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第2回ワークショップ「空飛ぶクルマのワクワクを伝えるコミュニケーション」

こんにちは、美大生×官僚 共創デザインラボです。
この記事では、2021年1月24日に開催された、第2回デザインワークショップについてレポートしていきます。

今回のワークショップは緊急事態宣言の影響もあり、オンラインで開催されました。
最初はオンラインツールの操作、画面越しのアイディア出しなどに不安の声もありましたが、事前練習を経て充実したワークショップになりました!
また、オブザーバーとしてたくさんの方にもご参加いただくことができました。
この記事では、ワークショップで使用したオンラインツール・miroやzoomのスクリーンショットも混えて、雰囲気をお届けしていきます。

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テーマについて ー無限の可能性を秘めた日本の空モビリティ

次世代空モビリティとは、ドローンや空飛ぶクルマなど、文字通り空を飛ぶモビリティのこと。経済産業省では、次世代空モビリティを安全に便利に利用できる将来に向けて、様々な取り組みを行っています。
次世代空モビリティの中でも、人を乗せて上空を移動できる電動のモビリティを「空飛ぶクルマ」と呼んでいます。

「空飛ぶクルマ」に関する政策は、機体や技術の話だけには留まりません。
たとえば、乗り物が空を当たり前に行き来するには、停留所や燃料補給する場所などが必要になります。
空を安全に飛ぶために、様々なルールも整備しなくてはいけません。
どんな人がどんな時に、どんな風にどこから乗るのか...。
たくさんのことを考えながら、町まるごとを想像していく必要があります。

しかし現在の日本では、空飛ぶクルマに対して、十分な理解が世間に広がっているとは言えません。
広報もまだまだ充実していないため、危険性への心配が解消されず警戒感があったり、そもそも空を飛ぶ姿をイメージできなかったり。日本の人達にとって、身近なものとは言いづらいという現実があります。

そんな分野だからこそ、美大生の力の見せ所でもある。
私達は今回、そう確信してこのテーマに取り組みました。
建築、プロダクト、グラフィック、様々な技能をそれぞれが持っている美大生だからこそ、多面的な発想で空モビリティにアプローチできるはず。
まだ決まっていることが少ない分野だからこそ、想像を膨らませて思いきり可能性を広げてみたい。
そんな熱い思いで、今回のワークショップのテーマは決まりました。

事前ヒアリング

事前ヒアリング・リサーチ

アイディア出しの基礎となる知識を増やすため、次世代空モビリティ政策室の澤田隼人さん、同室コミュニティマネージャーで週一官僚の小菅隆太さんにヒアリングを行いました。
空モビリティに期待されている役割や、空飛ぶクルマの現在の開発状況、法整備などについて、政策の最前線に関わる官僚から直接聞くことができたのは、知識の少ない美大生にとって、貴重な経験になりました。

また、美大生メンバー内のデザインブリーフチームが、空モビリティについてリサーチ。
「わくわく」「理解不足」「社会課題」など独自のキーワードを設定し、海外事例やデータについて情報収集しました。

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今回は初めてのオンライン開催ということもあり、事前にチームを決めて予行練習を行いました。また各チームに議論を円滑に進めるファシリテーターが各チーム1人ずつ付いたのも新しい試みでした。

予行練習、当日はこのような流れです。

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予行練習では、官僚・美大生がお互いの関心領域をすり合わせ、空モビをどんな視点から考えるかの大まかな方向性を決めました。
当日は、前回から好評だった美大生による作品紹介、第1回のデザインプレゼン(記事はこちら:リンクを貼る)などで、オンラインながらチャット欄で盛り上がりました。
その後、田中美帆先生からデザインレクチャーが行われ、海上での人命救助の事例が紹介されました。

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それでは、各チームのグループワークの様子を見ていきましょう。


グループワーク

Aチーム(美大生:秋丸さん、道さん ファシリテーター:小菅さん)

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Aチームでは、美大生2人の関心領域が、道さんは環境問題などの課題をデザインで解決すること、広告研究をしている秋丸さんはポップに問題を伝えることにあり、一見正反対のように思われます。
しかし、ファシリテーターから「正反対だけど根底は一緒」という言葉があり、2人のコントラストを活かして、空モビの社会的受容性を高める情報発信法を考えることに。
そこで出てきたのが、空飛ぶクルマ=サンタクロースのソリというアイデアです。
このキャッチ―なアイデアに一同大盛り上がり!サンタクロースのキーワードをもとに、当日までリサーチを進めることに決定しました。

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当日は、まず各自、サンタクロースをテーマに持ち寄ったアイデアをMiroボードに付箋で貼っていきました。
サンタへの手紙を空モビで運ぶ、空モビに乗ったサンタが学校のグラウンドにやってくるなどのワクワクするようなものから、そもそもトナカイにソリを引かせるのは動物愛護の観点から良くないのでは、という新しい視点や、サンタの高齢化問題についてなど、社会課題と絡めた切り口でも議論が深まりました。
このチームは、美大生の出したアイデアを官僚が拾って膨らませ、大いに盛り上がりました。


Bチーム (美大生:塩谷さん、伊藤音愛さん  ファシリテーター:半澤さん)

Bチームの美大生2人の関心領域は、まずリーダーの塩谷さんはUX(ユーザーエクスペリエンス)・体験設計、普段掛け軸を作っている伊藤音愛さんは日本文化と空モビの融合です。
塩谷さんは、空モビを語るうえで、ハードだけではなく使いやすさも普及に重要なポイントだと考えています。海外事例を挙げながら、災害時や外国人にも使いやすいデザインを模索しました。

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話し合いで官僚から医療・福祉と空モビのかけ合わせへの関心が示されたこと、もともとクールジャパン政策に強い関心がある塩谷さんと、掛け軸などの伝統文化との接点がある伊藤さんの日本文化を発信したいという意思が共通していたことから、このチームのテーマは医療と観光の2つの軸に絞られました。

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当日は、美大生2人が開始前に案を出した、空モビの内装に和の要素を取り入れる案と、美大生、官僚のアイデアを組み合わせた観光×医療の案の2つの方向性で議論が深まっていきました。
日本は他国に比べて観光客の消費金額が少ないことに対する問題意識から、富裕層向けの観光産業について話し合っていたのも特徴的でした。


Cチーム(美大生:安富さん、新名さん ファシリテーター:cocoroé伊藤さん)

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Cチームでは、美大生2人の関心領域が、過疎地域の医療や観光などで共通していることが予行練習で話題に。
それぞれ、東北の被災地でボランティアをしたり、ルワンダで研修を受けたりした経験がベースになっていることがわかりました。
空飛ぶクルマにも、点々と散らばった地域や観光スポットをつなぐ、課題解決の方法としての利用に注目が集まりました。

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ワークショップ本番では、
「課題解決をするだけでなく、人を笑顔に」「困っている人にもワクワクを!」
をコンセプトに、空飛ぶクルマを受け入れてもらうためのアイディアを考えることに。

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当日は、美大生が出した「空飛ぶクルマの魅力を広めるために、キャラバンで全国を回る」というアイディアをきっかけに、世代を問わず受け入れてもらうための案を出し合いました。
「クルマ」という冷たい機体に、いかに温度感のあるイメージを持ってもらえるか、ディズニーランドの乗り物などをヒントに、発想を広げていきました。
過疎地域を回って活性化に役立てたり、擬人化キャラクターと一緒に登場したり、
それぞれの経験から意見をどんどん出して、キャラバンのアイディアを発展させていっていました。


Dチーム(美大生:前田さん、三枝さん  ファシリテーター:水口さん)

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Dチームでは、美大生2人の関心領域が、空モビ普及後の生活「空モビのある生活」を具体的にイメージしてみたいという方向で一致しました。
そこで、予行演習ではこのキーワードを中心に連想されることを書き出しました。
空モビの走る空には道はあるのか、どれくらいの高さを飛んでいるのか、道路標識や交通ルールはあるのか、など具体的な想像を膨らませ、空モビが私たちの暮らしにもたらすメリットもたくさん挙げました。

長距離の移動手段になる、地方のものをすぐに運ぶことができるなどを書き出していくうち、これらのメリットをまとめて伝えることができる方法として、多くの人に身近なデートプランと空モビを掛け合わせた「ドローンデートプラン」を考案し、発信していくというアイデアが出ました。

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当日は、ドローンデートプランを考えるというテーマのもと、官僚と学生が「空で何をしたいか」を和気あいあいと話し合い、それをどんな形でアウトプットするかも考えていきました。
「空で待ち合わせ」といったキャッチ―なワードが官僚側から出されたのも印象的でした。


Eチーム(美大生:伊波さん、伊藤思音さん ファシリテーター:海老原さん)

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Eチームの美大生2人の関心領域は、伊藤思音さんは空モビのある未来をデザインによって可視化すること、建築を学んでいる伊波さんはポートなどの空モビにまつわる空間にアプローチすることでした。2人の関心を掛け合わせて、空モビ導入後の都市構想を練ることに。
さらにファシリテーターの海老原さんが「官僚と美大生の考えを混ぜたい」と、考えを可視化する役割を美大生だけがするのではなく、官僚も絵を描くことを提案しました。

事前練習後、この取り組みをワークショップの限られた時間内で行うためにどんな方法を取るのがよいか、美大生2人で深夜に及ぶ話し合いが行われたそうです。
最終的には、本番当日の朝、このチーム独自にワークショップを以下のような時間割にし、美大生と官僚が想像を絵にし、合体させて大きな街を作ることになりました。描くものは、都市を横から見た断面図で、あったらいいなと思うものです。

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絵を描いては見せ合う斬新なワークショップ手法に、官僚側も当初はとまどいがありましたが、慣れてくるとアイデア出しが活発になり、柔軟なアイデアがたくさん生まれました。アイデアシートにどうつながったのか注目です。


アイディア発表

チームごとに、グループワークで出たアイディアを発表しました。
miroの画面を共有しながらアイディアが次々と披露され、zoomのチャット欄にも好評のコメントが書き込まれました。

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Aチームは、サンタクロースを通して空モビの社会的受容性を高めるアイデアを2つ発表しました。
空モビの重要性を、次世代を担うこどもたちに柔らかく伝えることが大きなテーマです。
1つ目はCM。ワークショップの中で、サンタのソリを引くトナカイは虐待されているのではないか?という視点がありました。サンタのソリが空モビになるということは、それまで働かされていたトナカイが開放されるということです。空モビの登場によって、トナカイが開放されるという内容のCMを制作することを提案しました。

2つ目は絵本の制作です。空モビには、どうしても機械的・冷たいといったイメージがあります。空モビに乗ったサンタがプレゼントを配るストーリーを、柔らかいタッチで描くことにより、こどもたちに空モビの良さを伝えます。実際に、この絵本をこどもたちにプレゼントとして配ることも想定しています。


Bチームも2つの案を提案しました。

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1つめは、「観光×高齢者×リッチ ウェルネスツーリズム」です。
高齢者施設にいる方は、旅行に行きづらいという問題があります。そこで、施設に空モビのポートを作り、そこから出発します。このアイデアのポイントは、観光でありつつケアでもある、旅行したい高齢者のためにトータルデザインされたプランという点です。

2つめは「空飛ぶ茶室」です。このチームは、掛け軸を作る美大生がいることもあり、日本文化への関心が高いチームでした。そこで、空モビのデザインに日本文化の要素を取り入れ、茶室を模した内装にすることを提案しました。谷崎純一郎の作品「陰影礼賛」から着想を得て、茶室に差し込む月の光をたのしむなどのコンセプトも考案しました。


Cチームは、「空飛ぶクルマキャラバン」を発表。
過疎地域、病院、被災地などたくさんの場所を巡り、様々なイベントを開くことで、空飛ぶクルマに親しんでもらうアイディアです。
あわせて、ヒーローキャラクターとキャラバンのコラボ「空飛ぶヒーローがやってきた」というアイディアも提案しました。
日本のアニメやご当地キャラクターのヒーロー、空飛ぶクルマの様々な役割を伝える擬人化戦隊キャラクターなどが乗り込み、興味のきっかけをつくるねらいです。
キャラバンというアイディアを軸に、たくさんの意見が取り入れられた提案になりました。

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Dチームは空モビ時代のデート専門誌「今夜は空で待ち合わせ」を発表しました。
空のデート情報誌を今から制作することで、空モビのある生活を一足先にイメージしてもらうねらいで、ロマンティックなタイトルは官僚が考えました。
内容は、空から見ることができる絶景スポットが緯度・経度・高度とともに掲載されていたり、高速で移動できる空モビの利点を活かし、「東京から30分で行けるグルメ」の紹介など、ワクワクするようなコンテンツがそろっています。空モビ普及後の新たなエンタメについて提案しました。
デートという身近なテーマを扱うことで、アイデア出しのプロセスも発表も楽しいものになりました。

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Eチームは、空モビ普及後の街の姿をワークショップの時間内に独自の手法で作り上げ、発表しました。美大生が横から見た街の図をあらかじめ用意し、そこにメンバーが各自アイデアを書き込んでいき、街を作っていきました。

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空モビをオフィスとして使用し、会議があるときは飛んで行って合体して会議をするなど、面白いアイデアがたくさん出る中で、共通項が3つありました。
まず、新しいコミュニティが生まれること。次に、新しい交通網が発達すること。最後に、空から顔が見えるということ。
このチームは、建築を学ぶ学生が参加していましたが、街を普段のように地上から考えるだけでなく、空から組み立てることに新たな可能性を感じたとのことでした。官僚と美大生が対等にアイデアを出し合い、充実した発表になりました。

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ワークショップを終えて

美大生×官僚 共創デザインラボ第2回ワークショップも、大盛況のうちに終えることができました。
手探りでのオンライン開催になりましたが、熱気が画面から伝わってくるかのような盛り上がりでした!
今回出されたアイディアのうち、「空飛ぶサンタクロース」「空飛ぶクルマキャラバン」「空飛ぶクルマと街」は、デザインプレゼンとして視覚化されます。

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次回ワークショップ

次回のテーマは「デザイン政策」。たくさんの課題を抱えた日本で、「デザイン」と「政策」にできることを考えます。




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