されている業態の場合、なかなか自身の行動が社会の何に影響を与えたのかが見えづらく、当事者意識は芽生えませんでした。

当時受けたアセスメントで「他責傾向」が強いという結果が返ってきて、ショックを受けた記憶があります。

ただ、転職エージェントに転職して以降、上司・同僚から他責傾向が強いと言われたことはありません。

どのようなことにも我が事と捉えて「当事者意識」を持った対応ができたと思います。

転職エージェントに転職したことで、僕がスキルアップしたわけでも、性格が変わったこともありません。

変わったのは環境だけです。

どうしても当事者意識が芽生えないのであれば、それは環境かもしれません。

環境を変えるということも検討してみてください。

今回の記事を通じて、1人でも多くの方に感じるものがあれば嬉しいです。

今回は「当事者意識」というテーマで書きましたが、相手の当事者意識に火をつけることは非常に難しいです。

当事者意識を持つために、環境を変えることも必要とは書きましたが、環境を変えることはストレスも大きく、決断も簡単ではないです。

そのためには、先ずは自身の内面に向き合うことが重要です。

「内面に向き合う」とコーチングはとてもいい相性です。

枠数限定ではありますが、体験セッションも募集しておりますので、是非ご応募ください。

もしご希望の方がおられれば、以下公式Lineより

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「変わりたい、もっと上昇したい」
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ではまた。








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